精神科診断に代わるアプローチ PTMF読書会の対話 4章 中編
現在開催中【全10回:精神科診断に代わるアプローチ PTMF】読書会での対話や白木先生の教えを元に構成したレポートです。はじめて書籍を読む方に分かりやすい栞となるよう解説しています。
医療関係者だけではなく、人材開発、組織運営、教育現場の方にもおすすめです。
前回の内容はこちらから 👉PTMF読書会の対話 4章 前編
精神科診療に代わるアプローチPTMFとは
英国心理学会で提唱されるPTMF
書籍のタイトル「精神科診断に代わるアプローチ PTMF」に含まれるPTMFとは、Power Threat Meaning Framework(パワー・脅威・意味・フレームワーク)の頭文字を合わせた略語です。2018年1月に心理士とサービス利用者の協働により進められて発表されました。
通常の精神科診断の原則に、社会学的視点を加えたフレームワークになっていることが特徴で、「メンタルヘルス」と呼ばれる分野において今までと異なる原則を提案しています。活躍の場は、下記のように紹介されています。
このように、P(パワー)T(脅威)M(意味づけ)F(フレーム)は精神科診断によらないアプローチであり、精神科医や心理専門職など職種を選ばず幅広く活躍すると期待されています。
書籍「精神科診断に代わるアプローチ PTMF」よりも長い、メインとなる文章である「パワー・脅威・意味・フレームワーク:機能的な精神科診断に代わる、感情的な苦悩、異常な経験、困った行動や夜会な行動のパターンの特定」(Johnstone & Boyle 2018)はウェブサイトのみ入手可能です。
詳しくは、The British Psychological Society のホームページからご覧ください。
※文末にご紹介しています。
Meaningの陰と陽
前回のnoteに述べた通り第4〜6章では、Meaning(意味づけ)とPower(力・権力)の関係が強く表現されています。PTMFの中で盛り上がるパートであり根幹となる思想です。主な主張と事例は以下のように記されています。
その上で「あなたはどこが悪いのですか?」と問うより「どんなことがあなたに起きましたか?」と問う正当性を指摘していました。
心理学・経営学で注目される概念
PTMFの中ではMeaningを「言説(discourse)」と説明されています。
深くはこの先の章に続く重要な概念です。また、Meaningは多分野に渡り近年注目されています。私が知る中では1つはポジティブ心理学、もう1つは経営倫理学の分野です。ここではポジティブ心理学が示すMeaningについてご紹介します。
ポジティブ心理学とはペンシルバニア大学のマーティン・セリグマン教授が確立した心理学のひとつに含まれており、重要な理論には「ウェルビーイング理論」があります。
ウェルビーイング理論とPERMA理論
同書の中で、セリグマン教授は、測定できる5要素によってウェルビーイングは「操作」できると述べています。その5要素の頭文字をとったものを「PERMA(パーマ)」と呼び、PERMA理論として広まります。
このPERMA理論に含まれるMはMeaningであり、PTMFに含まれるMeaningと同じ要素なのです。この点も興味深いポイントです。
さらにセリグマン教授は、5つの要素を支えるのが個人が持つ「強み」であり、これを意識することが重要だと述べています。「強み」の強弱によって、Meaningがポジティブ・ネガティブに変わるのです。つまりポジティブ心理学において「ポジティブ感情は主観的変数」であるため「強み」を自覚することが大切であることがわかります。
次回は読書会はこちら👉第4章「どんなことがあなたに起きましたか?」後編です。レポートをお楽しみに!
Writer:豊川真美
今回ご紹介した書籍はこちらからご覧いただけます。
【Amazonランキング精神医学/精神医学ノンフィクション部門5位!
P(パワー)T(脅威)M(意味づけ)F(フレーム)は精神科診断によらないアプローチであり精神科医や心理専門職など職種を選ばず幅広く活躍すると期待されています。】
👇リンク先のページから詳細の説明閲覧・ご購入が可能です。
👇こちらから、最初の部分が1部読めます。
👇マーティン・セリグマン教授の書籍はこちらから。
👇The British Psychological Society のホームページはこちらから。