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【訪問看護の人材育成】マネジメントに悩む管理者・経営者は「伝える力」を磨きなさい。
訪問看護の現場において、管理者や経営者の存在は唯一無二であり欠かすことができません。
日々の訪問がうまく遂行できるよう試行錯誤するのはもちろん、新人教育や研修の整備、管理者の後任育成、労務管理、新店舗構想、採用戦略など、その役割は多岐に渡ります。
しかし、「いくら頑張っても分かってくれない…」「結果が出ない…」と悩んでいる管理者・経営者も少なくないかと推察します。
この点、私が思うに最大の原因は「伝える力」の欠如にあると思っています。
「伝える力」はコミュニケーションの場面でよく用いられますが、ある一定時期から数字が伸びない、離職が増えるといった経営に直結する問題においても、根本の原因になり得えます。
実際、私もえん訪問看護ステーショングループという訪問看護ステーションを経営していますが、5年前くらいまでは伝える力が弱かったと自覚しております。
しかし、意識的に磨いていったところ、確実にマネジメント・経営がうまく進むようになったと確信を持っています。
この記事では、一般的にいわれている伝える力を伸ばすポイントをおさえるとともに、訪問看護の現場で使えるより実践的な解決策までをお伝えします。
訪問看護のマネジメントに悩んでいる管理者や経営者は、ぜひ参考にしてみてください。
【経営者・管理者は必須】伝える力を伸ばす5つのポイント
伝える力とは、情報や感情、意見などを相手に明確に、かつ効果的に伝達する能力のことを指します。
この伝える力を伸ばせば、訪問看護における経営や管理、マネジメントが劇的に向上すると考えております。
例えば、経営者であれば自分の頭の中にある構想や数字をわかりやすく相手に伝えられたり、管理者であれば現場で起こった報告をスムーズに経営者に伝えられるなどです。
一般的に、伝える力を伸ばすポイントは、以下の5つと言われています。
結論から話す
5W1Hを意識する
専門用語を使わない
聞き手の反応を見る
ボディランゲージを取り入れる
結論から話す
話を始めるときに、まず結論を伝えることが大切です。
結論を最初に言うことで、相手は話の全体像を理解しやすくなり、その後の詳細な説明もスムーズに進みます。
たとえば、「今日は新規利用者の状況についてお話ししますが、結論としては順調に進んでいます」というように始めると、聞き手は安心して話を聞けます。
5W1Hを意識する
5W1H(Who, What, When, Where, Why, How)を意識して話すことで、相手に伝えたい情報を漏れなく伝えることができます。
例えば、新しい事業を提案するときには、「誰が(Who)何を(What)いつ(When)どこで(Where)なぜ(Why)どのように(How)」を説明することで、聞き手は具体的なイメージを持ちやすくなります。
専門用語を使わない
専門用語を使わず、分かりやすい言葉で説明することも大切です。
特にビジネスの現場では専門用語が多く使われがちですが、相手がその用語を理解していないと、話が伝わりにくくなります。
医療関係者の人は、ほとんどのビジネス用語を知らないという前提でいても良いかもしれません。
難しい用語を使う際は、分かりやすい言葉に置き換えたり、補足説明をするように心がけましょう。
聞き手の反応を見る
コミュニケーションは一方通行ではなく、相手の反応を見ながら進めることが重要です。
相手が理解しているか、興味を持っているかを確認しながら話を進めることで、必要に応じて説明を追加したり、質問に答えたりすることができます。
例えば、相手がうなずいているか、疑問の表情をしているかを観察しながら話を続けるとよいでしょう。
ボディランゲージを取り入れる
言葉だけでなく、ボディランゲージ(身体の動きや表情)も効果的に使うことで、コミュニケーションが豊かになります。
身振り手振りを使ったり、表情を豊かにしたりすることで、相手に感情や意図がより伝わりやすくなります。
例えば、重要なポイントを伝えるときには、手で強調する動きをすると、相手に強い印象を与えることができます。
【実践編】訪問看護における「なんで伝わらないの…?」に対する解決策
上記で紹介した5つのポイントは、一般的に推奨されている伝わる力を伸ばすポイントです。
このポイントを意識するだけでも、少なくとも今よりはあなたの思いは伝わるようになるかと思います。
では、次はこれらのポイントを踏まえた、より実践的な内容にうつりましょう。
この項では、訪問看護の現場でよくある「なんで伝わらないの…?」という悩みに対する解決策をお伝えしていきます。
シチュエーション別にお伝えしていくので、自分の立場に応じて参考にしてみてください。
●「経営者→管理者」のパターン
まずは、経営者の思いが管理者に伝わらないパターンです。
よくある悩みとしては、以下のようなものが挙げられます。
管理者が数字をわかってくれない
会社の規定やルールを理解してくれない
1.管理者が数字をわかってくれない
経営者は数字を見ることに慣れています。
しかし、管理者はあくまでも医療従事者であり、今まで専門職として知識や技術を磨いてきた人たちです。
そのため、数字を見ることに慣れていない人が多く、数字が意味をするものも分からない人がほとんどです。
この点を理解せず、ただ単に資料を渡すだけでは伝わらないのも当然と言えるでしょう。
数字が分からない人にも伝わるような工夫が重要になってきます。
例えばエクセルやグラフを用いて視覚的に数字を表現したり、数字を伝えるだけではなく、その数字の背景や目的を詳細に説明することも重要でしょう。
定期的に管理者向けのワークショップを開催して、数字の読み方や分析方法を教える必要も出てくるかと思います。
2.会社の規定やルールを理解してくれない
多くの経営者は、会社の規定やルールを浸透させるため、入念に就業規則を作成しているかと思います。
しかし、いくら入念に作成したとしても、日々の運用に活用できていなければ意味がありません。
一つ質問ですが、経営者であるあなたは、社員の時に就業規則を細かく読んで熟知してましたか?
