放課後の Key note
6月7日(金)
この作品の単行本を書店で見た時、何て美しい表紙なんだろうと一瞬で魅せられて
しまいました。
薄紙の下に花の模様が透けて見える、こんな表紙は今まで見た事がありません。
山田詠美さんの作品の中では「放課後の音符」や「僕は勉強ができない」などの
未成熟な少年、少女の物語が好きです。
この本を読んでいる間だけ、学生の頃の自分に戻って行けそうな気持ちになれる
からかもしれません。
Episode; Body Cocktail
私が彼に対しての気持ちに気付いた時、彼の姿はしょっちゅう私の瞳の中に
入ってくる様になった。彼が離れた所にいても、ちらりと私の視界をよぎる彼の
姿を見逃した事はなかった。
作者のこの文章を読んだ時、私が中学の頃同級生に同じ様な気持ちを抱いた事を
思い出しました。でもその気持ちは相手にも気付かれる事はなく、そのまま卒業
して一度も会う事はありませんでした。
Episode; Sweet Basil
彼はすでに私の知っている幼な馴染みの男の子ではなかった。彼の瞳には、人を
好きになってしまった者の特徴を身につけていた。
終わりだ。私は一瞬の間、目を閉じた。
この章は、幼い頃から兄妹の様に過ごしてきた純一と私。
でも、いつの頃から純一に異性を感じるようになってきた私。
しかし、純一は可愛いくて女の子らしいリエと恋に落ちてしまった。
この「終わりだ」と言うひと言が、今の私の全てをものがたっている。
Episode; Key note
新学期になり、また同じクラスになった純一と私。
しかし今は不思議と平静に彼の瞳を見詰められる。
私の恋は、片想いのまま完結してしまったらしい。
その頃、純一はリエと別れて私に恋の相談をしてきた。
「リエと最初の頃は良かったな、顔を見るだけで夢中だった」
「冷めちゃったのよあんたたち、求め合う事はできても続ける事ができなかったのよ」
因幡 晃の忍冬(すいかずら)の歌詞を思い出しました。
♪だっていつかこじれて駄目になるより
恋の匂いさせずに側に居たいわ
たまに会ってこうして飲めるだけでも
女として少しは夢があるでしょ♪
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