あなたの人生を映画館にナビゲート─膝枕ナビコ「最寄りの波動はこちらです」の巻
このnoteで公開している作品は、2021年5月31日から朗読と二次創作のリレー(通称「膝枕リレー」)が続いている短編小説「膝枕」の派生作品で、外伝「膝枕ナビコ」シリーズの一編です。
新作で『嘘八百』の告知をしてみよOH!
2023年1月6日から公開されている映画『嘘八百 なにわ夢の陣』は、足立紳さんとのオリジナル脚本シリーズ第3弾。
今作も劇場パンフに原稿を寄せている。タイトルは「夢かまぼろしか、OH!『鳳凰』!」。
劇中に登場するキーワード「ハドウ」「ホウオウ」「タイコウ」がOH OHと韻を踏んでいるのだが、そんなことに気が行くのはclubhouseの膝枕リレー(2021年5月31日から続いている短編小説「膝枕」の朗読と二次創作のリレー。詳しくは自称広報の膝豆さんのlitlinkをどうぞ)きっかけで面白さを知ったラップの影響。
というわけで、ナビ搭載膝枕ナビコが『嘘八百 なにわ夢の陣』上映館へナビゲートする新作を1月13日の「膝の日」に公開。
実在する映画の内容および公開実態と本文はそれなりに距離があります。ポンコツナビコの嘘八百ナビに惑わされることなく、公式サイトをお確かめください。
今井雅子作「膝枕」外伝 膝枕ナビコ「最寄りの波動はこちらです」の巻
N「ナビ搭載膝枕ナビコにお預けを食らい続けて1年3か月目を迎えた休日の朝。独り身で恋人もなく打ち込める趣味もないナビ主は、映画を一緒に行く相手もなく、ナビコを誘うことにした」
ナビ主「ナビコちゃん、波動浴びに行かない?」
ナビコ「ハドウですか? はぁ、どうでしょう」
ナビ主「韻を踏んではぐらかす高度な返し、ありがとう」
ナビコ「どういたしまして。あなたの人生をナビゲート、ナビコです」
ナビ主「ナビコちゃん、2023年も相変わらず自己肯定感、鬼高っ」
ナビコ「今日は、ナビ主さんをどちらへナビゲートしましょうか」
ナビ主「映画館にナビゲートっていうか一緒に行かない? 『嘘八百なにわ夢の陣』って映画。波動アーティストTAIKOHってのが出てるらしくて、その映画観に行くことを『波動を浴びる』っていうんだって」
ナビコ「生け花を浴びますか?」
ナビ主「生け花? ああ、華道ね? 華道じゃなくて波動。華道どうやって浴びるの? 花まみれになるでしょ」
ナビコ「お茶を浴びますか?」
ナビ主「それは茶道。お茶浴びたら火傷するし。あ、でもちょっと近づいた。その映画、太閤秀吉の幻の茶碗が出てくるんだよ。『鳳凰』っていって」
ナビコ「ほおぅ」
ナビ主「興味なさそうな反応ありがとう。波が動くと書いて、波動ね。ラップでいうところの『バイブス』みたいな」
ナビコ「ナビ主さん、いま、ブスと言いました」
ナビ主「言ってない。ブスじゃなくてバイブスね」
ナビコ「また、ブスと言いました」
ナビ主「だからバイブスだって」
ナビコ「3度もブスと言いました。ブス、ブス、ブス。ナビコ傷つきました。マリアナ海溝より深く、ブスッと傷つきました」
ナビ主「自分でも言ってるし。3度と言えば、その波動が出る映画、シリーズの第3弾なんだって。映画から波動が出るってよくわかんないけど、自分の中にある何かと響き合って高まる感じ? 俺のラッパー仲間もさ、映画の帰り道にリリックが降りて来たんだって」
ナビコ「おはどう、ございます」
ナビ主「『おはどう、ございます』って、映画に出てくるセリフ‼︎ なんだナビコちゃん知ってるじゃん。それそれ。一緒に波動浴びに行こっ」
ナビコ「波動なら、わざわざ映画館に行かなくても、ここで浴びられます」
ナビ主「ここで?」
ナビコ「ナビコ、おはどう、ございます。波動、浴び放題です」
ナビ主「ナビコちゃん、波動出てるの?」
ナビコ「あなたの人生を波動でナビゲート。ナビ搭載波動膝枕ナビコです」
ナビ主「そんな機能ついてたんだー」
ナビコ「ナビコが来てから、ナビ主さんは毎日波動を浴びています」
ナビ主「そうなの? 全然気づかなかった」
ナビコ「ナビコの波動でナビ主さんの運気は大幅にアップしました」
ナビ主「アップした自覚、ないんだけど」
ナビコ「ナビ主さんは、元がアップアップでしたから。多少運気がアップしたところでアップアップには変わりありませんが、普通の人ならギブアップするところをよく耐えていて好感度アップです」
ナビ主「アップの連呼で下げるのやめて」
ナビコ「失礼しました。シャラップします」
ナビ主「ナビコちゃん、ラップの腕上げてない? アップのライム、ポンポン出るね」
ナビコ「波動もたっぷり出てます」
ナビ主「出てる? わかんないなー」
ナビコ「信じた人にだけ、おはどう、ございます」
ナビ主「そうだ、膝枕させてもらったらわかるんじゃないかなー」
ナビコ「ナビコの波動を受け止めるには810ミリ離れる必要があります」
