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【訪問看護の人材育成】管理者が事務所にいると安心する!けど、「守る」の意味はしっかりと理解しておこう。

訪問看護ステーションにおける管理者(職)の役割は非常に重要です。

リーダーとしての判断力やマネジメント力など、色々な役割があるかと思いますが、その中でも「安心感」は大きな要素だと思っております。

ちなみに、管理者が事務所にいると安心するのは私だけでしょうか?

『何かあっても安心出来る環境』は、スタッフにとっても会社にとっても大事だなと改めて思っております。

しかし、管理者がもたらす安心感の裏には、大変な苦労や悩みがあるのも知っています。

私はえん訪問看護ステーショングループという訪問看護ステーションを経営していますが、弊社の管理者も多くの思いを抱えながら働いております。

本記事では管理者の素晴らしさをお伝えするとともに、どのような思考でスタッフ・会社と向き合ったら良いかまでをお伝えしてまいります。

(*本記事は管理者で統一表記していますが、管理職に属する人(所長・主任・リーダーなど)も含んだ内容となっております。)


やっぱり管理者は偉大!事務所にいると安心する

前述の通り、私は管理者が事務所にいるとすごく安心します。

これは経営者だからではなく、社員として働いていた時からそうでした。

やはり、管理者がスタッフに与える影響は多大です。

これは訪問看護あるあるですが、管理者が訪問に行ったまま、連日事務所にいないことは珍しくないかと思います。

しかし、このような事務所の場合、スタッフのマネジメントが疎かになっている可能性が高いです。

このような状況が続くと、管理者自身が疲弊するか、スタッフが辞めていくケースが増えるなと感じています。

弊社が管理者に求めることは以下の通りです。

・事業所全体のマネイジメント
・リスク回避および対応

重要な点はこれだけです。

立ち上げ時などスタッフ数が少ないフェーズは別ですが、スタッフが10人程度の事業所となると、管理者自身の訪問件数は0-60件くらいに設定しています。

それで事業所全体の利益が出る環境になっていれば、定期ルートはほぼナシでもオッケーにしています。

実際、某月を例に挙げると、スタッフの急遽の休みも少なく安定している場合は、管理者の実績は約10件、所長も20件くらいです。

その代わり、事業所全体へ影響する大きな判断や日々の現場への落とし込みなどに注力出来る時間を作っています。

とはいえ、訪問以外のToDoは連日たくさん降ってきますし、管理者は電話対応だけでも相当な量なんですけどね、、、。


『行ってらっしゃい!気をつけて!!寒かったね。お帰りー!』


管理者が元気に声掛けしながらスタッフたちと働ける環境が、代表の私も安心出来る環境だなと感じております。


だけど、管理者って嫌われ者…??

このように、管理者はスタッフに安心感を与えられる存在ですが、そこを意識するあまりに自己犠牲を選択してしまう人も目にします。

嫌われたくないから、、、
自分が訪問に行けばいいや、、、
泥を被ればいいや、、、

このような選択を続けた結果、リーダー自身がキャパオーバーしたり、気持ちが切れてしまったり、組織が変な方向にズレたりしてしまいます。

選択の基準として 『嫌われたくない、好かれたい』という前提があるため、人間関係を壊さず、楽そうな選択に至ってしまうこともあります。

しかし、これでは組織は続きません。

組織とは、その場限りではなく、この先も動いていかないといけません。

一定数嫌われたとしても、厳しいと言われたとしても、8割(10割が理想ですが)は会社や組織・スタッフが良くなるための選択と言葉がけが重要になってきます。

ここで一度、会社や組織・スタッフが良くなるとはどういう状態なのかをおさらいしておきましょう。

  • スタッフの稼働を100%維持することが会社運営では重要(存続や賞与など)

  • 在宅にはきちっとした24時間対応が求められている(地域の役割)

  • クレームや解約といったネガティブな出来事でも、利用者様が変わってるなどで片付けず、ステーションに落ち度が無かったか原因根本を考えて改善する(クレームこそ何かを教えてくれるチャンス)

  • 核となる人が居なくなっても、組織をどうしていくことが地域のためになるか考え抜いていく(組織として強くなるチャンス)


