「渚にて」再読了。
「外は戦場だよ」ってことで思い出したようにネヴィルシュートの「渚にて」を読み直した。
今の状況でよむと現実感がすごい。特に子供が出来てから読むことで随分と立体的に悲しみが感じられた。薄められているだけで、いつでもすぐそこに死があるような気持ちにさせてくれる。
なんでもないはずの登場人物の全てが美しいように思えて素晴らしい。釣りをしたり、花を植えたり、レースに興じたり、勉強をしたり。すべて普通の日常のはずなのに、全ての行動にそれぞれの願いが込められていて、悲しい。
状況を理解して、理性的に演じる人、現実感がないままで過ごす人。
トラックの代金のやり取りで、貨幣への本質もとても上品に語られていることに再読して気がつく。
実は、僕の日常と別に変わりないのかもしれない。世界の終わりはこんなのがいい。
普段から、この登場人物たちのような気持ちで清廉に暮らせたら、平和でいれるのかな。本当に心から今読み直して良かったなと思う一冊でした。戦争なんか起こる前から、こんなふうに過ごしたい。
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