HERP初のリブランディング。ブランドガイドラインの開発プロセスを公開します。
こんにちは、HERPマーケティング担当の河野です。
2023年1月、HERPは創業以来初となる自社ブランドの見直しを行いました。
今回本格的にブランドを見直すにあたり、ミッション・バリューの刷新やデザイン・ロゴのガイドライン策定など、さまざまな取り組みを行ってきました。
このnoteでは、リブランディングに至るまでの背景やブランドガイドラインの検討・開発プロセスなど、本プロジェクトの舞台裏をお伝えしたいと思います。
リブランディングの背景
かつては少人数の組織で、プロダクトは採用管理システム『HERP Hire』だけを運営していたため、メンバー間で「HERPとはどんなブランドなのか?」がなんとなく揃っていましたし、代表の庄田だけで組織全体を見ることが出来ていました。
しかし今では正社員が55名を超え、HERPは組織拡大期を迎えています。そして組織の拡大に伴い事業活動もより活発になってきました。
タレントプールシステム『HERP Nurture』をリリースしマルチプロダクトになり、オウンドメディア、採用サイト、Culture Deck(HERPのカルチャーを説明するサイト)、『HERP Service Guide』(ヘルプページ)などのウェブメディアも立ち上げました。さらには各種カンファレンス・イベントへのスポンサー参画等の対外的なコミュニケーションの機会も増えています。
ただ人数が多いほど、新しい仲間が増えれば増えるほど、一人一人の「HERPとはどんなブランドなのか?」への答えには、どうしても微妙に差異が生まれてしまいます。
これはそもそもの「HERPとはどんなブランドなのか?」が明確になっていないことに起因するもので、社内でも徐々に課題として認識され始めていましした。
また、今後HERPは積極的に新規事業やプロダクトを展開していきたいと考えているため、ますますHERPブランドの一貫性を保つための仕組みが必要でした。タイミング的にも「やるなら今しかない!」と考えていました。
HERPブランディングプロジェクトが始動
上記の背景から、ブランドを定義し、社内外でのブランドの健全な浸透を図るために、2021年7月にHERPのブランディングプロジェクトを発足しました。
具体的には以下のステップで検討を進めることにしました。
ミッション・バリューの見直し
ブランド定義とガイドライン策定
上記を実現するためにどのようなプロセスを経たのか、詳しく説明していきます。
プロセス1. ミッション・バリューの見直し
ブランドガイドライン(カラーパレットやデザインなどの細かなルール)を作るためには、そもそものブランド定義が必要でした。そしてその「HERPとはどんなブランドなのか?」を明確にするために、まずはすでに存在している会社のミッション・バリューを見直すところから始めることにしました。
もともとHERPでは「採用2.0を実現する。」をミッションに掲げていましたが、これはあくまで創業当初のもの。創業から4年以上が経ち、今一度「HERPのミッションは何なのか?どんなバリューを通じて実現するのか?」を考えることで、「HERPとはどんなブランドなのか?」の答えを導くことにしたのです。
ミッションの見直し
ブランド定義の根幹となるミッション・バリューを検討するにあたり、PARKさんにサポートいただきながら、検討メンバーでディスカッションを重ねました。
まずは社内メンバーや投資家、お客様へのインタビューからスタート。HERPの強みや提供したい価値、3年後にありたい姿などについて様々な立場・視点からの意見を聞きました。
そのインタビューを基に議論した結果、「採用にフォーカス」&「日本を強くする」という主張と、「採用を変えることで、企業が変わり、企業が強くなる」ことを目指したいという指針が決まりました。
これらを一言で表すために30以上のコピー案を出し、さらにディスカッションを重ね、「採用を変え、日本を強く。」をHERPのミッションとすることに決めました。
参考:CEO庄田のミッション刷新についてのnote記事
バリューの見直し
そして、そのミッションを実現するためにHERPのメンバーが体現すべきバリュー(行動指針)も従来のものからアップデートしています。
世の中の人々は、プロダクトやクリエイティブだけではなくありとあらゆるタッチポイントを通じて「HERP」を認識します。もちろんHERPのメンバーもその一つです。例えばセールスによる商談、カスタマーサクセスによる日々のユーザー企業の皆様への支援、求職者の方との面談・面接、Twitterでの個人の発信……これらが全て「HERP」というブランド(≒人格と言ってももいいかもしれない)を体現するため、上記のバリューが「HERPとはどんなブランドなのか?」を規定する上でとても重要なものであると考えていました。
