ワセダ三畳青春記

高野秀行さんの「ワセダ三畳青春期」を読了しました。

早稲田大学探検部に所属する仲間たちと野々村莊に住む変わった人達とのエピソードが奇想天外でぶっとんでいる。自分の大学生活とも照らし合わせながら読んだが、同じ大学生活とは思えないほど異なっていて、羨ましさと憧れを感じた。隣の芝生は青く見えるというから、私の大学生活も他人から見れば、羨ましいものにみえるのだろうか。私は大学生活に特に不満はないし、忘れられない思い出も多く作ることができたが、特段変わったことをした覚えがないことに後悔を感じる。しかし、Jpopが何だかんだ聞いてて一番楽で満足するように、無難なことをやるのが1番楽しいと感じるのも事実。だから、ほとんどの大学生は大学生っぽいことをやって満足するのだろう。でも、ワセダ三畳青春期を介し、今大学生活を振り返って思うのは人とは違った大学生活も送ってみたかったという思いだ。そんな私と同じ思いを持つ人が読むと、全く違う世界に触れることができ、楽しめるに違いない。

もしこんな突拍子もないことをしたらどうなるんだろう、どんな人生になるのだろうと思うことを主人公が実際に行動に移し、その感想、視点が詳細に表現されている。合法麻薬だったり、ずっと大学に寄生したり、三畳に住んでみたりと、絶対にやりたくない、しかし興味はあるということを平気で実行するので、何度も好奇心が満たされた。時代も相まって、そのエピソードの新鮮さはどんなノーフィクションよりも濃い。「人体実験で十五時間、意識不明」は最も私の好奇心を満たし、ユーモラスな回であった。そもそもなぜ激しい幻覚を見たかったのかも疑問であるし、挑戦してみようというその根性も謎であるが。ダチュラの実を3,4粒食べればいい所を気づけば100粒食べているのは滑稽を通り越してもはや恐怖である。その後出た症状も奇怪で面白かったが、私としては、実を食べた本人を放置し、その後何事もなかったかのように振舞う友人達をどこか違う星の住人のように感じた。

先にも言ったようにやはり大半の大学生は飲み会や合コンといった無難なことをやり、それを楽しむ。私はそういう大学生がもし著者のようなことをやったとしても楽しめないのではないかと思う。音楽でいうJpopを好む人間が、デスメタルを聴いても楽しめないのと同様だ。著者のやってることは、普通の大学生がやらないこと、つまりデスメタルであり、それを心の底から楽しめるのはもはや才能といってもいい。

退屈しないぶっ飛んだエピソードと人達に触れることができて大満足でした。

河童団は一番笑った(笑)

本日は以上です。

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