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高校生へのお返事 / ルワンダのゴザから

FMバナナの木陰
このマガジンは、2021年のある秋の日に、日本にお住まいの高校生との間で開催されたオンラインで旅する授業の際にみなさんからいただいた質問をもとに、カンボジアを拠点とする吉川舞とルワンダを拠点にする加藤雅子の2人がそれぞれの暮らしと、目の前にある世界についてお答えしたものです。



あの日の修学旅行の余韻をいまだに引きずって皆さんからのご質問をニヤニヤしながら眺めている大人から、余韻をさらに引き伸ばすためにお返事をお送りしたいと思います。

カンボジアとルワンダの旅から戻り、いかがお過ごしでしょうか?

旅の終わり直後から続々いただいたご質問。どれにも含蓄があるというか、反射的にパッと答えられるものが少なくて、読みながら自分に問い直すものがたくさんありました。

あの短い時間で、我々がお届けしたいこと以上にいっぱい受け取ってくださったのかぁと、皆さんの受信スキルにさらに甘えてまとまらないまま考え途中のままお返事を書いてみます。




普段している仕事はなんですか?
(やっさんさん、アンリ4世さん、ミカムさん、ナナミさん、第46プリンセスさん、ゴール・D・ロジャーさん)

自己紹介も大してしないままいきなり画面に現れてルワンダの田舎を歩いていたので「誰この日本人?」と思った方も少なくないかと思います。そのまま謎を残しておくのも結構好きなんですが、「普段何してるの?」というご質問が多かったので(そりゃそうですよね)まずはこちらから。

普段も、あんな感じのことをしています。

田舎に訪ねてはおじいおばあの話を聞いて、その土地に受け継がれてきた文化、伝承、物語、歌、ことわざ、薬草、食べ物などを調べて一緒に作ったり、一緒に歌ったり、一緒に眺めたりしています。
新しいものも素敵だし、昔からずっと伝わり続けているものに触れるのも好きです。なんでわざわざこれが受け継がれてくる必要があったのか、これが今にまで伝わるために一体何人の手と言葉を介して来たのか、途中でどれだけ捻じ曲がっちゃったり寄り道したのか、そんなことに思いを馳せるのが好きです。

今ここに現れているすべてのものが、この形である必要があった由来。
今着ているこの服がなんでこの形に至ったのか、さっき使ったカップはなんであの形になる必要があったのか、昨日座ったあの椅子はなんであの形にたどり着いたのか、人がせっせと改良したりしなかったり真面目にやったりやらなかったりしてきた活動の形跡を眺めています。

そしてそういうことが好きな方に向けておはなし会を開いたり、おじいおばあを一緒に訪ねる旅を組んでみたり、おじいおばあが作ったものを日本に紹介する活動をしています。

実は今も自分のやっていることを「仕事」と呼ぶことにあまりしっくり来ていません。どちらかというと、活動、営み、やっていること、という感じです。



一番美味しい料理はなんですか?
おすすめの料理はなんですか?
普段何食べてるんですか?
(やっさんさん、アンリ4世さん、だいずさん、ナナミさん、はるとさん、旅のお供にいかがかな?正露丸さん、レモンポーズ少年さん、のしさん、ちょこさん、ゴール・D・ロジャーさん)

普段何食べてるんですか、が直球で笑いました。そうですよね、日本食がない場所で一体何食って生きてるんだ?食べ物が合わないと生活がしんどいのは確かです。

移住した当時はせっかくルワンダに住んだんだから郷に入っては郷に従えで毎日毎食ルワンダ料理にしよう!と意気込んでいたんです。

でも無理でした。

まず、ルワンダ料理の種類が激烈に少ない。というか田舎方面のお家に行ったとき、毎日毎日毎日ほんとーーーにほぼ同じものを食べていてびっくりしました。大体がバナナ、芋、豆、トマト、玉ねぎを煮込んだもの。そこにゆで卵がついたり、ウブガリと呼ばれる餅のようなパンのようなものがついたり(キャッサバ粉が原料)、ペーストにした葉っぱがついたりします。

昨日カレーだったから今日は麺にしようとか、昼うどんだったから夜は魚にしようとか、近い食事は被らないようになんとなく気を遣う日本人ですが、ここでは違います。「飽きないの?」と聞いてみると「飽きるって何?」という感じの回答です。選んでなんかいられない、まずはお腹を満たすことが優先だという事情もあります。

あるとき、家と学校でのご飯しか食べたことがない、外食をしたことがないというルワンダの若者を引き連れて、首都のレストランをいくつかまわったことがありました。中華・イタリアン・ステーキやさん・多国籍料理やさん。新しい味を体験してどんな反応をするかなぁと見守っていたのですが、彼らの感想は「んー、まあまあかな。マズくはないし食べれはするけど、家のご飯の方がいいかなー」