長い目で見れば自己犠牲だけではなく、組織の合理性が高い選択をしていくことが、スタッフや地域・会社からの信頼が得られると思っています。

私自身も、前職で事業本部長(所長やリーダーも兼任時期もあり)をしてて、正直厳しいことを伝えたりキツい選択も多くしてきました。

嫌われていた部分もたくさんあったかと思っております。

しかし、何故か今頃、『あの時は私が誤解してました。厳しくもありがとうございます』など連絡がくることも多くあり、改めて良かったなと感じております。

このように、管理者やリーダーは時に厳しいことを言うのも役割の一つです。

だからこそ、安心感が強固されるとも思っております。


スタッフを「守る」の意味をしっかりと理解しよう

嫌われたくないに通じますが、管理者は「守る」の意味をしっかりと理解しておく必要もあります。

訪問看護の管理者から、『スタッフを守っていかないといけないんです』という発言を聞くことがあります。

私は本当の意味の『守る』について理解している管理者にほとんど会ったことがありません。

正直、ほとんどの場合はマネジメントをしきれず、スタッフを『守る』という言葉に責任転嫁して、『甘い』判断をしている場合が多いと感じています。

スタッフを守ることと甘さはまったく異なります。

私が思う『守る』とは以下の通りです。

  • 成長を信じて課題共有をして見守る

  • 時にはスタッフ自身の課題に叱咤激励して気付きを見守る

  • 会社の売上や利益(発展)にベクトルを向け、スタッフや利用者の生活を見守る(=例:利益があると会社は存続し、なおかつスタッフ採用出来る。そうするとオンコールの負担が減る、給与や賞与が多く払える企業が増える)


『守る』とは単に甘やかすのではなく、時には嫌われる覚悟を持ってマネジメントすることを含むと思っております。

少なくとも、本質を突いてマネジメントをしてる管理者は、厳しいことを言ったとしても、本当の意味においてスタッフから嫌われることはないです。

その場だけの、逃げからくる『守る=甘い判断』ではなく、本質的な成長を見守れる『守る』というマネジメント(関わり)に変化させていきましょう。


管理者として必要な「器」とは?

最後に、管理者としての「器」の話をしておこうと思います。

『社長(リーダー)の器以上の組織にはならない』

ビジネス界では良く言われる話ですが、訪問看護事業もまさしくそうだと感じています。

会社の成長は経営者の器、事業所の成長は管理者の器次第だと思っております。

では、器とは何でしょう?

それぞれの解釈があるかと思いますが、器は俗に言う『ヒト・モノ・カネ』への向き合い方だと私は思っています。

  • 物事の捉え方(多面的)

  • 物事の考え方(優しさと厳しさ)

  • 問題の解決の仕方(複眼的解決思考)

  • お金の扱い方(緻密かつ大胆)

  • 人間関係の作り方(信頼と成長)


特に訪問看護事業は『ヒト・モノ・カネ』が特に重要だと思っており、その中でも圧倒的に「ヒト」が大事だと思っております(『7・1・2』くらいの割合)。

人を大事に出来ない組織は伸びていませんし、そもそもスタッフや管理者が成長できる環境を作っていない組織は魅力がありません。

お金持ちの上場企業が訪問看護事業にM&Aから参入しても伸びてない会社の理由はここにあると思っております(※ある一定業界に精通してて、人を大事にしてる企業であれば伸ばすことは可能)。

私たちのような零細企業は、カネ=資金もかなり大事なウェイトを占めています。

想いもあり、人を大事にしますが、予算(資金)が少ない企業がほとんどかと思います。

資金がないと事業発展に適切な判断が出来ませんし、会社の存続がかかるような事態になれば、人を大事する余裕も持てなくなるかもしれません。

訪問看護経営者は、人を大事にしつつもお金という血液を会社全体に回して、最大限成果を出していく必要があります。

また、管理者は会社状況や方向性を理解して、経営と現場を繋いでいく役割があります。

器を大きくしていくためには
・問題(課題)から逃げない=向き合う
・問題解決して経験値を貯める
・人生のレベルアップしていくと自分自身と約束する

ここが大事です。

もちろん、器が大きくなるのは仕事だけじゃなく、子育てや夫婦関係、友達関係など人生のすべてにおいて影響を受けます。

今日明日で変わる部分ではないかと思いますが、人を動かす立場につくのであれば、自分の器はどうだろう?と、振り返ってみるのも良い機会かもしれませんね。


まとめ

訪問看護の管理者に求められる役割は、多岐にわたります。

その中でも管理者が与える「安心感」は特別で、救われてるスタッフも多いことでしょう。

一方、管理者には悩みもつきもので、自己犠牲をしている人も多くみられます。

管理者としての成長は一朝一夕で得られるものではありませんが、この記事が少しでもお力になれれば幸いです。

管理者が持つ「器」を広げ、一緒に訪問看護事業を盛り上げていきましょう!


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記事編集・監修:和田祥平
理学療法士。作家。Webライター。病院・訪問看護ステーションで勤務をする傍ら、介護・リハビリに関する記事の執筆・監修、書籍の出版等を行なっている。最新著書:介護のお世話にならない リハビリの専門家が教える 足腰の教科書(メディカルパブリッシャー)

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