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22歳の自分

最近、22歳のころってどんなんだった?とある人に聞かれ、ちょうど就職したころだなぁと思い出した。
絶対に就職してやるという強い意志はなく、でもどうでもいいわけじゃなく、なんとかなるだろうという根拠のない自信のようなものが私自身を支えていた。
就職率30パーセントの学部でとりあえずスーツを買い、髪を切って説明会に足を運んだ。
何がしたいわけでもなく、ただ土日が休みの仕事を探した。真面目に受けた会社は全部落ちて、気楽に臨んだ会社に2つ受かった。
1つは、面接だけしかなかった会社で、転勤があったからお断りしたのだけれど、最後まで気持ちのいい対応をしていただいた。
もう1つは事務職募集となっていて、募集要項に「オモシロイ人お待ちしています」と達筆で書かれていた会社だった。
事務職なのにオモシロさを求めるのか。私はもちろんオモシロイわけじゃないけど、オモシロそうな会社だなと思った。
まず、作文と筆記試験があった。問題集で見た問題ばかりだったのに、全然できなかった。作文はもういいやと思い、ちょっとふざけて書いた。作文は苦手だけど、ふざけたからか、まぁまぁ書けたような気がした。
面接の日、向かい合って座った中年の男性はニコニコしていた。
隣に座った事務職らしい女性に、
「この人、めちゃくちゃおもしろいわ」と話しかけている。
「あの作文はどういう気持ちで書いたんですか」と聞かれ、困った。とりあえず彼氏と別れた理由から話さねばならなかった。
こんなに楽しい面接があるのかと会社を後にし、採用通知が後日届いた。
縁なんてそんなものなのかもしれない。
22歳の私はあまりにも世間知らずで無防備だったんだろうと思う。
何の疑いもなく流れに身を任せていたころ。
そんな自分を今はちょっとうらやましく思う。

#エッセイ #22歳の私 #仕事

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