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コロナからのまちづくり03|利他主義とまちづくり|Eテレ超訳ジャック・アタリ(経済学者・思想家)から、田中と大西がグランドレベルの所信表明2020を!
先日、深夜にそれとなくテレビを付けたら、Eテレでジャック・アタリさんという経済学者で思想家の方の緊急インタビューが画面に映っていました。今回はそこから、私と田中元子で会話したことを、今回はそのまんま公開!
(´・ω・`) 今、Eテレでジャック・アタリさんて人が、いつも我々が話しているようなことを語っとたよ!
冒頭のタイトルが「altruism・利他主義」。
(´・д・`) !!!でも俺ね、知ってんの。この「利他主義」って言葉、すっごい誤解されるんよね。英語のママが伝えるニュアンスだとまた、違うんだろうなぁ。
(´・ω・`) わかる。よくある日本語訳によって哲学が引き継がれなくなるアレね。。言葉そのものは、19世紀のオーギュスト・コントってひとがつくった造語みたい。
(´・д・`) ほほう!それでアタリさんは、どんなこと言ってたんだい?
1.ポジティブに生きるために●●に集中しなさい!**
(´・ω・`) アタリさんは言います。
パンデミックという深刻な危機に直面した今こそ、「他者のために生きる」という人間の本質に立ち返らなくてはいけないよね。協力は競争よりも価値があり、人類はひとつであることを理解すべきんだよ。だから、利他主義という理想への転換こそが人類がサバイバルしていく上での鍵なのは、確実なんじゃ!!
だから、ブログでも「Cheers for life(生命万歳)」とか「Think and Live Positive(ポジティブに生きよう)」って発信し続けてるのよ。そうそう、利他主義ともうひとつポジティブって言葉を伝えたいんよ!
あっ、でもね。私が言いたいポジティビズム・Positivismってのは、オプティミズム・Optimism(楽観主義)とは全然違うのね。
たとえば、観客としてし合いを見ながら「自分のチームが勝ちそうだな」と考えるのが楽観主義。一方、自らも試合に参加して「うまくプレイできれば、この試合に勝てるぞ!」と考えるのがポジティビズム。
そういう意味で、私はポジティブなの。それを皆さんに伝えたい。人類すべてがこの戦いに勝てる! 自分たちの安全のために最善を尽くし、世界規模で経済を変革させていくことができれば、きっと勝てる!!
今の状況は、私が日頃唱えている「ポジティブ経済」に向かう良いチャンスだと思ってのよ。ポジティブ経済とは、長期的な視野に立ち、私が「命の産業」と呼ぶものに重点を置く経済のことね。
生きるために必要な、食料、医療、教育、情報、研究、イノベーション、デジタルなどの産業などが、これにあたる。こういった「生きることに本当に必要なもの」に、いかに集中するかということが、ポイントなの!!
(´・д・`) ほほう!!アタリさん、突いてるわねぇ〜。完全同意よね。だから、あとはこのことが、いかに共有されていくかということよね。この不平等で、立場も価値感も何もかも違う人同士でね。「命の産業」って、すごくいい言葉ね。生きるために必要なものって、何なのかってことがね。
そして、ここにもまた誤解があるというか、「生きるために必要なものは?」という問いに対して、全く立ち戻れない人の多さと言ったら。そして、そういう部類人たちの実質的力が強かったりしてね。
んでんで?
(上写真:昨日の「喫茶ランドリー」の軒先)
2.ポジティブに生きるために●●に集中しなさい!
(´・ω・`) アタリさんは続けます。
世界各国が国境封鎖し合う中で、他者のために生きる利他主義って意味あんの?とかよく言われるの。
でもね。利他主義は、合理主義に他ならない。だって、自らが感染の脅威にさらされないためには、他人の感染を防ぐ必要があるからね。利他的であることは、ひいては自分の利益になる。多の国々が感染していないことも、自国の利益になる。
つまり、利他主義って、他者の利益のためにすべてを犠牲にすることじゃないんよ! 他者を守ることが、我が身、家族のコミュニティ、そして、国や人類全体の利益にまでつながるってこと。
だから、利他主義ってさ、実は最も合理的で自己中心的な行動でもあるの。でも、今回の危機は乗り越えられる! 薬やワクチンがいつ開発されるかはまだわからないけど、数ヶ月の間に打ち勝てるでしょう。
ただーーし!!!長期的に見ると、このままでは勝利は望めないところもあるの。経済を全く新しい方向に設定し直すことがマスト!!!