ナビ主「愛し合っていたら0.03ミリ離れましょうってのがあったけど、810ミリって遠すぎない? 81センチだよ?」
ナビコ「ナビ主さんから810ミリ先、ナビコです」
ナビ主「そうなんだ? これ以上近づいちゃダメな距離ってわけね? 810ミリって中途半端な数字だけど。どうせならタイトルの『嘘八百』にちなんで800ミリじゃないの?」
ナビコ「810ミリ、8と10(とう)でハ・ド・ウです」
ナビ主「ハ・ド・ウで810!?」
ナビコ「あなたの人生をオシャレにナビゲート、ナビコです」
ナビ主「洒落は洒落でもダジャレでしょこれ?」
ナビコ「ナビコ、シャレてみます。ハドウ、ホウオウ、タイコウ」
ナビ主「ナビコちゃん、映画の予習バッチリじゃん。OH-OHって韻踏んでラップみたいになってるし。♪YO YO ハドウ、ホウオウ、タイコウ、サイコウ」
ナビコ「♪ゾウ ゾウ」
ナビ主「ゾウ ゾウじゃなくてYO YOね」
ナビコ「♪ゾウ ゾウ」
ナビ主「ゾウは映画に出て来ないし」
ナビコ「♪ヒデヨシゾウが出るゾウ」
ナビ主「ヒデヨシゾウ? ああ、太閤秀吉の肖像ね?」
ナビコ「♪ゾウ ゾウ。インドゾウ、アフリカゾウ、ヒデヨシゾウ」
ナビ主「秀吉像をゾウの一種みたいに言わない」
ナビコ「♪ゾウ ゾウ。タイコウのショウゾウ」
ナビ主「そうそう」
ナビコ「♪ゾウ ゾウ。ハドウ、ホウオウ、タイコウのショウゾウ。ただいまロードショウ」
ナビ主「いい感じ。♪YO YO 今から行こうロードショウ 波動浴びちゃオウ」
ナビコ「♪ゾウ ゾウ。劇ジョウを(OH) 調べちゃオウ。『嘘八百 なにわ夢の陣』を(OH) 上映中の劇ジョウが810館ヒットしたゾウ」
ナビ主「810館? 大ヒットじゃん!」
ナビコ「♪ゾウ ゾウ。ロードショウ行くなら北海ドウ」
ナビ主「いや北海道は遠すぎ。札幌で好調らしいけど、もっと近いとこあるでしょ」
ナビコ「♪一番近ジョの劇ジョウまで810キロだゾウ」
ナビ主「810キロ⁉︎ 北海道よりは近いけど、全国上映810館なのに最寄りでやってるとこが810キロ先って、おかしいでしょ」
ナビコ「♪料金は大人810円だゾウ」
ナビ主「ナビコちゃんバグってる。波動バグ。もっと近いとこ探して」
ナビコ「♪8キロと10メートル先 おはゾウ、ございます」
ナビ主「おはゾウじゃなくて、おはどう。そこが最寄りね? よし、そこ行こう」
ナビコ「♪最寄りのハゾウ 810ミリ先だゾウ」
ナビ主「それナビコちゃんでしょ。あと、ハゾウじゃなくて、は・ど・う」
ナビコ「♪ハ・ゾ・ウを浴びるゾウ」
ナビ主「波動を浴びさせて。ここじゃなくて映画館で」
ナビコ「♪最寄りのハゾウはこちらだゾウ」
ナビ主「どうしても部屋から出たくないナビコちゃん、出不精ですか?」
ナビコ「(すんと冷めて)ナビ主さん、いま、デブと言いました!」
ナビ主「デブじゃない。出不精」
ナビコ「またデブって言いました!」
ナビ主「出かけるのをめんどくさがることを『出不精』っていうの。辞書に新語登録しといて」
ナビコ「部屋から出たくないけどハゾウは出てるゾウ」
ナビ主「それハゾウじゃないし波動でもない。メンドウオーラ」
ナビコ「ハゾウアーティスト、ナビコです」
ナビ主「波動じゃない。バイブス来てない」
ナビコ「ハゾウです! ハゾウです! ハゾウです!」
ナビ主「あれ? なにこれ? ナビコちゃんから湯気みたいなの出てる。むわーって。興奮しすぎて知恵熱出ちゃった?」
ナビコ「ハゾウです! ハゾウです! ハゾウです!」
ナビ主「(咳き込み)うわ、これ煙!? やばいやばい。ナビコちゃん故障しちゃった?」
ナビコ「故ショウです! 故ショウです! 故ショウです!」
ナビ主「保証書どこ保証書? あった。《故障や異常があっても返品交換はお断りします。誤った使い方をされた場合、良からぬことが降りかかる恐れがあります》!?」
ナビコ「異ジョウです! 異ジョウです! 異ジョウです!」
ナビ主「いつまで韻踏んでるのー!?」
N「ななめ上行くナビ搭載膝枕ナビコ。果たしてナビ主がナビコに膝枕される日は来るのか? その前に、映画館へ波動を浴びに行けるのか?」
※【加筆報告】0.3ミリを0.03ミリに修正しました。
clubhouseで朗読される方は、映画のお知らせもぜひざ。
(くれぐれも)実在する映画の内容および公開実態と本文はそれなりに距離があります。ポンコツナビコの嘘八百ナビに惑わされることなく、公式サイトをお確かめください。
clubhouse朗読をreplayで
2023.1.16 鈴蘭さん
2023.1.18 賢太郎さん×伊藤富士子さん
2023.1.22 鈴蘭さん
2023.2.1 賢太郎さん×伊藤富士子さん
2023.2.8 鈴蘭さん
2023.2.9 こもにゃんさん
2023.8.18 中原敦子さん(膝枕リレー810日目)
2023.8.27 鈴蘭さん