おそらく、口を噤んでしまう人が大半だと思います。
難しく書かれた会社の規定やルールなんて誰も読んでくれない、まずはここを理解しましょう。
まずは何十枚もある就業規則を、分解してわかりやすく提示してあげることが重要です。
●「管理者→経営者」のパターン
次は、管理者の思いが経営者に伝わらないパターンです。
よくある悩みとしては、以下のようなものが挙げられます。
報告内容を聞いてくれない
現場を理解してくれない
1.報告を聞いてくれない
管理者は経営者との橋渡し的な役割も担っています。
そのため、現場で起こっている問題などを経営者に報告をするのも仕事の一つです。
その中で、経営者が全然話を聞いてくれないという悩みをしばしば聞きます。
確かに、現場に興味を持たないといったような、経営者自身の問題も十分に考えられますが、まずは自分の報告の仕方はどうだろう?と振り返ってみることが重要です。
私も経営者として、報告の仕方を上手になろうとスタッフによく伝えています。
前提として、多くの経営者は現場の声を聞きたがっています。
なぜなら、経営・運営に直結するからです。
ただし、経営者は限られた時間を割いていることも忘れてはなりません。
この点、報告をする際は起こった事象、客観的事実、どの・誰からの目線(感情)なのかを切り分けて報告すると良いです。
報告の多くは、事実と感情が混ざっていたり、誰の話なのかが分からないケースが非常に多いです。
管理者自身が客観的に把握するためにも、まずは報告を文章化すること、そして上手くいったらテンプレート化することもオススメです。
報告の仕方が上手くなるだけで、経営者の判断スピードや精度は格段に上がるため、現場へ好循環がもたらされます。
2.現場を理解してくれない
「経営者は数字ばっかりで現場を理解してくれない」
このような悩みを管理者からよく聞きます。
一つ前提をして覚えておいて欲しいのは、そもそも経営者は専門職ではない人もいますし、専門職だったとしても管理者経験がない人もたくさんいます。
そのため、こちらから適切に発信をしないと経営者は分かってくれないと割り切っても良いかもしれません。
この点、確かに経営者側にも落ち度はあると思っていて、管理者経験がないなら自ら主体的に現場を理解するような姿勢が求められると思っています。
実際、このような姿勢がない経営者の訪問看護ステーションは、管理者が育たずにコロコロ変わってしまうという印象があります。
このような現状の中、現場を理解してもらうにはやはり報告の仕方を上手になったり、伝える力を伸ばして限られた時間の中でも経営者の理解を促すようにしなければなりません。
●「管理者→スタッフ」のパターン
次は、管理者の思いが現場のスタッフに伝わらないパターンです。
よくある悩みとしては、以下のようなものが挙げられます。
言うことを聞いてくれない
会社の不満が出てしまう
1.言うことを聞いてくれない
管理者はスタッフ教育の役割も持っています。
また、運営にも携わるので、それに関することを噛み砕いてスタッフに伝えなければなりません。
その中で、スタッフに全然響いていない、言うことを聞いてくれないという悩みもよく聞きます。
至極簡単に片付けてしまうと、伝える力をつけましょうねで終わってしまうのですが、もう一つ自問自答して欲しいことがあります。
それは、「嫌われたくないと思っていませんか?」ということです。
確かに人は基本嫌われたくない生き物です。その方が自分のメンタリティーを正常に保つこともできます。
ただし、管理者という立場上、解決のために厳しく接しなければならないこともあるということを忘れてはなりません。
伝えるべき点は伝える。時には叱ったり、一緒に悩んだり、悔し泣きをする。
そんな人と人との関わりの中に、信頼という絆が生まれるのかなと思います。
そしてもし、そのような関わりの中でスタッフが辞めたとしても、そのスタッフは遅かれ早かれ辞めている人です。
伝える時のポイントとしては、厳しさと優しさのバランスを考えること、日常的なコミュニケーションを通じて信頼関係を築き、厳しいことを言っても理解してもらえる環境を作ることが大事だと思っております。
2.会社の不満が出てしまう
前述した通り、管理者は運営にも携わるので、その方針などをスタッフに伝えるのも役割です。
その際、管理者は経営者から直接聞いているので理解をしているのですが、管理者からスタッフへのアウトプットがうまくいかず、会社に対する不満を招いてしまうことがあります。
