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音楽作りは畑仕事:メロディーの耕作術

音楽と農業。一見まったく異なる分野に思えるこの二つの世界に、驚くべき共通点があることをご存知でしょうか。作曲家であり大学教員でもある小松が、自身の経験を通じて語る「音楽作りは畑仕事である」という独自の哲学は、創造性と自然の調和を探る旅へと私たちを誘います。


畑に育まれた感性

私の幼少期の記憶は、豊かな自然に彩られています。京都府北部の丹後半島。天橋立が眼下に見下ろせる丘に位置する家の前には、竹やぶと川が広がり、周囲はほとんどが畑でした。祖母や父が丹精込めて育てる野菜たちは、季節ごとに表情を変えます。

春には苺が赤く実り、夏にはトマトが陽を浴びて輝き、秋冬にはほうれん草や玉ねぎが地面から顔を出します。家では鶏も飼っていました。30羽ほどの鶏が3つのエリアに分かれて暮らし、毎日新鮮な卵を産んでくれます。

この環境で育った私は、自然と共に生きることの素晴らしさを肌で感じながら成長しました。そんな経験が、後に私の人生の方向性を決定づけることになります。大学進学時、迷わず農学部を選びました。地球の砂漠化を防ぎたいという思いがあったのです。そこで学んだのは、農業土木や景観工学。野菜を育てる前に、土壌や水、環境全体を整えることの重要性を知りました。

音楽の種を蒔く

30代になって音楽作りを始めた私ですが、その作曲法は畑仕事のアプローチそのものです。メロディーを作為的に作らない。これが私の信条です。無意識のうちに湧き上がってくるメロディーこそが、長く愛され、飽きのこない曲になると考えています。これは、畑で野菜を育てるのと同じです。過剰な人工農薬を使わず、できる限り自然の摂理を生育に活かすアプローチ。

そのためには、直接的に野菜を「作る」のではなく、土を耕し、種を蒔き、自然の力を借りて育てていく。音楽も同じなのです。コード進行やアレンジについても、作為的に作るのではなく、音楽が自然に生まれる環境を整えることに注力します。

時間をかけて育てる

私の音楽制作は、まさに農作物を育てるように時間をかけて行われます。例えば、最近リリースした「漢方音楽2」は、美容と健康のための環境音楽として、1年半から2年もの歳月をかけて制作しました。この過程では、実際に漢方の施術を受けたり、専門家と対話を重ねたりと、音楽そのものを作る以前の「土壌作り」に多くの時間を費やしました。

そうして環境が整ったとき、はじめて自然な形で音楽が生まれるのを待つのです。このアプローチは、聴く人々に違和感なく受け入れられ、心地よさをもたらすと評価されています。それは、自然と調和し、心を整える音楽だからこそでしょう。

創造性と自然の調和

この「音楽作りは畑仕事である」という考え方は、音楽だけでなく、私たちの日々の生活や仕事にも通じるものがあります。短絡的に結果を求めるのではなく、時間をかけて環境を整え、自然に湧き上がるものを大切にする。この姿勢は、現代社会に生きる私たちに重要なメッセージを投げかけています。

速さ(タイパ)や経済的効率(コスパ)を追求するのではなく、時には立ち止まり、自然のリズムに耳を傾けることの大切さ。それは、忙しない日々を送る私たちにとって、新鮮な視点となるでしょう。音楽作りも、人生も、畑仕事のように丁寧に、時間をかけて育てていく。そうすることで、より豊かな実りをもたらすのではないでしょうか。農学部の学生時代にお世話になった恩師がよく言っていた「自然の摂理」という言葉から受けた影響は計り知れません。

私の音楽と哲学が、皆さんの日々の生活に新たな視点をもたらし、心を整える一助となれば幸いです。ぜひ、私の音楽を聴きながら、自分自身の「畑」をどのように耕していくか、考えてみてください。そして、今日も良い音の一日をお過ごしください。音楽が皆さんの人生を彩り、心を豊かにする存在となりますように。

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