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#7 何を世の中に送り出したか

コーヒー焙煎人で「aalto coffee(アアルトコーヒー)」店主の庄野雄治さんの著書『誰もいない場所を探している』を読んだ。

会社勤めをしていた庄野さんが、自分のお店を持つまでの物語や、お店をはじめてから日々感じておられることについて、素直な文章で書いている。




本書の中で、次の文章が気になったので紹介したい。

ずっと権威のある人や、通と言われる人に褒められたかった。雑誌に載せてもらっては、天狗になって浮かれていた。本当に馬鹿だった。でも、知っていたんだ、自分のコーヒーがダメだってことを。だから、美味しいコーヒーができるようになるまで、取材を全て断ることにした。

庄野雄治『誰もいない場所を探している』73ページより


人は誰でも褒められたいものである。

周りの評価がモテベーションになるのは悪いことではない。

また、上司と折り合いが合わないという世間一般の若者サラリーマンの言い分は、「褒めてくれない」とか「評価してくれない」とかで、結局のところ「自分のことを認めてもらいたい」という気持ちが一番なのである。


ただ、本当に自分の仕事と向き合い、常により良いものを世の中に送り出そうとする時、自分が納得しているかどうかが一番大切なのだ。

きっとみんな「知っている」はずだ。

僕も「知っている」。

他人の評価なんか関係ないということを。




「1億総発信時代」とも評される現代においては、みんながライトにSNS上に情報発信ができるようになった。

そこではみんなが「いいね!」を送り合い、その数がその人の信頼の証であり、その人の「価値」を決めているかのようだ。

「いいね!」が増えれば増えるほど、自分が認められた気持ちになるし、それをやはりモチベーションにして頑張るということもアリだと思う。

でも、結局のところ、「何を世の中に送り出したか」であって、そこには「共感」は関係なく、「クオリティ」の勝負しかない。

それが本当の「価値」だ。

「クオリティ」の低い商品はいずれ淘汰されてしまうとすならば、やっぱり誰かの評価に一喜一憂して生きるのではなく、自分が納得する域に到達するまで、ひたすら自分を磨き続けるしかないのだと思う。

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