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音楽制作における響きの重要性と普遍性

音楽制作の世界には、様々なアプローチがあります。しかし、その中で最も重要なのは、聴く人の心に響く音を作り出すことではないでしょうか。今回は、私の音楽制作における哲学と、それがどのように形成されてきたかについてお話しします。フュージョンバンドから学んだことや、公共空間で流れる音楽の在り方など、音楽制作者としての思考を暴露します!


響きの普遍性を求めて

音楽制作において、私が最も大切にしていることは何か。それは、聴く人を選ばない普遍的な響きを作り出すことです。音楽は不特定多数の人が聴くものです。そのため、制作者の個性やクセを強く出しすぎると、かえって聴きづらくなってしまう可能性があります。

例えば、話し言葉は、文字に起こさないと理解しづらかったりすることがあります。これは、ある意味で私の個性が強く出てしまっている例と言えるでしょう。しかし、音源制作においては、このようなアプローチは適していません。

私の音楽は、様々な公共空間で使用されています。鉄道の駅や電車内、プラネタリウム、美術館など、私が知らないところでも常に誰かが聴いているのです。そのような環境で使用される音楽は、強い個性を持ちすぎると、聴く人に違和感を与えたり、飽きられたりする可能性があります。

軟水のような音楽を目指して

そこで私が目指しているのは、軟水のような音楽です。日本人が好む軟水のように、癖がなく、長く飲み続けられる水。そんな感覚の音楽を作ることを理想としています。

具体的には、聴いていて違和感のない音、料理でいうところの「灰汁(あく)抜き」のような作業を徹底的に行います。最後のマスタリングまで、少しでも引っかかる要素がないか、何度も確認を重ねます。なぜなら、ほんの些細な違和感が、リスナーの耳に引っかかり、「もう聴きたくない」という感情を引き起こす可能性があるからです。

せっかく時間をかけて制作した音楽が、一度の使用で終わってしまうのは非常にもったいないことです。だからこそ、長く愛され、繰り返し使用される音楽を目指しているのです。とりわけ私の音源は、不特定多数の方が聞かれる可能性のある公共空間で使われているのですから、なおさらです。

フュージョンバンドから学んだこと

ここで少し話は変わりますが、私は実はフュージョンバンドが大好きなんです。80年代や90年代のカシオペアやT-スクエアなど、アップテンポでノリの良い曲が特に好きです。最近では、元カシオペアのメンバーが結成したかつしかトリオという60代半ばのミュージシャンたちのバンドにも注目しています。最新作では「ウチュウノアバレンボウ」というアルバムをリリースし、J-フュージョンの普遍的音響を表現し続けることに、大成功しています!

彼らの音楽は、テクニカルで激しく、一聴するとかなり派手やかに感じるかもしれません。しかし、なぜか私はこういった音楽を聴き続けているのです。そして、ふと気づいたのです。私がフュージョンバンドの音楽に惹かれる理由は、その「響き」にあったのではないかと。

楽曲の構造や理論的な側面というよりもむしろ、音響的な感覚、つまり「響き」そのものに魅力を感じていたのです。この気づきは、私自身の音楽制作にも大きな影響を与えました。

普遍的な響きを追求する音楽制作

こうした経験から、私は自分の音楽制作において、響きの普遍性を追求することに重点を置くようになりました。それは、激しいフュージョンのような音楽でも、静かなピアノ曲でも同じです。聴く人の心に響く音、長く愛される音を作り出すことが、私の音楽制作の核心にあるのです。

ただし、これは「癒し」や「穏やかさ」を追求しているわけではありません。そうではなく、響きの中にある「美味しさ」、言い換えれば(自分やリスナーにとっての)心地よさや魅力を伝えていくことが私の目標なのです。これまで400曲以上、アルバムにして40枚以上制作してきましたが、常にこの点を意識し続けてきました。

もちろん、ライブパフォーマンスとなると話は別です。ライブでは、その場の雰囲気やお客さんとの一体感を大切にします。私の個性やキャラクターを前面に出すような演奏も行います。しかし、録音作品となると、より普遍的で長く愛される響きを追求するのです。

最後に

音楽制作は、単なる技術や理論だけでなく、聴く人の心に響く「何か」を追求する営みです。それは時に、フュージョンバンドの激しい音楽から学ぶこともあれば、静かなピアノ曲の中に見出すこともあります。

大切なのは、自分の音楽がどのように人々の生活に溶け込んでいくのかを常に意識することです。公共空間で流れる音楽として、また個人が繰り返し聴きたくなる音楽として、長く愛される作品を作り続けることが私の使命だと考えています。

この記事を読んでくださった皆さんも、音楽を聴く際には、その「響き」に意識を向けてみてはいかがでしょうか。きっと、新たな音楽の魅力に気づくことができるはずです。そして、それがあなたの人生をより豊かにする一助となれば、音楽制作者として、これ以上の喜びはありません。

最後になりましたが、この記事を通じて、私の音楽制作に対する思いをお伝えできたのではないかと思います。音楽は、制作者と聴く人との対話です。これからも、皆さんの心に響く音楽を作り続けていきたいと思います。あなたの日常に、心地よい響きが溢れますように。

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