今日、12月7日は二十四節気における「大雪」。秋分から冬至までの期間が六分の五過ぎたことになる。
雪の話をする前に、秋の名残を少し。
紅葉はほとんど散ってしまったが、京都には二ヶ所、今頃になって見ごろを迎える名所がある。
一つは、下鴨神社への参道である糺の森(ただすのもり)。今日行ってきた。
そして、もう一つは、祇園にある建仁寺の潮音庭(ちょうおんてい)。四方を建物に囲まれた、坪庭のような庭園。
忙しくて紅葉見れなかったー、という関西在住の方、京都に来たのに紅葉に間に合わなかったー、という観光客の方は、是非足を運んでみてください。
さて、いよいよ雪が降る季節である。平年の京都の初雪は、12月11日(情報源:気象庁)。とはいえ、京都の街中で雪が積もることは、まずない。でも、京都の北の山の中へ行くと雪景色を見ることができることもある。
こちらは、大原にある実光院というお寺の 2018 年12月15日のツイート。
この実光院は、冬中、少しずつ咲き続ける不断桜という桜が有名。京都に来て雪が降ったなら、是非、訪れてみてください。雪と桜のコラボが楽しめます。
お出かけできなくても、毎日食べるものからも季節を感じることができる。冷え込んでくると、大根や蕪、ほうれん草、白菜、といった冬野菜が、甘みを増して美味しくなる。
冬野菜は、自らが凍ってしまわないように、水分を減らす。その結果、糖分の濃度が上がる。よって、食べた時に、甘くなる。
食べる側の人間にとっても、冬は寒さに耐えるためにエネルギーを使うので、糖分の補給が重要。
というわけで、冬に冬野菜を食べるのは、非常に理に適った自然の摂理といえる。
子供の頃、大根も、ほうれん草も、白菜も、全部嫌いだった。でも、多分、冬以外の季節にも食べて、水っぽくて美味しくないのを体験していたからじゃないかと思う。大根おろしなんて、辛くて大嫌いだった。でも、冬の大根の茎に近い部分を下ろすと、甘くて美味しい、ということに大人になって京都に住み始めてから、初めて知った。
果物では、柑橘類が旬を迎えるが、その話は次回の冬至(12月22日)の時に。
で、「旬」の和菓子の話。まだ、本格的な雪の季節ではないのだけれども、少し季節を先取りするのが和菓子でもあるし、また、冬至の時は柚子を使った和菓子、年が明けたら、正月関連の和菓子、二月には節分や梅にちなんだ和菓子、と、雪にちなんだ和菓子を紹介する暇がない。なので、雪にちなんだ和菓子の話を。
これはもうその名もズバリ「雪餅」。これは、白い「きんとん」のこと。「餅」は入ってない。冬になると、色々な和菓子屋さんが「雪餅」を作る。
京都では、完全受注生産の嘯月(しょうげつ)の雪餅が評判(詳しくは、堀川佐江子さんのエッセイをどうぞ)。
だが、私のイチオシは、千本玉壽軒の雪餅。
見た目が雪のようであるのはもちろんなのだが、口にすると、降り積もったばかりの雪のように、ふわりと溶ける。その瞬間、うっすらと積もった雪の上を歩いている情景が頭に思い浮かぶ。
これが京都の和菓子のすごいところ。見た目がいい、とか、美味しい、とか、そういうことじゃなくて、食感で、何らかの情景を思い起こさせる。
ふわりと溶けるのは、蒸したつくね芋を裏漉したことによる独特の粘り気によるらしい(情報源:和菓子魂)。つくね芋は冬が旬(情報源:そうだ京都、行こう)ということで、食材の観点からも冬が旬の和菓子である。
今年はまだ売り出していないようなのでどうなるかわからないが、以前は、前日までの事前予約が必要だった。と言っても、一個からの購入でも予約できたので、敷居はそこまで高くなかった。
千本玉壽軒は、店舗の近くに「茶寮 SENTAMA」という和カフェを開設していて、そこで雪餅を注文することが去年はできたようなので、今年もできるかもしれない。このカフェでは、雪餅などの生菓子を注文すれば、カウンター越しに作るところを見ることができるし、抹茶も釜からお湯を汲んで点ててくれる。おすすめ。
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