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雑誌「大人の週末」に、喫茶ランドリーのカレーライス!?もだえるほど嬉しいワケ。「普通の主婦」なんて、この世に存在しないのです。

日々嬉しいことはたくさんありますが、最近ももだえるほど嬉しかったことは、喫茶ランドリーのカレーライスが、雑誌「大人の週末」に掲載されたことでした!

これまで、幾度となくお話してきましたが、喫茶ランドリーのフードメニューの開発は、おそらく一般的なカフェではあり得ないほど、スタッフの皆さんに投げっぱなしです。(良い意味での確信犯?)

今回掲載された、カレーライスの発明者であるさおりさんは、喫茶ランドリー(森下・両国店)の第1号のスタッフです。当初、田中と私でお店に立ちはじめ、誰かお料理好きはいないかなーとぼやいていたところ、紹介されたのがさおりさんでした。

お料理好きで、いつかこんなカフェで働いてみたかったという彼女に、よかったら少しずつ作りたいと思ったものを作って、売ってみてくださいとお願いしたのがはじまりで。

そこから、すべてのフードづくりをおまかせして。オープンサンドにケーキ、そしてカレーへと、喫茶ランドリーのメニューは少しずつ花が咲きはじめていきました。

気持ちよく楽しく、お客さんと対話しながらつくってもらいたい。つくって、試しに売ってみて、美味しい!と言ってもらえたら、それがまたモチベーションになる。もちろん、増えてくると仕込みだって大変になったり、色んなバランスと問題が出てきたりもするので、テストしてみて、なくなるものもあります。でもそのプロセスが、またお客さんに対するホスピタリティにもつながっていくものです。

そして、さきほど投げっぱなしと表現しましたが、それくらいの信頼のもとに任せさせていただいた方が、メニューそのものが、より個人に根ざして、かつ尖ったものになると思うんです。そうではなくメニュー開発会議とかをして、オーナーとスタッフで試食会をし、採用の不可を判断し、などとまどろっこしいことをやっていたら、結局角が取れたものしか生まれない。だから、何事もライブ感は大切。

カレーライス、どうだろう?

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喫茶ランドリーをはじめて、いろんなメニューが生まれいって、最初の2018年の夏が過ぎようとしているころ。カレーライスでも、どうかな?と、問いかけてみたら、早速さおりちゃんのカレー作りがはじまりました。試してみて「いいじゃない!」と。でも「いや、まだ何かが違う」と思考錯誤が続きます。

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「無水でやってみたい」「全部野菜だけの水分だけでつくりたい」と。用意された野菜は10種類以上。鍋に溢れるほど山になってるのが、やがてそこから水分が出てきてようやく鍋におさまっていきます。

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市販のターナーだとやりづらいということで、オーナーが偶然南三陸で知り合った方に、特注でお願いした喫ラカレー作り用ターナーで。

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いろんなメニューが増えてきたので、一度プロに撮ってもらおう!とカメラマンの山本尚明さんに。全メニューを撮影していただいたときの、カレーライスの写真がこれ。もうシズル感たっぷりです。

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時を待たずに、やがて喫ラのカレーライスをインスタにあげてくださるかたも増えてきて。いつの間にか看板メニューになっていきました。

そのころは1年目ということで、あまり食べ物は前面に出さないようにしていたんですね。普通カフェも喫茶店も食べ物推しするわけですが、それでお店に来る人って、「食べる」ということが第一の目的になるじゃないですか。完全消費的モードの人に、喫茶ランドリーはフックされたくなかったという気持ちがあったんですね。もっと、総合的に自分にとって”いい場所だったな”と思われかったから。

なんとなく喫茶ランドリーにやってきて、なんとなく食べたものが、美味しいー!!そう、たくさんの人が、言ってくれる。

でもそれが3年も経つと、オーナーとして変な欲が出てきてしまいました。

そろそろプロの人も評価してくれてもいいのいなぁ、とか。余計な欲が。

「とは言っても、普通の主婦がつくる料理です」みたいなことを、よくさおりちゃんが言うことがあったので、「いやいや、もはやその域は超えてるよ!」って、別の角度から証明できるチャンスがあればいいのになぁと思っていたわけなんです。

喫茶ランドリーという「場」も熟してきた。手作りフードの人気は衰えず、早3年。2021年になったとき、「今年はきっと、食べ物の取材がくるさ!」なんて言っていた矢先のことでした。

届いた取材依頼のメールを開いたみたら、

覆面調査で有名な雑誌「大人の週末」から!

しかも、ピンポイントで「喫ラのカレーライス」を取り上げたいと!!