慣れ親しんだ味、育って来た味はやっぱり強いです。というわけで、私もほとんど和風な料理を自炊しています。日本のような材料は手に入らないので、代わりになりそうなものを見つけながら実験しています。この前の発見は、チアシードをふやかしてちょっと醤油と酢をかけるとじゅんさいみたいに食べられました。お好み焼きを作るときはヤム芋をすりおろして入れるとフワッフワに仕上がります。アボカドに醤油をかけてマグロだと思い込んでいます。

ルワンダで一番美味しいなぁと思うルワンダ料理(?)はじゃがいもです。素材ですね。やたら美味しいので煮ても揚げても焼いても幸せな味です。
たまに食べるヤギ肉の串焼きもいい感じです。特にタレが美味しいです。




都市には牛糞の家はあるんですか?(ちゃまさん)

都市の真ん中ではあまり見たことがありません。牛が少ないからです。牛を飼えるようなスペースはやはり都市からちょっと外れたところにあります。

ルワンダは都市部と田舎が別の国かな?と思うくらい違うので、建物の様子も全く異なります。首都にはビルがばんばんできてガラス張りの建物もあります。国で一番高い建物は今のところ20階建てです。これから人口がさらに増えて、土地がなくなり、人が縦に住むようになるでしょう。牛糞で20階建てはちょっと心もとないので、やはり牛糞ではない建物が増えていくことになるのだと思います。




カンボジアやルワンダにもマヨネーズに似た調味料はあるんでしょうか。また、カンボジア、ルワンダにあるおすすめの調味料を教えてほしいです(Mr. マヨさん)

マヨネーズ、あります。made in Rwandaではなく輸入品がほとんどです。フライドポテトを注文するとケチャップよりもマヨネーズが添えられてくることがあります。人生で4つ目くらいに好きな食べ物がフライドポテトなので、ルワンダに住み始めてから圧倒的にマヨネーズ摂取量は増えました。無意識マヨラー。

ルワンダの調味料といえば「うるせんだ」

日本人ならすぐに覚えられる名前です。ルワンダのレストランで「うるせんだ!」と言えば唐辛子の液体調味料が出てきます。別名「アカバンガ」小さな秘密という意味です。かけすぎると小さくもないし秘められてもないインパクトが襲いますのでご注意を。




日本の揚げパンと違う部分はありますか?
紅茶に牛乳以外で砂糖など甘味料は入れますか?(きなこさん)

あの時の揚げパンは日本の揚げパンより歯応えがありました。ぎっしり詰まっているので、伸びないお餅のような感じです。あとは日本のように何かをまわりにまぶしたりしていません。食べこぼし注意度は下がるのでソファーの上でも堂々と食べられます。ただし食べたその手はソファーで拭かないでください。あらかじめティッシュを用意して「手はこれで拭いてね」と伝え忘れてしまったので、何度も自宅のソファーで油を拭われました。。。
「汚す」ということへの感覚の違いを感じることがあります。日本では「汚さないように気を付ける」、こちらでは「汚したらきれいにすればいい」
なので豪快に汚して豪快に掃除します。掃除・洗うに関する単語もたくさんあります。ルワンダに来たらぜひルワンダの方の靴を見てみてください。赤土で砂埃もすごいはずなのに、ピッカピカの靴を履いています。真っ白なスニーカーを真っ白なまま履いている人もいます。常にきれいにしているんですね。汚れてもきれいにすればいい。この考えは汚れないように汚れないようにダメにしないようにダメにしないようにと行動を縮こまらせるのではなく、「まーそうなったら対応すればいいよね!」という大きな構えに繋がっているように感じます。この構えに何度も救われました。

揚げパンからだいぶ話が逸れましたね?通常運転です。

紅茶には牛乳と砂糖、そして生姜などを入れることもあります。アフリカンティーという名前で親しまれている飲み物は紅茶・牛乳・生姜をぐつぐつ煮込んで作るので、ちょっと冷え込む朝方などには最高の相棒になってくれます。おしゃれなところだと、砂糖の代わりに蜂蜜を出してくれたりもします。これがまた美味しいんですよね。おうちでも簡単に作れるのでぜひ寒い日に試してみてください。
1. お鍋に水を入れる
2. 水と同じ量の牛乳を入れる
3. 紅茶の茶葉を入れる
4. 生姜のスライスを入れる
5. 一煮立ちさせる
6. カップに入れて、お好みでお砂糖や蜂蜜を加えて出来上がり
これですぐにルワンダに近づけます^^




体を鍛えてる人は多いですか?(マッスルさん)

セメントを詰めたペンキ缶を棒の両端につけてダンベルがわりに使っている方を見かけました。重そうすぎて私は触ったことがありません。
また4年前に比べ、街中でランニングをしている方に遭遇することが増えました。

