うだうだと日常その2
息子はいわゆる反抗期、成長期であるらしく、口を開けば「ご飯なに?」「お腹すいた」「なんかない?」こればかりである。
非常食の即席めんを棚から降ろして(入れ替えのために)、食品の置いてあるかごにいれる。
「食べていいよ」
すぐにどん兵衛をとって来る息子。
あまり常備していないのはすぐになくなるから。すぐに。
常食されたら困るので。
「お母さん、タイマーかけるし鳴ったら止めて。五分」
「わかった。っていうか、どん兵衛って五分なん?」
「五分って書いてある」
「へぇ、三分かと思ってた。そういう類のものは全部三分なんやと思ってたわ」
「(息子、鼻で笑う)」
少ししてから、息子氏、
「あと何分?」
「あと1分58秒」
待ち切れないんだろう、わかる。5分はけっこう長い。あと1分、わたしならもう蓋を開けている。
「だからいつもちょっと固いんか、わたし」
心の声が漏れる。息子氏は少し笑う。
意味のない会話はどこまでも弾む。どん兵衛の話ならまだまだいけそうだ。
高校受験や学校の話になると、「知らん」「わからん」しか言わないのに。
わたしも食べようかな、いやでもご飯前だしやめとくか。
普段こういうのをあまり食べないのは、息子を妊娠したとき、悪阻で無性にカップラーメンが食べたくなり、食べたらお腹を壊してしまい、流産するんじゃないかと怖かったから、(実際、ちょっと内出血があったのもあって)それ以来、何となく避けている。
娘の悪阻のときには、好きだったアロマポットの香りに耐えられず、ラベンダーとレモンはそれ以来、気持ち悪くなるようになってしまった。(アロマポットも捨ててしまった。袋に入れて引き出しに入れておいても匂うんだもん)
なんか、いろいろしんどい。何も考えずに食べたり嗅いだりしたいものだと思う。
いつの間にかわたしの背と変わらなくなっていて、でも足のサイズはわたしのほうがまだ上で、体重ももちろん上で、でもそのうち追い越されるだろう息子。声変わりを楽しみにしていたのに(うちは三姉妹だったので)、あろうことか、ある日突然ではなく徐々に変わっていたため、わたしは全く気が付かず義母に言われて気が付くという不本意な結果となってしまった息子。
制服のシャツを何回も着たり、靴のかかとを踏んだり、服は娘に選んでもらって買っている息子。
大事な話はいつも途切れてしまう。
でもそれは本当は大事じゃないのかもしれない。それがわかるのはもっとずっと先の話なんだろうけども。
ラーメンあるけど全部ひとりで食べるなよ。
ときどきはわたしも食べるんやから。
〇イラストはみんなのフォトギャラリーからお借りしました