さらに、さおりちゃんに取材をしたいと!!!

喫茶ランドリーを取材したいという話は、これまで何百もありましたが、今回はオーナーたちは、必要なし!さおりちゃんと、カレーに!!僕も田中も、飛び上がるほど喜んだのは言うまでもありません。

普通の主婦など、この世に存在しない

今、喫茶ランドリーの各店舗では、働いてくださっているスタッフのほとんどは、ママさんであり主婦です。中には自分の趣味を拡張させた魅力的なお仕事をされている方もいらっしゃるのですが、スタッフたちからも、また日本のどのエリアに言っても、「私は普通のママです」「私は普通の主婦です」という方に出会うことが少なくありません。

でも、この世に「普通のママ」「普通の主婦」など、そもそも存在しないのですね。

どんな人であれ、受け入れてくれる環境があり、そこがとてもワクワクするデザインで、かつ居心地が最高で、さらに応援してくれる人たちに囲まれて居さえすれば、「その人のステキな変態」が現れてくるんです。

そうだから、さおりちゃんの10種類の野菜による香辛料たっぷりのオリジナルカレーは、まさに「さおりちゃんの素敵な変態」なわけです。(故にこのカレーは、家庭で料理をしているだけでは生まれ得なかったでしょう)

そして、これは田中も各地での講演で力説していることでもありますが、「ステキな変態」からこそ、小さな共感が大きく広がっていく!これこそコミュニティやカルチャーの源泉です。

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そんなのびのびと生まれた、ひとつのカレーライスが、こんな形で取り上げられた。まさに小さな共感が、またひとつ大きく広がった瞬間でした。

嬉しいから、レジ脇に雑誌を飾ってしまいました。

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でも、今回のエピソードは、私たちがグランドレベルという会社を通して起こしたいことを、すべて集約しているとも言えるのです。

誰かにとってのそんなことが、毎秒まちのどこかで起きている。そんな社会を目指して、すべてのプロジェクトをつくりたい、動かしいていきたいと考えています。それが私たちが考える新しいデザインです。

そしてまだ、次なる展開があった

そんなカレーエピソードを喜んでいたある日、モグラ席で何やらひそひそとやってるんですね。

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どうやら、さおりちゃんが名刺をつくろうとしたら、常連さんがデザインしてくれることになって、わいわいとやっているわけです。

で、その後、何が起きたかというと

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さおりちゃんは、こんな喫ラのカレーライスをお弁当バージョンにアレンジして

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じゃじゃん!スカイツリーをバックに、墨田区役所前にキッチンカーが!

なんと、墨田区商店街連合会の方が、さおりちゃんにやってみない?と声をかえてくださっていたそうなんですね。

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そんなご縁をいただいて、これまた墨田区の方や商店会連合会の方や常連さんたち、本当にたくさんの人たちがサポートしてくださって、なんと墨田区商店街PRキッチンカー「すみキチ号」に、さおりちゃんが!

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人生初のキッチンカーでの販売。用意していた数十個はものの30〜40分で完売だったそうです。すごいよなぁ。

「小さなやりたい」を応援する、なんて僕らはよく言いますが、応援されるほうが実はもっともっと大変なこともわかっています。はじめてのチャレンジほど、パワーを使うものだけど、その分大きく何かが変わります。

ただ、どんな変化かはわからないのです。でもそれでいいんです。それがいいんだと思います。

さおりちゃんと出会ったとき、今のこの具体的な光景は、僕らにも描けていませんでした。でも、描けない未来が現れてくることが、何にも代えがたい喜びなんです。

けどきっと、今回のこのようなエピソードも、あとから振り返ったら「点」でしかなかった。そんな風に、さらに素敵な人生につながっていってくれたら、最高ですよね。

色んな人にとっての、そういう環境づくりを、これからも施設やまちのデザインを通して実践していきたいです。

っていうか「場」づくりって、こういうことですよね!

というわけで、今日はこの辺で。

1階づくりはまちづくり。


大西正紀(おおにしまさき)

ハード・ソフト・コミュニケーションを一体でデザインする「1階づくり」を軸に、さまざまな「建築」「施設」「まち」をスーパーアクティブに再生する株式会社グランドレベルのディレクター兼アーキテクト兼編集者。日々、グランドレベル、ベンチ、幸福について研究を行う。喫茶ランドリーオーナー。

*ベンチの話、喫茶ランドリーの話、グランドレベルの話、まだまだ聞きたい方は、気軽にメッセージをください!

http://glevel.jp/
http://kissalaundry.com/

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大西正紀
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