ふらっと他大の学祭に行ったら眩しすぎた。
ぼくは独りで楽しく東京外国語大学の学園祭、外語祭を巡ってきました。おひとり様だったのは、ぼくに友達がいないからでは断じてありません。その証拠にFacebookには579人もの友達がいます。その日の朝に外語祭最終日であることを知り、モハメド・アリにも伍する蝶の如きフットワークで外大へと向かったからです。それに、ぼくはひとりを楽しめる大人です。ファミレスや焼肉はお手の物。水族館や動物園はもちろん、ラウンドワンのスポッチャだっておひとり様で楽しめます。今更、学園祭のひとつやふたつ造作もありません。
とはいえ目をキラキラさせてサークル活動に勤しむ学生達を見ていると、ぼくにもこんなキラキラ大学生になれた可能性があったのだろうかという妄念に襲われました。おまけに所かまわず「二人連れ」がいたのでは法界悋気の念に駆られるというもの。精神衛生を乱されたぼくは、堪らず踵を返して正門へ向かいました。敗走ではありません。これを戦略的撤退と呼びます。
正門へ向かう途中で「あと5分で~す」と聞こえてきました。声に目を向けると、どうやらクジ引きをやっているようでした。しかも一等はまだ出ていないと言う。これをみすみす見逃す手があるでしょうか。ダメでもともと。ぼくは挑戦することにしました。クジをひくにはアンケートに答えなければいけません。ぼくは急いでQRコードを読みこみ回答するのですが、これがまた長い。時間が差し迫っていることもあり、テキトーに、しかし心からのごめんなさいの気持ちを込めて全て埋めました。
当たるんじゃないかという根拠の無い自信と、そうは言っても無理だろうな、という冷静さが混じりあった状態でクジを引きました。手のひらの中の折りたたまれた紙を開くと………「一等出ましたー!!!」カランカランと響く当たり鐘。一等の商品はタブレット端末でした。
「スポンサーに送る写真を取りたいので少し待っていただいてもいいですか?」くじに当たってふわふわと舞い上がっていたぼくの心は、その一言で現実に引き戻されました。元来、ぼくは写真に取られるのが苦手なのです。それも知らない人に…。写真を見るスポンサーの担当者さんだって、ぼくのような冴えない男子大学生より、天真爛漫なお子さまや美男美女の写真の方が嬉しいのは明々白々。ごめんなさい。写真が公開されることはないと説明を受けたので、ぼくは嫌な顔一つせず写真を取られることを快諾いたしました。表面上は。学園祭の委員の方を困らせてはいけませんから。お得意のぎこちないスマイルで写真を撮っていただきました。
さて。ぼくはタブレットを既に持っていたので、Facebookの学内向けマーケットプレイスで売ろうと思いたちました。そこに小粋な文章を添えるつもりで書き始めたつもりが、調子に乗って長々と書きすぎてしまったものがこれです。さすがに商品説明にこれを載せるのは躊躇われたため、このような形で供養します。(おしまい)