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売上データ分析の話

こんにちは。今回は売上データ分析の話を書きました。レジのジャーナルデータから「時間帯別・曜日別売上データ」なる表題のデータを作ります。

この記事の後半は有料としました。

無料の前半部分には、ぼくが作った完成版のデータを載せて、その読み方を書きました。

後半の有料部分には、データ作成の手順を書きました。Excelのピボットテーブルを使います。データの読み方などはインターネットを探せば出てくると思いますが、作成手順はコンテンツ化するのに手数がかかってけっこう大変ですから、こういうコンテンツは少ないかなと思いました。一般的には少ないもののほうが価値がありますので、手順のほうを有料にした次第です。

記事の価格「¥432」は当店のブレンドコーヒー1杯の税込価格です。当店にコーヒーを飲みにいらして、ぼくがカウンターでお話し差し上げているような気分で読んでいただけるとうれしいです。具体的な内容ですので参考にしていただける価値もあると思います。もしご興味がありましたら後半も、ぜひ。




(本文)

きっかけは当店の並びにある商店の人が言ったひと言でした。

「ここにある店は午前中が来客のピークですよね。うちはそうだし、おとなりもそうだし。」

これはだいぶ前のことで、とっさに「そうですよね・・・」と返したものの言ったそばから違和感を覚えました。どちらかといえば自分の店は午後のほうが忙しくなる印象だったからです。

感覚で「アレ?」と思うと、数値で事実を確認するくせをつけているぼくはレジの売上データを見てみようと思ったわけですが、レジには時間帯ごとの売上を長期にわたって集計できる機能はありませんでした。

でも、レジのジャーナル(=レジの会計/操作履歴)データはcsv(=表計算形式の文字データ)形式で以前より手元のパソコンにダウンロードしていましたので、このジャーナルデータから手集計して確認したいデータを作ることにしました。・・・手集計といっても表計算ソフトのExcelを使うのですが。

作るデータは時間帯別の売上高で、これが分かると自分の店のピークが午前中なのか午後なのかが明瞭に確認できます。せっかく集計するので「曜日」の情報も加味することを思いつき、そうしました。名付けて「時間帯別・曜日別売上データ」です。

先に、完成したデータをごらんください。

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表の上部の表頭(ひょうとう)には曜日を、左側の表側(ひょうそく)には24時間表記で時間を入れてあります。表中の数値(%)は売上額を指数化(%化)したものです。

売上は曜日ごとに集計していて、たとえば月曜日の欄は集計期間内すべての月曜日の売上総額で、それを時間帯ごとに分解しています。集計期間内で月曜日の13時台に上がった売上は、月曜日の売上総額の内の13.0%でした、という読み方です。

表中の着色の意味は凡例に書いた通りです。集計期間内において月曜日は16時台が一番売上が上がった(=13.9%)という見方です。これを水曜、木曜・・・とながめていくと曜日ごとの売上1位の時間帯は若干変動しますが、表の一番右、各曜日の売上を合計した「総計」欄では1位が14時台になっていて、曜日ごとでもだいたい14時台の前後に売上のピークがきています。

これを午前(9時 - 11時)、昼(12時 - 14時)、夕方(15時 - 17時)という3時間ごとの時間帯で括ってもおおまかな傾向は同じで、午後にピークがあります。なお、18時台も営業時間中ですが3時間ごとに均等な集計をしたかったのでここでは除外しました。

ちなみに、当店の営業時間は9:00~19:00までで、表中8時台と19時台は営業時間外なのですが、営業開始前と営業終了後に承るケースが若干ありますので売上も若干上がっています。火曜日は店休日ですので売上はありません。

・・・さて、これで知りたかったことは数値で分かりました。当店は完全に「午後にピークがくる店」でした。やっぱり並びのお店といってもお店の業種によってもピークは異なるでしょうし、お店の事情によっても異なりますね。

当店のある場所は住宅街ですからお客様は付近にお住まいの方々が多いです。そうすると生活のリズムがわりあいに一定になりやすいのかな、そうすると当店にお越しになる時間も一定になりやすいのかな・・・という仮説がデータを見たことによって浮かび上がります。午前中、お客様はやっぱりいろいろお忙しいのでしょう。

このデータを営業活動に役立てるとすれば、9時-11時の枠、つまり午前中の売上が小さくなりがちですから、テコ入れをするならこの時間帯に施策を打つと効率がよいということになります。

ただし、ピークシフトをしたいわけではなく売上のテコ入れをしたいのですから、現在のピーク時に上がる売上はそのままに、午前中にも新しい売上のピークを作ることが目標になります。新しい売上ということは新しいお客様にお越しいただくことが必要で、それをするにはまだ当店を知らない、あるいはご存知でも当店を使ったことのない方々に訴求してお越しいただく施策を考えることになります。付近のお客様にはすでにご利用いただいているとすれば、隣の町の住宅にポスティングをするといった施策が考えられるでしょうか。しかも午前中にお時間のある方々を想像して、そうした方々に響く訴求をしないと目標を達成できません。

・・・というところで、売上施策の検討はさておき、数値でデータを作るとこのような営業施策を考えることができるようになります。考えの根拠になるのは実際の売上データですから、そのうえで考える施策は現実性をもったもので実効性が高まることでしょう。何事も、基礎はしっかりしておかないといけません。

自分の店はどういう使われ方をする店なのかを売上実績から分析する。自分の印象だけで考えると自己バイアスがかかったままの場合があり、現実の売上つまり現実のお客様の行動と乖離する場合があります。物を考えるには数値を基礎におきましょう。




さて、この表データを集計する手順をご紹介します。

お使いになっているレジのジャーナル(=レジの会計/操作履歴)データをcsv(=表計算形式の文字列データ)形式でダウンロードしてください。最少でも必要になるデータは「会計日」「会計時間」「会計金額」の3項目です。

曜日別分析をしたいのでデータに「曜日」の項目があったらそれも一緒にダウンロードしてください。ぼくが利用しているAirレジのジャーナルデータ(Airレジでは「会計明細データ」と呼ばれています)には曜日のデータはないので自分で加えました。

いつのデータをダウンロードしてくるかは、どの期間のデータを見たいのかによりますのでご自身の希望で決めてください。ぼくは通年で見たいと思ったので12か月分(データファイルとしては12個)をダウンロードしてきました(ちなみに、Airレジの会計明細データは過去データを1か月分しか保持していませんから、正確に書けば毎月ダウンロードして保存しておいた会計明細データの過去ファイルを12ファイル用意しました、となります)。(さらにちなみに書くと、会計明細データは確定申告の原データですから、証拠情報のつもりで元々保存していました。)

用意した加工元のデータはこれです。当店の実際のジャーナルデータを抜粋加工したデモデータで説明を進めます。

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ここからは、曜日のデータを付加します。

曜日①:「会計日」の右隣に空白列を挿入します。Excelの「B」列を右クリック選択して表示されたショートカットメニューの中から「挿入(I)」をクリック。

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曜日②:「B」列に空白の列が挿入されました。

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曜日③:”TEXT” 関数を使って会計日から曜日を呼び出します。
書式は =TEXT(日付,“aaa”) です。
見やすいよう、下の図版の右側に書式を大きく書き出しました。“aaa”という書き方はTEXT関数を使って日付から曜日を呼び出す際の決まりごとで、aaaになにかの値を代入するといった意味ではありません。書式の通りaaaと入力してください。すると、図版上のExcel「B2」セルに「木」と表示されました。そして、「B1」セルに項目名として「曜日」と入力することをお忘れなく。

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