月に2度の日曜日は "car free day" と呼ばれ、歩行者天国が行われます。車が通っていない広い道路でスポーツをしましょうと国がすすめています。走ったり、歩いたり、自転車に乗ったり、ローラーブレードに乗ったり、集まって体操をします。

田舎にはこのような歩行者天国の日はなく、ジムもないのですが、日々の畑仕事や荷物運びなどでナチュラルに鍛えられた人々を見かけます。雑技団のように自転車が埋もれるほど積まれたバナナ。もはや漕げないので押し歩いています。ゆうに100kgは超えるであろうものを10kmも20kmも畑から市場まで運びます。白いタンクトップからモリモリの肩がのぞいています。




Wi-Fiはありますか。(ごじょうさとるさん)

あります。ホテル、カフェ、レストランなどで使えます。アプリのダウンロード中も、動画のダウンロード中も、日本ではあまりお目にかからない(?)待機中のぐるぐるマークがしばらく表示される速度です。
google mapを読み込んでいる時の緑と茶色のポリゴン画面や、画像検索結果を読み込んでいる時のモンドリアン画面は日本ではなかなか見ることができないレア画面なので見つけては嬉しくてスクショを撮っています。
待ち時間がある暮らしもなかなかいいです。




はじめて海外に行ったのは何歳の時でどこに行きましたか?その時のエピソードなどもあればおねがいします!(第46プリンセスさん)

高校1年生 15歳の夏休みにアメリカのユタ州に行きました。企業が主催する研修プログラムで、約2週間の滞在です。日本から高校生5名が参加していましたが全員初対面で、英語が喋れなくてあたふたすることと、日本人と仲良くしなきゃとあたふたするのでずっと緊張していました。

ホームステイ先で「洗濯機貸してください」が英語で言えなくて、洗濯機、、、洗濯、、シャツをクリーン、シャツクリーン?いやでもシャツだけじゃないパンツもクリーンするからな、なんだ、なんて言うんだ、万が一洗濯が言えても「機」が言えない、、、どうしよう、、、と一人でぐるぐる悩んで結局2週間シャワーの時に全部手洗い。こっそり部屋に干していました。手洗いがバレるとなぜか怒られると思っていたので、干している部分をスーツケースや扉で丁寧に隠していたビビリです。

「これ、英語でなんて言うんですか?」という英語くらい中学校の時に習ったはずなのに、ガチの英語話者を目の前にするとなーーんにも出てきませんでした。とにかく威圧感がすごい。めちゃくちゃ優しく話しかけてくれているのだろうけど、分からない言葉で話されること自体がパニックの要因で、できるだけ話しかけられないように逃げ回って過ごしていました。なんで参加したんだ。このとき対等に話すことがいかに難しいか体感しました。いやでもこれ、、、日本でも同じかもな。友達と話す時も無意識のうちになんとなく上に立ったり下に入ったりして対等に話せてなかったかもな、上下を決めないと相手と関わりを持てない生き方をしてきたのかもしれない、、、と感じていました。

見事に毎晩冷凍ラザニア一つで、クリスマスのアメリカのホームパーティーみたいなのが毎日あるのかと抱いていた幻想をひっくり返されたこと。

日曜の礼拝に行かなかったらホストマザーにすごい顔をされてちびりそうになったこと。

隣の家の3歳児が英語ペラペラ話してて打ちのめされたこと。
(3歳児に、、、負けている、、、)

通っていた学校の自販機で、本場のM&M'sだ!と嬉しくなって買って噛んだらすんごい硬いキャンディーで脳が揺れたこと。
(M&M'sにそっくりなパッケージの別商品だった)

マイさんと同じく、血迷って謎のTシャツを買ったこと。

あとから合流した日本人とホストファミリーにカレーを作ろうとなったけどルーがなくて、初めて粉から作る羽目になり、食べてもらうと「mmm...not good」、これが!自分の意見を!主張するって!ことか!と、お世辞ゼロの姿勢に衝撃を受けたこと。


日本に帰って来たときの安心感たるや。もーーー外国はいいや、と思っていたのに、その後タガが外れたようにいろんな国に行くことになります。2カ国目はアフリカのケニアでした。

英語がうんぬん、学びがうんぬんよりも「国の外に出る」というハードルを下げてくれた機会。ポスターカラーペンも最初に使うときは芯に色を馴染ませるために紙に長いこと押しつけなきゃいけないけど、次に使うときはすぐ書ける。あの感じです。




日本との一番の違いはなんですか?(清少納言さん)

一番、というのを決めるのが難しくなって来ました。何かに順位をつけることができなくなって来た気がします。





また思いついたり、思い出したり、コメントをいただいたら追記するかもしれません^^



masako kato / 夏至を過ぎたルワンダより



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masako kato
麦味噌が大好きです