エッセイ/檄・あとがき
出ない力を振りしぼって、あんな「暑苦しい」文章を書くくらい、私はまだ、迸るほどの憤懣、すなはち情熱と希望を抱いているのだ、と驚いた。
自らにかこつけて、他人様の批判をするときは、こちら側の、いろいろな調子がよろしくないこと、よくよく知っている。
そういうときは、筆を擱くのが見識である。
見識がどうした、概念め、と、私は「質料スコープ」を身につける。
石とか、雪とか、そんなものしか見えないヒミツのメガネである。
かつてはヤッタ君がかけていた、おでこのメガネである。
ちなみに、このメガネ、片側が四角、片側が丸、ではない。
お国の、なんて言えるほど、何も役には立てない。そもそも私は、原理的極左である。
その原理的極左をして、何とかこの国を、なんて言わせるような国に、気づいたらなっていた。
めったに、こんなこと書かないようにしている。
蝶よ花よ、芋けんぴよ電気代よと、韜晦に徹している。
たまにはこう、むやみに暑苦しくなりたい、と思ったのは、またぞろ風邪ひいた娘が、さむーい、がたがたするー、と仰せだから。
何卒ご容赦を。