見出し画像

優しい感性で生きていたい

「なんで?」じゃなくて、「どうして?」と言える人になりたい。

もちろん文脈によるんだけど、
なんで?って言われると、世の中の常識はこうなのに、みんなこうしてるのに、
あなただけなぜそうなの?って言われてる気がしてしまう。
一方で、どうして?は、まっさらな気持ちで素直聞いているような気がする。
ゼロペースで、純粋な気持ちを感じる。
寄り添ってくれている気がして、優しい。
そんな優しい感性を持つ人間になりたい。

東京でビールメーカーの営業をしていた時、なんとか得意先を理解しようと、とにかく得意先との夜の同行訪問を入れまくっていた時があった。

ビールメーカーの業務用の営業は、業務用酒販店と呼ばれる一般的に卸の機能を持つチャネルと、業務用酒販店がお酒を販売している飲食店の2つのチャネルがお客様となる。
業務用酒飯店のセールスと共に、お客様である飲食店へ顔を出し、お酒を飲みながら関係性を深めていく。
そうやって自社の商品を一つでも多く飲食店で取り扱ってもらえるように営業していくスタイルだ。
ゆえに、毎日遅くまでお酒を飲む。しかも、勿体無いので1軒では終わらない。
多くて5、6軒訪問し、関係性を深めていくのだ。

なんとか実績を上げようと躍起になっていた僕は、毎日スケジュールもびっしり埋まるほどセールスさんとの同行訪問を繰り返していた。

金曜日は当然遅くまで飲むので、土曜日は1日中寝ていたし、日曜日も昼過ぎまで寝て、遅めのランチを食べ、ため息をつきながら銭湯に行き、疲れが完全に取りきれないまま、月曜日を迎え、当たり前のように金曜日まで目一杯働く。
そんな日々を繰り返していた。

そんな日々が続いたある日、何気なくのぞいたスケジュール帳は、3ヶ月先まで予定がびっしり詰まっていた。
自分が箱の中にいて、四方八方から壁が迫ってきて、自分を追い詰めているような、そんな焦燥感を感じた。
そしてある決断をした。

「まずは2週間に1回は、自分のために時間を使おう。」
そう思った。

明るいうちに定時で帰ってみたり、同期と飲みに出かけたり、
買い物に行ってみたり。
自分の心の声に従ってみることにしたのだ。

よく考えたら、営業になってからというものの、明るいうちに電車に乗って帰るなんてしたことなかったことに気づいた。
いつも遅い時間に帰るから、近所の定食屋も閉まってるし、大好きなカレーが食べられる喫茶店だって、20時には閉まってしまう。
いつも「CLOSE」の札を見るたびに、そうだよねと独り言を吐きながら店の前を
通りすぎ、やるせない気持ちを抱きながら寮まで帰る。
もちろん疲れてるから、足取りも重い。部屋に帰ったら、ベットに横たわり、いつの間にか眠りにつく。
心も身体もボロボロだった。
ちなみに仕事が嫌いなんじゃなくて、スケジュールが詰まりすぎる事が嫌なので、
そこはご理解いただきたい。

久々に定時に帰る事ができた時、井の頭線の渋谷駅はいつもより何だか明るく見えた(当たり前か笑)。
その日はとても天気が良くて、夕暮れに馴染む街を横目に最寄駅を目指した。
コンクリートだらけの街から家々が立ち並ぶ街並みへ景色が変わる様は、僕を不思議と高揚させた。
その景色は決して当たり前の景色じゃなかった。ありがたいと思った。
自然と笑顔になった。
そうしてる間に、あっという間に最寄駅に着いた。
定食屋で食べた唐揚げの味は、今でも忘れない。

カラカラに喉が渇いている時に水を飲むと、身体中に水分が行き渡っていく感覚のような、陽の光をたくさん浴びて、太陽の力をもらってるような、自分が充電される感覚を感じた。

余裕を持つことの大事さを知った瞬間だった。
確かにその時間も仕事の事を忘れることは出来ない。
だけど、自分のために時間を使うことは、とても大事なことだと思う。
予定を決めず、ダラダラと過ごす。
自分の心に問いかけながら、目的もなく過ごす日も時には必要なのだ。
一見無意味と思える事も、必ず意味があるのだから。

自分に優しく出来た時、僕自身の感性は磨かれていくんだと思う。
目的地が分からないと不安になる人もいると思う。
でも、目的地が明確になっているよりも、寄り道をしながら目的地を目指すのも悪くない。
やっぱり僕は感性で生きていたいタイプなんだと思う。
感性を補うために、論理的思考も必要なので、セットで磨いていく事も忘れないように、日々学ぶ姿勢は持ち続けたいと思う。
自分に優しく出来たら、きっと誰かにも優しく出来る。
そう信じて、生きていきたい。

周りの目を気にせず、好きなものはずっと好きでいたい。
一度好きになったものを嫌いになってしまうのは、とても悲しいから。

自分に優しく、そして人にも優しい感性も持てるように、時々休みながら、
更に高い目的地を目指して。

感謝を込めて、ありがとう。
今日もいい一日になりますように。



いいなと思ったら応援しよう!