甘ぇかしバナナパウンド
バナナブレッド、バナナケーキ、バナナパウンド。
いろんな呼び方がされるということは、いろんな国で作られていて、好きな人が多いのだと思う。
アメリカにはナショナルバナナブレッドデーというものがあるらしい。
僕は火の入ったバナナが好きで、二十歳くらいのころから、たまにバナナパウンドを作っては、少しずつ食べていた。僕にとっては、とても日常的なおやつで、商品として出したことは、このまちに来るまでなかった。
福岡にいる頃、世界的な流行り病で、僕が働いていたカフェも休業していた時期があった。在宅でできることをしつつ、働くという形だったため、何かを作ることが極端に減ってしまい、なんだか嫌になってこのお菓子を作った。毎日少し切っては食べて、お店が再開できる日を指折り数えていた。
お店が再開してすぐに、作りすぎたバナナパウンドをお店に持った行ったところ、ちえさんが絶賛してくれた。ちえさんは一緒に働いてくれた社員さんで、転職してから、福岡のお店のすべてを教えてくれたのはちえさん達だった。
その頃はお店のメニュー以外に個人的に作ることがほとんどなくて、個人的なお菓子をこんなに喜んでもらえるとも思っていなかったけど、レシピを教えてほしいとまで言われて、うれしかった。
福岡のころは、すごくよく働いていたけど、つらかった記憶がほとんどない。それは、ちえさんや、お店のみんなのおかげ。本当に楽しかった。もっとふんわりさせることもできるんだけど、このしっとりとした食感が、おいしいと言ってくれたから、だから、変わらずバナナたっぷりで、しっとり仕上げている。そのままでも、冷やしても、ほんのりあっためてアイスを添えたりしても、おいしい。と思う。
甘くて、しっとりとしていて、自分を甘やかすのにはピッタリな味。
働き者の仲間を甘やかしたくて作っていた味。
きっとこれからも、誰かを甘やかすために作る味。
どれくらい食べる?なんて言いながら、カステラのように切り分ける時間もいい。
ほんの少し甘やかされたい日も、うんと甘やかされたい日もある。
そんな人のために、予約してもらえたら、ホールでも売ることにする。
たくさんの人を甘やかせますように。
【商品情報】
キャラメルバナナパウンド
320円