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自分の心理を客観把握するには、同じ音楽を毎日聴く。

音楽は私たちの日常に彩りを添える魔法のようなものです。しかし、その魔法を最大限に感じるためには、意外にも体力が必要なのをご存知でしょうか? 今日は少し変わったお話をさせていただきます。「音楽を聴くには、体力とエネルギーが必要である」という、一見当たり前に思えるかもしれませんが、実はとても奥深いテーマについて考えてみたいと思います。


音楽を聴く体力:忙しさの中で失われるもの

「音楽を聴くには、めちゃくちゃ体力がいる」。
当たり前のようで、実はとても重要な気づきです。最近、私自身も忙しさに追われる日々を送っていますが、そんな中で強く感じることがあります。それは、あまりにも忙しかったり、時間に余裕がなかったりすると、音楽を聴く気持ちにさえなれないということです。

BGMとして音楽を流していても、それが頭に入ってこない。体が受け付けようとしない。そんな状況に陥ることがあります。これは本当に残念なことです。なぜなら、音楽には私たちの心を癒し、活力を与える力があるにもかかわらず、その恩恵を受けられないからです。

しかし、ここで興味深い現象が起こります。大きなプロジェクトが終わったり、ちょっとした余裕ができたりしたとき。そんなホッとする瞬間があります。その後、「さて、何をしようか」と考えるときに、体の中の自由度が上がってくるのを感じませんか?

そんなときに音楽を聴くと、不思議なことが起こるのです。いつも聴いている、普段は忙しさの中で何気なく流している音楽が、突然骨身に染みるように感じられる。体全体にじわっと染み渡るような、そんな印象を受けるのです。

音楽の聴こえ方:心の余裕が生み出す魔法

これは本当に不思議な現象です。同じ音楽なのに、忙しいときに聴く音楽と、ゆっくりとした時間の中で意識を集中して聴く音楽では、全く異なる体験になるのです。後者の場合、音楽は私たちに大きな喜びをもたらし、その偉大な力を感じさせてくれます

一般的に、「疲れているときこそ音楽を聴いて癒されるべきだ」という考え方があります。しかし、私はこれには少し疑問を感じています。確かに、音楽には癒しの効果がありますが、疲れ切っているときに音楽を聴いても、本当の意味でその音楽を「聴いている」と言えるでしょうか?

多くの場合、そういった状況下では音楽は単なる背景音になってしまい、音が記号のようになって、本当の意味で心に染み渡ることはありません。つまり、音楽を聴いているようで聴いていない状態なのです。

特に、クラシック音楽のような長い曲や、編曲や演奏に多大な労力が注がれた作品の場合、聴き手の精神的な余裕がなければ、その真価を味わうことは難しいのです。音楽を本当に楽しむためには、体力と精神的な余裕が必要不可欠なのです。

音楽の多層性:背景から前景へ

ここで、私自身の音楽制作について少しお話しさせてください。私の音楽は、聴き方によって異なる体験を提供できるよう心がけています。背景として流れていても違和感がなく、かつ意識して聴けば明確な楽曲として捉えられるような、そんな多層性を持たせています。

これは、聴き手の状態や聴く深度に応じて、様々な聴き方ができるようにという配慮からです。集中的に聴きたいときは、音楽の細部まで味わえる。一方で、忙しいときや疲れているときでも、邪魔にならない程度に存在感を保つ。そんな音楽を目指しています。

ただし、ここで一つ重要な点があります。邪魔をしない聴き方が、果たして本当に「音楽を聴く」ということにつながっているのか。これは別の問題です。生理的に違和感なく受け入れられるというだけで、音楽の本質的な価値を享受しているとは限らないのです。

音楽:自己認識のツールとして

ここで、音楽の新しい活用法を提案したいと思います。それは、音楽を自己認識のツールとして使うというものです。同じ曲を毎日聴くことで、自分の体調や心理状態を把握する。そんな使い方です。

例えば、朝の準備中や家事をしている間に、いつも同じ曲を聴く習慣をつけてみてはいかがでしょうか。すると、「今日は昨日と聞こえ方が違うな」といった気づきが生まれるかもしれません。これは、自分の心理状態を測定するバロメーターとして機能するのです。

音楽そのものは変わっていないにもかかわらず、聴こえ方が日によって異なる。それは聴き手である自分の状態が変化しているということです。余裕のあるとき、疲れているとき、朝すっきりしているとき。それぞれで同じ曲の印象が変わるのです。

この方法は、自分を客観的に見つめる「メタ認知」の一種と言えるでしょう。音楽の印象を通じて自分の心理状態を把握し、自己の方向性を再確認する。そんな使い方ができるのです。

最後に、具体的な音楽の提案をさせていただきます。私の楽曲の中では、「In the Green」という曲がおすすめです。これは箱根のポーラ美術館のために作った曲で、朝の爽やかな雰囲気を醸し出すものです。多くの方にこのアルバムが大絶賛されていて、朝や夜寝る前のタイミングに聞いていらっしゃる方が多い作品です。この曲を朝のバロメーターとして使ってみるのも良いかもしれません。興味のある方はぜひ聴いてみてください。


まとめ:音楽と向き合う新しい姿勢

今回お話ししたのは、音楽を聴くための「体力」の重要性と、音楽を自己認識のツールとして活用する方法についてでした。音楽は単なる娯楽や背景音ではありません。私たちの心身の状態を映し出す鏡であり、自己を知るための道具にもなりうるのです

忙しい現代社会において、音楽を貴重な時間を費やして「聴く」という行為自体が贅沢になりつつあります。しかし、だからこそ意識的に音楽と向き合う時間を作ることが大切なのではないでしょうか。それは単に音楽を楽しむだけでなく、自分自身と向き合う貴重な機会にもなるのです。

音楽には私たちの心を癒し、活力を与え、そして自己を映し出す力があります。この素晴らしい力を日々の生活に取り入れることで、より豊かで自覚的な人生を送ることができるでしょう。人生、時間の余裕をつくることが意外にも大切なのです。基本的なことですが、見逃しがちな観点です。

今日もここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。みなさんが音楽とより良い関係を築き、音の良い1日を過ごせますように。そして、音楽を通じて自分自身をより深く理解し、人生をより豊かにできますように

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小松正史
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