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坂本龍一氏が生前最後に作曲した校歌の話

坂本龍一氏の遺作となった校歌について語ります。従来の校歌の概念を打ち破る斬新な曲は、テクノロジーとデザインを融合させた新設校のために作られました。坂本氏の音楽家としての集大成ともいえるこの作品から、現代社会が抱える課題と未来への希望が垣間見えます。


坂本龍一が遺した最後の旋律

皆さん、こんにちは。作曲家で大学教員の小松正史です。今日は、坂本龍一氏が最後に作曲した曲についてお話しします。実はこの曲、ある学校の校歌なのです。

坂本氏が人生最後に作られたのは、学校法人神山学園、神山まるごと高等専門学校の校歌でした。この学校は徳島県の神山町にある5年制の高等専門学校で、テクノロジーとデザインを融合させ、人間の未来を変えるというコンセプトで2023年に開校しました。

2022年の秋頃、坂本氏は末期のがんを患っておられる中、この学校の関係者から校歌の作曲を依頼されました。亡くなる数日前にメロディーだけを完成させ、編曲は東京芸大出身の若手作曲家、網守将平氏が担当しました。

従来の校歌の概念を覆す斬新な作品

この校歌を聴いて、私は大変感銘を受けました。通常の校歌とは全く異なる印象を受けたのです。一般的な校歌は明るいメロディーと、学校周辺の風景や地元の名所を歌詞に盛り込み、「さあ頑張ろう」といった前向きな内容が多いものです。

しかし、この曲は少し暗い印象を受けます。現代社会が抱えるさまざまな問題を背景に、未来に向けて明るく羽ばたこうという思いが込められていることを歌詞から窺えますが、一筋縄ではいかない複雑さも感じられるのです。

歌詞の一部を紹介しますと、「波を彩る夢」という日本語の歌詞に続いて、英語の歌詞が登場します。日本中から集まる学生たちが、この地で5年間共に学ぶという意味が込められています。

音楽分析から見える坂本龍一氏の神業

この曲の楽曲分析をしてみると、坂本龍一氏の音楽的な才能が遺憾なく発揮されていることがわかります。メジャーコードで始まりながらも、途中でマイナーコードが入り、転調が何度も繰り返されるのです。

まるで山の中で光が雲の変化によって揺らめくような、そんな感覚を音で表現しているかのようです。転調の仕方も自然で、気づいたら別の調に移っているという、まさに神業とも言える音の連なりが確認できます。

さらに、歌手のUA氏の自然体でオーガニックな声の出し方が、自然と人間との調和を目指すという学校のコンセプトにマッチしています。作詞も手掛けました。曲自体の聴き応えがあり、坂本龍一さんの音楽家としての集大成を感じさせます。

100年先を見据えた問いかけ

この校歌は、100年歌い継がれることを目指して作られたとのことです。歌詞の中には、「100年の森を育むとき、どうなっていくのか」という問いかけがあります。答えは用意されていません。むしろ、自分自身に問い続けることの大切さが強調されているのです。

これは私が普段、ゼミや講演で学生たちに伝えたいと思っていることと重なります。与えられた答えを受け入れるのではなく、自ら考え、問い続けることの大切さを常々学生に教えています。

この校歌を聴くたびに、入学式や卒業式で心震える人が多いのではないでしょうか。坂本龍一氏の最後の音楽が、こうして未来を担う若者たちに向けたメッセージとなったことに、深い感銘を受けます。

皆さんもぜひ、この曲を聴いてみてください。従来の校歌の概念を覆す斬新な作品に、きっと新しい発見があるはずです。そして、100年先の未来に向けて、私たち一人一人が何をすべきか、考えるきっかけになるかもしれません。

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