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企業家との対話から3:I-A-Eモデルー前編
先日、公開講座のケース対話に参加しました。3回つづきのケース・メソッド対話もいよいよクライマックス。Takeoff Point LLC.のケースをもとに対話を深めます。
ケースAではいきなり事業責任者として任命を受けた社長が、七転八倒、さまざまな施策を検討している様子を対話しました。
そして、ケースBでは「ディスコネクテッド・ユース(Disconnected youth)」というアメリカで学校に通えず、職にも就けない子どもたちに対する活動を進めていました。いよいよケースCでは、どのような展開になるのでしょうか。
前回のTake away
IPE・IAEで考えると?
悪いのは人か?システムか?という問いが上がりました。例えば、こんな例があります。
「最近の学生は全く授業中に話を聞いてない」と嘆く先生がいます。
この場合の対処法ですが、どこに課題を設定するのかによって、対処法は全く変わってきます。学校だけではなく、従業員のモチベーションにも関係しそうな話題ですね。
[ 課題 ] 授業中に学生が真面目に話を聞いていない
こんな課題があるとしましょう。考えられる原因は大きく下段2つが挙げられます。
ー(ア) 学生が授業を聞きたくなかった
(考えられる理由)
・何に対しても不真面目な学生だった
・履修授業が将来の進路と合致しておらず退学を検討していた
ー(イ) 学生が授業を聞きたかったが聞けなかった
(考えられる理由)
・家庭の事情でそれどころではなかった
・学生が理解できる手段・伝え方になっていなかった
IPE・IAE理論で検討すると、(ア) の人の資質だけを課題として取り上げるべきではなく、学習全体を設計してシステム的に、学びの影響を設計すべきだ、ということでした。
そして、それを繰り返し見届け改善していくということが必要ですね。
P<ピープル>を責めず、A<アレンジメント>を変更し続ける姿勢は、授業設計に止まらず、事業設計、人事施策においても重要な観点ですね。
Pにアプローチする方法は、2009年には否定されている理論だそうです。
対話する構造に
長期的に物事を考えるには?産業組織論にあるサマリ論文でも、このように記されています。
具体的には,リ ーダーである生産管理者自らが,メンバーが納得し協力しうる共通の夢(ビ ジョン)を提示し,そ の方向を示しながら,適 切な組織を確立するとともに,長 期安定利益確保が可能かを確認しつつ,方 針管理(大 改善 ・改革)と 日常管理(維 持 ・小改善)の 管理のサイクルを正しく回し,夢(目 的 ・目標)を 実現する必要があります.そして,そ の下支えとして優秀な人材の確保育成と動機づけがなされなければなりません.
強調的優位、立派なリーダーが組織全てを牽引する、そしてそのような神がかった人物が出現することを願う、というような偶像崇拝的思想は既に「Z世代」や今の学生には薄いようです。
なぜ、事業が拡大したのか?
今回のケースの課題「なぜ、事業が拡大したのでしょう?」について、そのヒントを参加者と対話しました。
ープラトフォーム型のビジネスに移行したから
ーケースA、Bと比較すると前向きな発言が多く、社長がやらされ感から抜け出して,事業経営そのものを楽しめてるから
ーパーパスを定義して明確に打ち出して、さまざまな活動を統合したから
ーソリューションに対する社長の行動力が並はずれていたから
ー世界中にバラけている情報が、集中してきたから
ー事業の種を見つけた後の活用を上手くできた
ー会社のパーパスと合致させたため、大きな会社の枠組みも巻き込むことができたから
さて、どんな行動や思考が重要なのでしょうか。
次回は、「1番イノベーションを起こすのは、どんな人物か?」です。
・1番イノベーションを起こすのは、どんな人物か?
・南方熊楠の縁起とデカルトの因果論
・起業する時にアイデアは重要か?
参考資料
Takeoff Point LLC. C 日本ケースセンター
澤田喜次郎(1996)生産管理の歴史的考察
https://www.jstage.jst.go.jp/article/seisankanri1995/3/1/3_1_59/_pdf
Lori Lobenstine, Kenneth Bailey, and Ayako Maruyama(2020)
Ideas Arrangements Effects: Systems Design and Social Justice
Paul Cheek, Bill Aulet (2024)Disciplined Entrepreneurship Startup Tactics: 15 Tactics to Turn Your Business Plan into a Business
ご覧いただき、ありがとうございました。
文責 豊川真美