たとえばさ、戦時中の経済では、企業は生産を自動車から爆弾や戦闘機へと変えたわけね(photo : Follow Nakajima Aircraft, Ota, Japan 1945 9 of 37 ⒸRichard)。今回も同じように移行すべきなの。
ただ今はもう爆弾や武器の生産じゃないのは、わかるよね。今だったら、医療機器、病院、住環境、水、良質な食料などの生産。この生産を長期的に行っていくこと。
多くの産業で、こういう大規模な転換が求められる。さて、果たして私たちはできるのでしょうか? 少なくともパンデミックの後、人々が以前のような行動様式に戻ってしまったら話しにならないかもね。
(´・д・`) 利他主義は、合理的利己主義に他ならない。ホントそうやね。ずっと私も言ってきたことや。個人であれ、組織であれ、「全く新しい方向に設定し直す」ことができるかよね。ま、私たちは「1階づくりはまちづくり」という切り口で、それを試みようとしているわけだど。
(´・ω・`) 日本の場合、住宅ひとつ、マンションひとつ、都市計画に再開発、どこまで舵を切れるか。コロナで経済的にダメージを被りつつも、踏ん張って目先の利益ではなく、きちんと先を見られるか。企業も行政も「利己」ではなく「利他」こそが、結果的に自分たちにも最大の利益をもたらすことをどこまで理解し、実行できるかにかかってくるよね。
でも、ここで舵を切れない企業も行政は、まさに死んでいくことになるよ。仮に、もう一度別のパンデミック急の何かが地球規模で起きたら、と想像したら、そのリアリティは大きい!
3. **一人ひとりが未来を選択し、創る**
(´・ω・`) でね。最後にアタリさんは、こうまとめていきます。
歴史全体を俯瞰してみると、人類は恐怖を感じたときにのみ、大きく進化するんよ! 私たちは、まさに今、進化するために、これまでの生き方を見直すべきだよね。
いやいやいや、もちろん前進するために、恐怖やこんな大惨事が必要だなんて、本当は言いたくないのよ。むしろ、魔法があれば、今すぐパンデミックを終息させてほしいさ。
でも、良き方向に進むためには、今の状況をうまく活かすしかあいよね。利他的な経済や社会、つまり私が「ポジティブな社会」「共感のサービス」と呼ぶ方向に向かうためにね。
でもでもなー。人類は未来について考える力がっても乏しくて、忘れっぽくあるのも事実なんよ。問題を引き起こしている物事を忘れてしまうことが多いからねぇ。過去の負の遺産を嫌うため、それが取り除かれちゃったりすると、これまで通りの生活に戻ってしまう。
人類が今、そういった弱さを持たないように願うしかないけど。そうならないために、私たち全員が次の世代の利益を大切にする必要がある!ってこと。とにかく、それが大きな鍵なんだ!
誰もが、親として、消費者として、労働者として、慈善家として、そして一市民として投票を行うようなときにも【次世代の利益となるよう行動を取る】ことができれば、それが確実な希望になることでしょう!
4. 私たちにとって本当に大切なものとは?
(´・д・`) なるほどなぁ。「人類は未来について考える力がっても乏しくて、忘れっぽくある」って、ホントそうなんだよ!!!「人類が今、そういった弱さを持たないように願うしかない」ってのも、その通りで、その弱さを何でどのように補っていくかということなんよね。そこで、どんなことがクリエイティブ、デザインできるか。
そこで、私たちが行き着いたのが「1階」「グランドレベル」よのう。「まちの1階い希望があれば、人類の弱さをも保てることができる。
(上写真:喫茶ランドリーホシノタニ団地)
(´・ω・`) そうよね、ホントに。補うってのは、どう気付かせるかということだとも思うけど、たとえば、パーソナル屋台、マイパブリック屋台をまちに出して、無料で振る舞う体験とか、喫茶ランドリーで体験する日常とか、レコードコンビニで体験することとか、そういうこれまでにない些細な体験で「気づき」を与えられるかということが、我々としては一番希望が持てることよね。
(´・д・`) せやせや、そういうことや。だからこその1階に能動性なんや。気づくには体験、体験のためには1階!
