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環境問題に取り組む「TBM」を知っていますか?
こんにちは。
今話題になっている日本のベンチャー企業、「株式会社TBM」を知っていますか?
TBMは、「素材」で世界の環境問題に取り組む企業です。具体的にはプラスチックや紙の代替素材や資源循環サービスなどを事業内容とし、1,336億円の時価総額評価額を得ています。
ちなみに、ベンチャー企業で5番目の時価総額評価額です。
LIMEX
LIMEX(ライメックス)は、炭酸カルシウム(石灰石)など無機物を50%以上を含む複合素材です。
石灰石を主原料にプラスチックや紙の代替製品を形成・リサイクルが可能になります。
なぜ、石灰石が注目されているのか!?
石灰石は資源に乏しい日本でも自給自足できる資源です。可採年数の想定は伸び続けています。日本だけでも240億トンの資源が埋蔵され、石油に比べて枯渇リスクが少ない資源なのです。
水をほぼ使用せずに紙代替製品を製造できるため地理的な条件など立地制約を受けにくい。
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世界の石灰石資源
China Mineral Resources2018
石灰石の優位性
原材料調達段階の優位性
石油由来プラスチックは、原油やナフサから分留し、取り出したモノマーを重合・ポリマー化して製造します。
炭酸カルシウムは、採掘された石灰石を粉砕して製造されます。
この過程で、二酸化炭素排出量の差が50倍の差が出るのです。
もちろん、石油由来プラスチックの方が排出量が高いです。
(※LCIデータベースIDEA version2.3より)
ナフサ・・・原油を常圧蒸留装置を用いて生成されるもの。原油は蒸留装置や分解装置によって、ガソリン・ナフサ、灯油、軽油、重油・アスファルトなど様々な石油製品を生成します。これらは沸点の差によって分けられています(沸点が低い順からガソリン・ナフサ→灯油→軽油→重油・アスファルト)。
モノマー・・・ポリマー(プラスチック)を構成する最小の単位です。モノマーを多数結合したものをポリマー(重合体)と呼びます。
以下、図で代表的なものを挙げます。
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発掘・加工・処分時の優位性
石灰石の発掘・加工は、石油や金属などの資源と比較して容易であり、プラスチックや紙を代替する原料として供給の安定性が知られており、価格が安価です。
さらに、プラスチックやゴムなどは日光などの環境要因で製品の劣化が進みますが、石灰石は環境要因に左右されにくい資源なのです。
処分過程(燃焼など)において、石油由来プラスチックの大部分は炭素であるため、燃焼する時に炭素が酸素と結びつき、二酸化炭素(CO2)を大量に放出します。
一方で、石灰石は炭酸カルシウム(CaCO3)は、燃焼する時、酸化カルシウム(CaO)と二酸化炭素(CO2)に分解されます。
この化学構造によって、石灰石は石油由来プラスチックに比べて、二酸化炭素排出量を約58%削減することができるのです。
TBMの製品
LIMEX Pellet
炭酸カルシウム粉末とポリオレフィン系の熱可塑性樹脂などを均一に分散させた複合材を製造し、形成していく
形成品例
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LIMEX Sheet
石灰石を主原料とした、プラスチックや紙の代替として使用することが可能な素材。紙に比べて製造時に水をほぼ使用せずに、耐久性と耐水性に優れている。
形成品例
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ポリオレフィン・・・世の中に最も出回っている樹脂材料。オレフィンをモノマーとして合成されるポリマー。
熱可塑性樹脂・・・プラスチックは熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂に分けられる。熱可塑性樹脂は、液体と固体の変形が可逆的に可能な性質を持っている。熱硬化性樹脂は液体から固体といった不可逆変形しかできない性質。
具体例
熱可塑性樹脂はチョコレートのようなものです。
チョコレートは、固体でも熱で液体状となり再形成ができます。
熱硬化性樹脂はパンケーキなようなものです
パンケーキは作る段階では液体状ですが、焼いて固体になると液体状に戻すことはできません。