この点も、伝える力だったり、経営者の思いをどこまで理解しているかという根本的な部分で片付けられてしまうのですが、一つ振り返って欲しいのは、「自分も会社のせいにしていませんか?」ということです。
管理者も会社に対する不満を持っていると、言葉の端々にネガティブな要素が散りばめられてしまうなど、知らずのうちにその思いがスタッフに繋がってしまいます。
まずは他責思考にせず、自分はこの問題に対してどう感じているのかを客観的に分析することから始めましょう。
伝える力以前の課題とも言えるかもしれません。
そして、そもそも自分が会社に対する不満を持っているのなら、スタッフに伝える前に、経営者と徹底的に議論を交わすべきでしょう。
巻き込まれたスタッフは被害者になってしまいます。
大規模なステーションの管理者は+α(言語化力と文章力)が必要になる
今回お伝えした「伝える力」は、管理者・経営者に限らずどのようなビジネスシーンでも重要になる要素です。
この伝える力をベースとして磨いて欲しいのですが、大規模なステーション(およそ10〜20名以上)をマネジメントする管理者は、プラスアルファで身につけて欲しいスキルがあります。
それは「言語化力」と「文章力」です。
大規模なステーション、または2拠点以上をマネジメントする管理者はスタッフと直接会える時間が減るので、そもそも伝える力を発揮することができません。
このような場合、特に昨今はチャットなどを通じて、文章で伝えることが多くなってくると思います。
一つおさえておいて欲しいのは、「伝える力」と「文章力」は似て非なるものということです。
面と向かったコミュニケーションでは声の抑揚やボディランゲージなど、言葉ではない部分(いわゆる五感)で伝える力をカバーしている人もいます。
ただ、文章となると、まずは自分の伝えたいことを「言語化」して、その上で構成を考えて、分かりやすく噛み砕くなどの作業を通して「文章化」しなければなりません。
この点、医療・介護の管理者は言語化力や文章力が非常に弱いと感じています。
決して人ごとではなく、私も5年くらい前までは本当に弱かったと自覚をしており、 『こんな感じなんです、、、』『こうやれば良いじゃない?』と曖昧な指示ばかりでした。
私はよく勉強会などで、『感覚派』『理論派』という話をするのですが、訪問看護に所属している人たちは職業柄なのか感覚派が多い印象です。
この感覚派の人たちは、物事を多面的に捉えることが出来るといった、入力チャンネルが強い側面を持ちます。
一方、出力(言語化力)チャンネルが弱い側面も持ちます。
幸いなことに、この出力チャンネルは日々鍛えることが出来ます。
私の場合、Xの投稿を2年継続して、かなり言語化力・文章力が上がったと感じています。
Xである必要はありませんが、ぜひ日々の中で文章を書く、そしてそれを発信する機会を設けてみることをオススメします。
まとめ
訪問看護の経営者・管理者にとっての「伝える力」は、ただ単にコミュニケーションを円滑にするだけではなく、運営やマネジメントを向上させます。
まずは一般的にいわれている伝える力を伸ばすコツを意識することから始めましょう。
その上で、今回ご紹介したような訪問看護ならではの悩みに応用できればベストです。
また、大規模なステーションでは自分の思いを言語化すること、そしてそれを文章に起こす力を鍛えることも重要になってきます。
今回の記事が少しでも経営者・管理者のお力になれたら幸いです!
えん訪問看護ステーションでは、一緒に働いてくれる仲間を随時応募しています!(会社HP:えん訪問看護ステーショングループ)
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「訪問看護に興味がある」「初めてでも大丈夫かな?」という方は、ご相談だけでも構いませんので、ぜひご連絡ください!
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記事編集・監修:和田祥平
理学療法士。作家。Webライター。病院・訪問看護ステーションで勤務をする傍ら、介護・リハビリに関する記事の執筆・監修、書籍の出版等を行なっている。最新著書:介護のお世話にならない リハビリの専門家が教える 足腰の教科書(メディカルパブリッシャー)