プロセス2. ブランド定義とガイドライン策定
続いて刷新したミッション・バリューをベースにTHE GUILDさんにお手伝いいただき、HERPのブランド定義とガイドラインの策定に取り組みました。
ブランドパーソナリティーの定義
まずは社内で「HERPとはどんなブランドなのか?」についてディスカッションするワークショップを実施。その中で「HERPが一人の人格だとしたら、何を考えているか、どんな発言をしているか、どんな性格か」等をブレストする機会を設けたところ、HERPに対する認識は人によって微妙に違うことが分かりました。
このHERPブランドに対する各々の認識は本質的に違うものなのか、それとも抽象化すると同じ概念に収斂するのかなど議論を繰り返しながら、HERPの定義を固めていきました。
…というと順調に進んだように見えるのですがこのあたりで3ヶ月以上沼にハマっていました。
当時の社内検討メンバーである庄田、COO徳永、私がかなりロジックにこだわるというか、『客観的な事実に基づいていて、「なぜそうなのか?」を誰が考えてもそうなるよね』という答えでないとなんだか気持ち悪いな、と思うタイプでした。しかしブランド定義とは必ずしもそのような答えが出せるものではなく、ある程度の腹落ちに裏打ちされた「決め」が求められるものなんじゃないかな、と私は考えています(腹落ちのためにはロジックはとても重要です)。
そのため、なかなか「HERPってどんなブランド?」という問いの答えを出せずに悶々としていました。
そんなタイミングでデザイナーのSmithがHERPに入社し、ブランディングプロジェクトに参画してくれました。
彼のディレクションのおかげでとてもスムーズに議論が進むようになりました。
そして議論の結果『HERPのミッション「採用を変え、日本を強く。」はHERPだけで実現できるものではない。企業のよりよい採用の実現を通じた事業・組織の成長を、HRTechの中でも採用領域にフォーカスして取り組むプレーヤーとして共に推進していきたい』という考えに至り、最終的にHERPのブランドパーソナリティーを「採用のあり方を見つめ、企業を支える伴走者」であると定めました。さらに構成要素をMind, Appearance, Behaviorの3つの観点で規定しました。
こうして見てみると、HERPの人材採用基準にかなり近いものになっているように感じます。
デザイン原則の定義
続いて、HERPブランドをデザイン観点で体現するためのデザイン原則を作りました。先に定義したバリュー(行動指針)とブランドパーソナリティのマインドに基づいています。
実は最初に「なんとなくこの4つかな?」というものをバン!と出した案を作ったのですが、前述の「腹落ち」感がなく、ありきたりな印象なものになってしまっていました。
そこで、せっかくミッションから紐解いてバリュー・ブランドパーソナリティを作ったのだから、それに立脚したデザイン原則にしよう、ということで今の形になりました。
ブランドカラーの定義
ブランドカラーはデザイン原則のMinimal, Clearをベースに、モノトーン(白と黒)とすることにしました。
ただしマーケティングやプロダクトの用途では、アクセントやユーザビリティの観点から他の色を使わざるを得ない場面も想定されます。そのため、共通カラー(HERP Brand Color)だけではなく、マーケティング用のHERP Accent Color、プロダクト用のHERP UI Colorも定めました。
マーケティングで使用する色(HERP Accent Color)の議論はかなり難航しました。白と黒はHERPのブランドパーソナリティに立脚して決めたブランドカラーなので、そらら以外の色を極力使いたくないと考えていました。
しかし、マーケティングでは短い時間で伝えたいメッセージを届ける必要があるシーンが多々あります(ウェブ広告のバナー等)。白と黒だけを使うことに固執しすぎると、コミュニケーションの受け手がメッセージをパッと理解できない可能性があります。これはデザイン原則のClearを満たしていないし、白と黒に固執する事自体がブランドパーソナリティのBehaviorのDon'ts「独りよがりな行動」だな、と思いアクセントカラーを用意することにしました。
このようにブランド定義を進める段階においても、定義したブランドパーソナリティが意思決定の指針として機能してくれました。
ロゴの刷新
ブランド定義やデザイン原則を検討した際に、HERPのブランドパーソナリティには「思いやり」「柔軟」などのキーワードが挙げられました。それらに照らすと、「現在のロゴはあまりにもエッジが効きすぎている」と感じました。
