本と本の間で、眠りたい
自分は、所謂、本好きとまでは言えないけど、
やっぱりブックカルチャーには興味がある。
三つだけ、気に入ってる本屋の話しをしたい。
一つは、前住んでいた街にあった本屋で、
残念ながら、今はもうない。
店は狭いし、限られた本しかないんだけど、その品揃えがすごいんだ。
各コーナーに対して思い入れがあり、プロフェッショナルだった。
店員は、皆、アーチストや学芸員みたいな雰囲気で、服装からしてお洒落だった。グレーのベストに紫のタイをしたり、洒落たツイードのスーツだったり、個性的で素敵な人たちだった。
自分は、本屋とバーテンダーは同じだと思ってる。
こういう本読みたいんだけど、おすすめは?と聞いて、よくここで本を買っていた。
まあ、そもそも、英語の本をパラパラめくっても、自分にはよく分からなかったから、聞いていただけなんだけど。
感染者が多くて、厳しいロックダウンのときも、この本屋があるだけで、何だか安心できた。
規制の下では、本は、生活必需品じゃない。
だから、店の扉は基本的に閉まっていて、中で店の人たちは仕事をしている、みたいな日が続いた。
それでも店の前に、何人かお客が並んでいたのをよく見かけた。
ロックダウンで本がたんまり読めるぞ、とこれ幸いと、買い込む本好きの人たち。
それに、皆んな、こういうローカルのいい店に生き残ってほしいから、インターネットなどでは買わず、店で買って、大事にしていた。
店に入れなくても、ガラス越しに、「それそれ、その本!」「いや違うなあ」とか、お客が店員とジェスチャーでやりとりして本を購入していく様子を見て、気持ちが少しは明るくなった。
最高の場所だった。
結局、パンデミックの影響で、その本屋を含むテナントは皆んな出されてしまったんだ。オーナーがビルを高く売りに出そうとしたか、家賃を法外に上げたんだろう。
HPを追っても、あの店が再開された情報はない。
とても残念だ。
その本屋に通い始めたとき、ある別の本屋のことを思い出した。
東京の千駄木にある小さな本屋。
私はここからそう遠くない街で生まれ育ち、社会人になり一人暮らしをしたのも、この本屋の裏だった。
先に話した 店と同じで、品揃えが、もう、文化みたいな感じだ。
平積みされている本は、他の書店とは全く違うし、つい手に取り読んでみたくなるようなものばかりだ。
でも、それらは決してむずかしい専門書ではないし、大衆的な雑誌だって置いてある。
その辺の塩梅が、「飲まされてる」感じなんだ。
この間、久しぶりにふらりと寄ってみたら、
入店して10分で読みたい本が三冊も見つかった。
お財布がスッカラカンになってしまう。
最大級の満足だ。
最後は、本屋じゃなくて、イベントの話し。
Byron bayという場所があるんだ。
海沿いの街。サーフィンやヒッピーカルチャーに興味がある人は知っているかもしれない。
そこで、Byron Writers Festival というのが年一回開催されている。
場所の素晴らしさも相まって、そのブックイベントは毎年大盛況で、遠方からも人が集まった。
本を売り買いするだけじゃなくて、何人ものローカル作家たちが講演をしてくれて、一杯やりながら、いい気分で様々な企画に参加ができるんだ。
って、実は、自分はまだ行ったことがないけど。
彼らはpod cast で講演も配信してくれるから、興味がある作家の話しは、いつでも、どこにいても聞くことができるんだ。
そういうのを聞いていて、ハッとするのは、
場をどっしり押さえるインタビュアーの存在だ。
自身も作家だったり、編集者やジャーナリスト、キャスターだったりいろいろだ。
互いにプロフェッショナルな人間だからこそ、聞き応えのある対話が生まれるのかもしれない。
自分の夢は、いつかそのフェスティバルに行くことなんだ。
ビーチを散歩して、ビール飲んで、作家たちの興味深い話しを聞いて、本好きに囲まれて、本に酔って眠りたい。
日本にもそんな素敵なイベントがどこかにあるのだろうか。あるなら、ぜひ行ってみたいな。
本と本の間で、飲んで、食べて、眠りたいよ。