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「地味な」カスタマーマーケティング施策が成功しそうな理由。マーケティングとカスタマーサクセスに共通する大事な「出発点」

このnoteは #cmktカスタマーマーケティングコミュニティの #Adventar企画の投稿です。


皆さん、こんにちは。萩原といいます。
ワークスモバイルジャパンで、LINE WORKSを日本全国に広めるために、日々七転八倒しています。

そんななか、現在進行形で「まさにこれぞカスタマーマーケティングだな」という施策が動いています。
カスタマーマーケティングの体験談は、まだまだ少ないと思いましたので、進行途中ではありますがご紹介したいと思います。

どんな施策か?

すでに LINE WORKS をご利用のお客様のうち、社外の方(お客様や取引先)とも LINE WORKS でつながりたい方に、QRコード入りの名刺をプレゼントする、というキャンペーンです。

完全に既存顧客向けであり、さらに言えばかなり活用度の高いお客様しか反応しない企画です。つまり、この施策の対象者は必然的に、非常に限られた数の、でも熱量の高いお客様ということになります。

マス媒体も使わなければ、SNSも使いませんし、動画も登場しません。インフルエンサーも芸能人もキャラクターも出てきません。
ぶっちゃけ極めて地味です。

でも、これがなかなか良い感じなのです。


キャンペーンが生まれた背景

きっかけはチームミーティングでのちょっとした会話でした。
「こないだお会いしたお客様、自作のQRコードを名刺に貼ってたんですよ」
え、なんでそこまでして?
「そういえば、XXさん(既存のお客様)も『名刺にQRコード入れたい』って言ってました」
どういう文脈で?
・・・
そんな会話をしていくと、なにやら見えてきましたよ。
お客様が感じている価値と、今の状況のギャップが。

社内でビジネスチャットが活用されてくると、もはや電話やメールの不便さには戻れない。ところが、社外の人とは引き続き不便なやり取りが続いている。できれば社外の人ともチャットでやり取りしたい。会ったときに個別に説明することもあるけど面倒。

名刺にQRコードを入れておけば説明しやすいし、興味をもってもらえることが増える。その場でつながることもあるし、あとでつながってくれる方も出てくる。


着想から数時間でまとまった企画

チームミーティングで聞いた話から着想した企画のタネを、雑談で繰り広げていると、協業できそうなパートナーがいることが判明。
それならばと、企画書にしたのが当日の夜。

企画書で伝えたかった骨子は、こんな内容。

100社に所属する50名がそれぞれ100枚名刺交換するたびに、
相手「このQRコード、何ですか?」
お客様「あぁ、ウチの会社ではLINE WORKSというのを使ってまして・・・」
という会話が起こる。つまり、お客様が自然とサービスの説明をしてくれる。
しかも、このキャンペーンに応募するくらい活用度が高いお客様であれば、サービスの良さも説明してくれるはず。

こんな内容を翌日の金曜に社内で共有し、その場でパートナーに連絡してみたら、なんと週明け月曜にはアポが取れてしまった。
構想を話してみると、おおむね行けそうな雰囲気。そのまま詳細を先方とチャット(もちろんLINE WORKS)でやり取りしながら詰めつつ、オペレーションに落とせそうなことを確認。大急ぎで社内手続き(契約やら購買プロセスやら)も進め、約3週間でリリースにこぎつけました。

ちなみに、他の業務がくそ忙しい最中(さなか)だったので、めちゃくちゃ大変でしたw
でも、不思議と「これはやり切らねば」「これはいけるはず!」という思いが、関係者の間にあった。
なぜかと言えば、それは、リアルなお客様のニーズ(カスタマーインサイト)から生まれた企画だったからではないかと思う。


施策の結果

どれくらい反応あるかな、、、という不安がなかったわけではないが、濃いお客様からの反応が得られるはずと思いながら、キャンペーンを開始。
すると、事前の想定を大幅に超える応募数(やったー!)
この名刺を受け取ったお客様が、年末年始のご挨拶や新年度のご挨拶で利用してくれることになります。

まだキャンペーン期間中ということもあり、結果はまだ出ていませんが、これまでの応募状況をみるかぎり、良い結果になりそうです。

今後はその効果測定をして、その結果を共有、、、したいところですが、測れません。
測れないんですよねぇ、オフラインのマーケティング施策の効果って。
さらに、弊社のお客様にはあまりTwitterユーザーは多くないので、ハッシュタグとか付けてもねぇ…
これはカスタマーマーケティングに限りませんが、課題だと感じています。

個人的には、来年お会いするお客様が「名刺、使ってますよ!」と言ってくださる機会があることを楽しみにしています。


すべてはカスタマーインサイトからはじまる

私はマーケティングのプロというほどでもなければ、カスタマーサクセスの経験が豊富なわけでもありません。
ただ、カスタマーインサイトを得ることについては、相当にこだわりを持っています。
お客様が自社サービスのどこに価値を感じているか、意識的に感度高く捉えようと努めていますし、定性と定量を行ったり来たりすることに対しても、かなり意識を配っています(このあたりは戦略コンサルタントの頃に学んだ)。

サービスリリース前に見込み顧客に営業しに行って顧客の反応を目の前で見たり、初期のお客様に何度もインタビューをしたりする中で、知名度や雰囲気ではなく、純粋にサービスに価値を感じて買ってくださった理由を知ることができ、その後の活動に役立てることができました。
最近も、お客様インタビューをしたり、定量的な調査をしたり、こちらの施策に対する反応(や無反応)を見たりすることで、新たな顧客像を自分の中に作っています。

奇しくも、Adventar Day1のエントリーで @akiko_n さんは、こう書いてます。

いいからまずはお客様に会いに行きなさい(意訳)

Day2の @simakoo1 さんは、こう書いています。

お客様と向き合えば、どこでも通用するよ(意訳)

結局のところ、マーケティング活動もカスタマーサクセス活動も、お客様に対する深い理解 ー カスタマーインサイトー からはじまるのです。
いや、そこからしかはじまらないのです。

手法や見た目を真似ただけではうまくいかないのは当たり前。
各社各様のサービスがあり、それぞれのお客様が感じる価値は全然違うはずですから。
同じ製品カテゴリーのサービスだとしても、お客様が感じる価値が違うことはありますし、もっと言うと同じサービスだったとしても顧客セグメントごとに(厳密にはお客様ごとに)価値を感じるポイントが違うことだってありえます。

自戒も込めて、気をつけなければいけないのは、お客様が発した言葉がインサイトとは限らない、ということ。
なぜ、こういう状況のお客様が、ある行動を取るのか(例:問い合わせ、アプリ内アクション)。逆に、なぜこちらが想定するような行動を取らないのか。
そこには、お客様自身も気づいていない理由があるものです。

そういったインサイトを得る活動を普段からどれだけできているか。
今回の施策で、あらためてその重要性に気づかされました。

ま、インサイトを得れらたとしても、それをうまく施策に活かせるかどうかはまた別問題で、違うスキルが求められるので、決して私もうまくやれているわけではないのですが…

このnoteを書いてみたことで、私の中でも言語化できた部分がありました。
皆さんの中で何か感じたことがあったら、noteでのコメントでもいいですし、ハードル高ければ、Twitterでのコメント/RTでもかまいませんので、ぜひ教えてください。

Twitterをフォローしてもらえると嬉しいです。
https://twitter.com/Masa_Hagiwara


次回予告
今回はマーケティング側の話を書きましたが、次回はサクセス側の話を書こうと思います。

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萩原 雅裕|Prodotto代表
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