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気まぐれドライ部─旧国鉄士幌線廃線跡─

よく晴れた休日の朝。チーズトーストを頬張りながら、ふと「ドライブしたい」と思った。
今回の目的は旧国鉄士幌線廃線跡。遺構は多く残っていないが、確かにここに鉄路があったと分かる場所だ。

そうだ、お昼はぬかびら源泉郷あたりで食べよう。
そう考えていたのは既に11時。とんでもないスロースターターぶりである。


北見市→石北峠→大雪ダム

私か住む北見市から、士幌線の遺構が眠る上士幌町へ行くには、国道39号線を道なりに進み、石北峠を越え、大雪ダムの交差点から左方向の国道273号線へ向かうのが一般的だ。

ざっくりこんな感じ。スクショ。

平日昼間だということもあり、道はずっとスムーズ。
交通量が多い国道であるということもあり、スマホの電波は常に立っている。そのため、サブスクリプションで聴いている音楽が途切れない。

だが、途中の温根湯温泉を過ぎると、石北峠頂上までトイレがない。
当初は温根湯で休憩しようと考えていたのだが、尿意が特になく、そのままスルーしてしまった。

5分後、自分の頭はトイレ行きたいモードになってしまった。そこからの30分はまさに地獄であった上に、石北峠頂上の公衆トイレをスルーしてしまう。なんてこった

そういや大雪ダム辺りにトイレなかったっけ?そう考えて大雪ダムに立ち寄る。


なかった。
私は虚しく崩れ落ちるのであった。

で、終わるはずがない。
大雪プラザ273という施設が近くにあるらしい。
辛うじて私の人権は守られるのであった。

三国峠→廃線跡へ

私の人権が守られたのち、はたと「三国峠ってここじゃね?」と気づく。
この辺の土地勘がないし、1度も通ったことがなく、その上「三国峠」なんてワードはテレビの峠天気くらいでしか見かけない。

三国峠は案外すぐだった。車を降りると、素晴らしい絶景が眼前に飛び込んでくる。

三国峠より士幌の大樹海を望む。Xperia 1III 16mm Lens.

足元からすぐ、樹海が視界いっぱいに広がっている。
北海道の国道の峠で1番標高が高いらしい。1139m。

ここで休憩していく観光客が多く、雑貨カフェもある。時刻は13時半。お腹が空く頃であるが、もう少しガマンする。

三国峠から下る道も絶景である。峠の頂上から少し行った場所のフォトスポットを知らなかったため、逃したことを少し後悔する。次来た時は絶対立ち寄る、ということを心に誓う。

十勝三股駅跡を横目に下ると、カーナビの端に廃線遺構の表示がぽつらぽつらと現れてくる。
十三の沢橋梁跡は……その手前の道がゲートで塞がれていたからやめておこう。

その次は「第六音更川橋梁跡」。なんとか道の入口を見つけ、車を降り轍に沿って歩く。

が、その道が割とデカい倒木により塞がれていた。
しかも、その先で何本も。

マジで鬱蒼とした森林。Xperia 1III 24mm Lens.

こういう大自然に行くのに軽装備で来るのはやめましょう。整備された自然ならたぶんヨシ。

ここは諦めてその次、「第五音更川橋梁跡」へ向かう。こっちは割と整備されていた。


向こうに見えるのが「第五音更川橋梁跡」。α6400 24mm.


橋の上。緑が侵食している。α6400 24mm.

ここは旧幌加駅の跡でもあり、線路が一部残存している。

このポイント、手動で動く。α6400 135mm.

良い散歩コースであるが、徒歩で戻るのか面倒くさくなってしまいそうでやめる。
駐車場のすぐ側に鹿がいた。これだから北海道は怖い。

少し走らせると、メインディッシュが現れる。タウシュベツ川橋梁跡を望むことの出来る場所、タウシュベツ展望台である。

駐車場は観光客の車で混雑していた。路肩に毛が生えたような駐車場であるため停めづらい。もう少しなんとかなって欲しいが、いつ崩壊するか分からないと言われている橋脚跡のためにかけられるカネは確かにないかもしれない。

少しだけ整備された遊歩道を進んでいく。数年前に来た記憶が蘇る。ミズナラの巨木に圧倒されたことを思い出す。

ふと視界が開けると、そこは糠平湖である。

旧国鉄士幌線タウシュベツ川橋梁跡。渇水期で橋の全体が顕になっている。α6400 135mm.

そう。これを見に来た。いつ価値が失われるか分からない遺構を。

しばらく眺めていたかったが、観光客がぞろぞろとやって来たので場所を譲る。ゆっくり眺めることはもう叶わないのだろう。

本当はタウシュベツ川橋梁の下まで行くことが出来るが、予約制であるので、気まぐれドライ部の私には無理だ。あとは野生動物との遭遇だったりその他もろもろあるし。

最後に立ち寄った場所は「五の沢橋梁跡」。タウシュベツ展望台とは打って変わって、車は1台だけである。

廃線跡を活用した遊歩道を少し歩くと、橋梁跡が現れる。遊歩道上に。

え?

五の沢橋梁跡と、その真上を通る遊歩道。Xperia 1III 16mm.

この写真を撮るために、沢の方に下る道に足をかけるも、急でぬかるんだ道であるために危険を感じる。流石にそこまでの装備ではない。Tシャツチノパンスニーカーである。

ただ、一番ゆっくりと大自然を堪能出来る場所だった。人っ子は1人くらいしかおらず、空気も澄んでいる。次来る時はもう少しゆっくりしていこう。


旅その後

結局ぬかびら源泉郷での昼食は叶わなかった。この時既に15時半。どの店もランチ営業は終わっていた。

仕方が無いので、という感じでは無いが、そこから20分ほど先に行った道の駅かみしほろで、ナイタイ和牛カレーパンを食べる。
ちゃんと牛肉が入っている。えらい。

紙袋破るのヘタヘタ部

綺麗な外観は撮影するのを忘れたが、この辺りの道の駅は新築・改築ブームっぽい。さすが十勝資本である。

そして、帯広市内のスターバックスに来てこの文章を書いているのが19時半。今から帰らなければならない。片道2時間半である。

何か食べてから帰ろうか、軽食を買って運転しながら食べようか。悩ましいけどそれもまた、気まぐれドライ部の醍醐味かもしれない。

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