旧ロゴを作成した当時は創業したばかりでメンバーも庄田とCOO徳永の2人だけ。まだまだHERPは世の中から知られていませんでしたし、全く影響力もありませんでした。そこで影響力を与えられるサービス・プロダクトを作りたい、だからこそ「強い・最新・クールなイメージ」を持ってもらいたい、という思いから、切り欠きの意匠をあしらったロゴが作られたそうです。
しかし今回、HERPのブランド定義をする中で「尖っている・クール」なイメージではなく、HERPの「日本に対して本質的な努力を続けることで、貢献できるような存在になりたい」という強い想いを表したいと考えるようになりました。
この変化に伴い、もう少し「信頼感」を大切にした、先に定義したブランドパーソナリティを表現したロゴに変更することにしました。
その意味ではこのプロジェクトは「リブランディングしよう」と始まったのではなく、「HERPとはどんなブランドなのか?」を定義する過程を経た結果のリブランディングだと思います。
また今後の事業展開を考えると、ロゴにはブランドをパッと想起してもらうための装置としてシンボルを含めることにしました(旧ロゴだとファビコンにした時に見づらい、というのもありました)。
今回ブランド定義・デザインガイドラインの策定をサポートいただいたTHE GUILD 小玉さんにロゴ案を複数出していただき、検討メンバーで「これは✗✗だからちょっと違う」「あれは◯◯なのでイメージ近いかも」といったフィードバックを行い、次週ブラッシュアップしたロゴ案をまた複数出していただく、というサイクルを重ねました(小玉さんには本当にご尽力いただきました)。
最終的にブランドパーソナリティに立脚した「企業の採用活動を共に前へ進めていく」というスタンスを表現した「人と人との関係性」と、採用や企業の変革のダイナミズムを表現した「渦」とをかけ合わせ、モチーフとしたシンボルマークを加えました。ロゴタイプ(書体)は同じく新たに策定した デザイン原則のもと、ミニマルでシンプルな書体である『Inter』を採用しています。
今回策定したガイドライン及びロゴは以下のサイトで公開しています。
今回のプロジェクトで学んだこと
今回のプロジェクトで学んだことはたくさんあるのですが、真っ先に浮かんだ2つを書きます。
アウトプットから考える
あくまでもまずブランドがどうありたいかを決めて、それに続いて見た目をどうするかを決める、という順序は守りたかったのですが、とはいえいきなり「HERPはどうありたいか?」を考えるのはむずかしく、当初それが原因で前述の沼にハマった気がします。
出発点・たたき台としてHERPのあるべきビジュアル(仮)を考えてみて、これは違う、あれは合ってる、というプロセスを繰り返すことをもっと早くやっていればよかったなと思いました。
人間でいうと、まず自分がいいなと思う服を着てみて、「これは自分には似合わない、なんで好きじゃないんだろう?自分のこだわりってなんなんだろう?」を考えみる感じ。
議論のログは出来る限り残す
ブランド定義に正解はなく、関係者で煮詰めた議論に基づいて腹落ちした結論を出すことが重要だと考えています。
逆に、時間が経った後にブランドガイドラインを見直したいと思った時、新しいメンバーが入ってきて「なんでこういうブランド原則なんだろう?」と思った時に、なぜこの結論になったのかを理解するためにインプットである情報に触れられるようにしておくことが大事です。
ブランドガイドラインだけがポン、とあっても「なぜこういうルールにしたのか?」を正確に推測することはとても難しいと思います。
今回わりとログを残していたと思いますが、これでももっと残しておけばよかったな、、、と思いました。
今後
今回作成したブランドガイドラインは出発点でありアップデートしていくことを前提としています。デザイン原則に基づいてウェブサイト、プロダクト、広告クリエイティブ等の制作を進める中で徐々にガイドラインを具体化していきたいです。
また、上記ブランドガイドラインのアップデートと社内の浸透を促進するためのブランドマネジメント体制の構築・運用に取り組んで行かなければならないと考えています。
最後に~仲間を募集中です!~
今回のリブランディングのプロジェクトは、HERPブランドがこれから飛躍していくための準備に過ぎません。このブランドを育てていくためにやるべきことがまだまだたくさんあります。
HERPでは「採用を変え、日本を強く。」のミッションに共感し、一緒にこれからのブランド・事業成長を実現してくれる仲間を募集中です。
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