子供叱るな来た道じゃもの 年寄り笑うな行く道じゃもの
日本では幼稚園建設に反対する住民が増えていると耳にしました。
長野市では、子供の声がうるさいという理由で公園の閉鎖が決まったそうで、これは世界一我がままな話だといえましょう。
赤ん坊は将来、日本の人々や社会を支えてくれる貴重な人材ともいえますが、日本の今年の出生数は80万人を切ってしまったそうで、これでは益々少子化社会が進むばかりです。
大人は、自分が子供のとき、周囲に迷惑を掛けながら育ったことをすっかり忘れていますが、人は皆に迷惑を掛けたり、掛けられたりしながら生きているのです。
そう、「許されて生きている」のです。
私たちは許されて大きくなり、そして許しながら老いていくのではないでしょうか。
私がブラジルに来てまだ間もない頃、パトロンの伊藤さんが「他所の家に行って夕食に呼ばれた時、子供の泣き声がするのは良いものだ…」としみじみ言ったことを覚えています。
「ああ、この家もそのうち若い働き手が増えて大きく発展していくのだな」ということが想像できるからです。
だから赤ん坊の泣き声などは、車の騒音や犬の無駄吠えなどに比べたら、よりよっぽど結構なものです。
私の本業は養蜂ですが、毎日外へ出て蜜を集めて働きまわるのはあくまで蜜蜂であって、私自身は蜂に餌をやったり蜂の箱の掃除をしたり、そういう世話をほとんどしなくていいので時間がありました。
それで一頃、日本語学校を手伝っていました。
何かの用事で授業中の私の所に来た人が、教室のあまりの騒がしさに驚いて「先生は毎日こんな所でよく平気ですね」と、言いました。
ここの日本語教室は十数人の生徒の年齢も進度もバラバラなので、一斉授業ができません。
ですから各生徒がおしゃべりをしながら自習をするというスタイルをとっているので、外部の人はその騒がしさにまったく驚くのですが、私は机の前に腰かけて生徒の持って来るノートを、子供の囀(さえず)りの中で調べる係なのです。
子供叱るな 来た道じゃもの
年寄り笑うな 行く道じゃもの
行く道 来た道 還る道
通り直しのできぬ道
(作者不明)
【今日の名言】
祖母を病院へ見舞った孫娘が一言
「おばあちゃん 元気に死になね ! 」
※編集協力
和の国チャンネル