(´・ω・`) アタリさんが言ってる「本当に必要なもの」のひとつには、「まちの1階」がマストってことよね。
(´・д・`) 生きるのに必要なもの → それい集中する強さ → 生きる喜び → 良きまちの1階、とキレーに続くんや。ちょっとひっかかったのは、アタリさんよ。生きるのに必要なのは、産業だけではないよ。産業を行うのは人間だからな。人間の喜びこそが、集中する強さにつながるんや。
(´・ω・`) 確かにね。きっとアタリさんも、そこは大いに共感してくだはるでしょ。フランスの方やし、フランスのまちの1階、日常風景の充実っぷりは(下写真:La Citta Vita)語るまでもないからのぅ。
でも、日本では「まちの1階」に、いかに人の居る光景を生み出していくかということは、とにかくマストや。
(´・д・`) 話はそっからやな!
(´・ω・`) 因みにアタリさんは、東京オリンピックなんてやっとる場合やないで! やってしもったら、日本は死んでまうで!って言い続けてるみていね。
(´・д・`) ほんまやね。でも、今んとこ1年後にやるつもりやから、ここもポジティビズムで、この1年で何ができるかということやね。どんな負け戦にできるか。
でも、自分たちに問えることは変わらん。どれだけ良い1階をつくれるのか。どれだけベンチ置けるのか。本当に豊かな街を示せるのか。「喫茶ランドリー」のような発明を生みだし続けられるのか。今手元にいただいているいろんな施設の1階に関するプロジェクトは、ますます気合が入るな!!
(´・ω・`) 先生!まさにその通りで!!
ウィキったら、アタリさんて、つくづくすごい人やな。ミッテラン政権以降、フランス政権の中枢にいて、サルコジ、オランド、マクロン大統領にも直接的な影響を与え、「オランド政権下ではポジティブ経済に関する委員会を組織し、44もの改革を提案した」ふが!! そりゃいい国に変わっていくわな。
(´・д・`) だからあれよな。日本に問われているのは、オリンピックがあってもなくても、本当の豊かさを哲学できるのかい?ってこと。いや、できるのか?できないのか?ではなく、やらねばならぬ。
俺らがやることが、俺らが見えている解像度で理解されるなんてことは、目の黒いうちには到達できかもしれん。もちろん、その覚悟でやってるけどな。それでも生きているうちに、その兆しくらいはつくっておきたいよな。
(´・ω・`) せやね。それでええんじゃ。そして、すでに兆しの一端は見られるわけだから。
われわれが直接的につくるものだけでなくて、「喫茶ランドリー」に憧れて勝手に場づくりを試みる人もいれば、「パーソナル屋台」を自発的に展開されている人も全国的に増えていることだって、すばらしい徴候だと思うよ。「グランドレベル」なんて言葉も、建築学生たちが使い始めてるなんて、一昔前を考えたら信じられん状況じゃ。
だいたい、われわれのところに国交省や経済産業省の人たちがきて、「まちの1階」がどうして大事なのかという話を聞きにきてくださること自体、ありがたいことだし、大きな変化は一歩ずつ動いとる。
ま、いずれにしても、この今目の前の動きというものと、一方で100年後、200年後の当たり前の日常づくりに、いかに貢献できるかということを考え続けていきたいよな。スケールでか!とか言われんのか?これ笑。
(´・д・`) いやいやいやいや、そーゆースケールよ!何を大事にし続けられるかって話や。そういうことは普遍であり続けられる。どんなテクノロジーを持ち、どんな社会になったとしても、だ。
だから、「1階づくり」ってのは、ひとつのメタファーというか、現代における幸福を目指すための手段なんよ!
というわけで、今日はこの辺で。最後にオマケの動画をひとつ。昨年田中がTEDでプレゼンさせていただいた動画。「1階づくり」と「世界平和」について。
1階づくりはまちづくり。
大西正紀(おおにしまさき)
ハード・ソフト・コミュニケーションを一体でデザインする「1階づくり」を軸に、さまざまな「建築」「施設」「まち」をスーパーアクティブに再生する株式会社グランドレベルのディレクター兼アーキテクト兼編集者。日々、グランドレベル、ベンチ、幸福について研究を行う。喫茶ランドリーオーナー。
*喫茶ランドリーの話、グランドレベルの話、まだまだ聞きたい方は、気軽にメッセージをください!
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![大西正紀](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/150941060/profile_a5843d844e0ce12e49af5d31aed04c03.jpg?width=600&crop=1:1,smart)