「事件現場に刑事が駆けつけると、玄関にトンカツが置いてあった」
凶器はトンカツ
ある日、弁当屋の店先で「激安コッロケ」のPOPを見かけた。
「コロッケ」と脳内補正して意味は取れるが、コロッケのほうがカラッとしておいしそうだ。
SNSでそのことをつぶやくと、「天然うぎな」という看板を見たという書き込みがあった。
開放感のある「な」が濁音の「ぎ」と入れ替わると、活きが悪そうになる。高級感も薄まる気がする。
「うぎな」に呼ばれて、さらなる反応があった。「うさぎ」という名の「うなぎ屋」があったという。
うさぎとうなぎ。母音の並びは同じ。2文字目の子音が変わっただけ。どちらも生き物。イメージは全然違う。モフモフとヌルヌル。
「うさぎ屋」という和菓子屋もあるし、「うさぎ」はネーミングとしてはありだ。「うなぎ」という名の「うさぎ屋」だといただけない。
そういえば、うなぎのニュースに「うさぎ」のテロップが入っている写真を見たことがある。あれはネタだったのだろうか。キーボードのsとnは離れているので打ち間違う距離ではない。「『うさぎ』のうなぎ、久しぶりに食べたい」と思いながら打ったのかもしれない。
紛らわしいといえば、事件現場の玄関にトンカチが置いてあったと聞いた刑事が「凶器はトンカチ!」と気色ばんだら正しくはトンカツだったという嘘のようなホントの話をどこかのエッセイで読んだ。
思い込みが激しいのはわたしだけではないらしい。ドラマだったら「トンカツとトンカチ、紛らわしい!」と刑事が突っ込むところだと書き込むと、
「冷凍したトンカツがほんとうに凶器だった」というSF通の方からの書き込みがあった。事実なのか小説の話なのかノリで今思いついたのか。「ほんとうに」とあるので、事実かもしれない。
「凶器はトンカツ! 食べれば証拠隠滅」
「死因はトン死です」
「笑! トンでもない!」
トンカツ殺人事件大喜利が始まった。
「冷凍だけに犯人はすぐにアガらない」
「うまい! 捜査も凍結!? 」
凶器のトンカツは凍っていたが、大喜利はアツアツ、アゲアゲで盛り上がった。
時代を超えて揚げて上げて
トンカツ殺人事件大喜利は2010年5月、Twitterでの出来事だった。
「ツイッターは連想ゲーム的な面白さがあり、言葉遊びに向いている」と日記に書いている。
「事件は家の外ではなく、パソコンの中で起きてしまう」ともあり、スマホのなかった当時、ケータイではなくパソコンでTwitterを見ていたらしい。
寄席に通うようになる前で、落語の「新聞記事」も知らなかった。
「新聞記事」は、まだ新聞が珍しかった明治時代に作られた当時の新作落語。「天ぷら屋の竹さんが泥棒に殺されたと新聞に出ているが、犯人はすぐに上げられた。入った家が天ぷら屋だから」とオチのついているネタ話を真に受けて言いふらすが、うろ覚えでオチをつけられない八五郎。相手に言われてしまった上に「竹さんのかみさん尼さんになったのは知ってるか?」と話の続きまで聞かされる。「天ぷら屋のかみさんだけに、衣をつけた」というこれまたネタ話で落語のオチがつく(江戸落語ではサゲという)。
時代を超えて、揚げ物ネタで遊んでいる。揚げ物ネタを落語に上げる代わりにSNSに上げる。
画像も揚げて上げて
タイトル画像はスマホのカメラロールから。「トンカツ」「カツ」ではヒットせず、「揚げ物」で2016年に撮ったとんかつ定食を掘り出した。衣は薄め、カラッと揚がっているように見える。噛むとサクサクだったのではないだろうか。
ついでにみんなのフォトギャラリー用にトンカツの写真を揚げておく、いや、上げておく。
下の2つは、もしかしたらメンチカツかもしれない。撮影日は離れているが間違い探しみたいによく似ている。同じ店だろうか。
トンカツ大人気
「みんなのフォトギャラリー」で画像が使われると、noteからお知らせが来る。トンカツ大人気。2日で10件超え。
競馬や宝くじのnoteで使われているのも興味深い。「勝つ」はハッシュタグに入れてなかったけれど「カツ」でヒットしたのかも。