オーストリアからイタリアへ
連結空気ホース不良で遅れ
8月9日（金）晴れ。
出発時刻が早いのが気になって5時に目がさめる。6時半から朝食可能とのことなので食堂に行く。しかしまだ準備中らしく、パンとチーズとジャムと紅茶で軽く朝食を済ませた。支払いをカードでして駅へ。
列車はローマ行きEC。最後尾の一等車は６人用の個室である。すでに車内は日本人の団体客によって前から3分の1ほどが占められていた。廊下まで大きなスーツケースで一杯である。幸いのことに後ろから２番目の個室に予約者のいない席が２つあり、覗くと初老の日本人が空席があるというので中に入る。
窓際にはカナダの中年夫婦が座っていて８週間の旅行中であるという。初老の日本人はジュネーブに滞在中だそうだ。カナダ人とは英語で話していた。
定刻7時30分発車。１時間ほど走ると山岳地帯に入った。霧が出てきたが間もなく晴れ、牧場や小高い山の上には小さい古城も見える。30分ほどで平地に出た。12時5分、オーストリア国境の駅Villahoに着きパスポートのチェックを受ける。
駅の売店でハンバーグ（28S）を、列車内でハイネケン（26S）を求めて昼食にする。12時21分発車。いよいよイタリアへ入る。12時37分国境を通過して間もなくイタリアのTravisioに到着。ここで２両増結するも空気ホースの接続箇所が悪く、部品の交換で30分ほど停車する。
ちょうどその時、向かい側のホームにブルーの車体に黄金色のマーク、真っ白な屋根の綺麗な列車が静かに入線してきた。カナダ人はオリエント急行ではないかと言っていた。Venezia Santa Luciaの表示がかかっていた。修理を終えて私たちのローマ行きは30分遅れで出発する。
傍若無人のイタリア兵らは親切だった
イタリア側の国境近くは低い山岳地帯になっている。平野の多いヨーロッパでも山の稜線や大きな川があると国境らしくて抵抗感もなくて良い。しばらくすると平野に出た。時々広々としたトウモロコシ畑が見える。15時過ぎに着いた駅で兵隊らしい若者が大勢乗り込んできた。
Venezia Santa Lucia16時10分発のMilano行きに乗る予定だったが、連結作業の遅れで間に合わないと思い、ひとつ手前の駅Venezia Mestreで下車し、Milano行きICに乗る。
ユーレイルパスはどこでも一等車に乗れるが、ここの一等者は入り口のドアも総ガラスであり、部屋の窓も大きくて全てが明るい感じのする６人部屋であった。ゆったりとした席に座り発車を待っていたが、定刻になってもなかなか発車する気配がない。接続する列車を待っていたようだ。
やがて向かい側のホームに列車が入ってきた。窓からは兵隊の一団が飛び降りて、こちら側の列車へ一、二等車の区別もなく傍若無人になだれ込んできた。廊下も個室も一瞬のうちに身動きできなくなってしまった。今どき他の国では見られないことで、終戦直後の日本の列車を思い出す。16時31分発車。Vicenzaで下車することを回りの兵隊に告げると、２つ目の駅でバギーとリュックを棚から下ろしてくれた。
ホームでエスペラント仲間の出迎え
ホームに降り立つとプラハの世界大会会場で打ち合わせておいたエスペラント仲間のLさんが迎えに来ていてくれた。今夜の宿はこのエスペラント仲間の用意してくれた善意民泊の家にお世話になる。駅から車で行った。Lさんの家は狭いからと友達の空き家を貸してくれるという。２軒屋のひとつで鍵を開けて２階へ上がる。寝室はベッド１個と小さい物置（クローゼット）があり、窓を開けると中庭が見えた。シャワー室の隣が台所で、食器棚とテーブルの上には明日の朝食用のパンや菓子、ハム、ミネラルウォーターの瓶まで置いてあった。冷蔵庫もあり、Lさんはガスの元栓を開けてコンロの火まで確認してくれた。Lさんは一旦帰宅して19時にまた迎えに来てくれた。
本場のスパゲッティは最高
Lさんの車で市内に向かう。Lさんの事務所は古い教会のような玄関のある建物にあった。高さ数メートルもある扉を開けたところの中庭に車を置き、ビルに挟まれた石畳の道路をしばらく歩いてレストランに入る。
ここはイタリア、スパゲッティの本場である。あさり入りのスパゲッティとビールを注文した。オリーブ油で炒めたスパゲッティは私が今まで食べた中で一番おいしかった。デザートに大きなケーキを食べた後、街中に出た。途中で両替所を見つけたので、500S（＝67,500L（リラ））と100US$（=146,000L）を交換した。10時過ぎまで市内を見物して宿まで送ってもらう。
誰もいない一軒家でイタリアでの初めての夜を迎えた。
大移動の第一弾はオーストリアのウィーンからイタリアのビチェンツァまで。
およそ９時間ですね。ここで３泊したようです。（ウサコ）
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