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MBA Candidate 「経営財務①」

今回は、ファイナンスの講義で学んだことについて書いていきます。野村資本市場研究所で常務をされている井潟先生に基本から色々と教えて頂きました。
負債、株主資本についての基本的なことから入り、企業価値評価などについても学びました。私は金融機関に勤めているので、元々ある程度は知識がありましたが、大変学びの多い講義でした。とにかく財務の世界では、Cash is King という前提があると感じました。全14回の講義で多くのことを学びましたが、ここでは私にとって印象に残った学びを書いていきます。

一つ目は、理論的には負債は善ということです。理論とは、①MM理論(ざっくり言うと節税効果)、②エージェンシー理論(所有と経営の分離)、③レバレッジ効果です。もちろん、実際には借りすぎには注意が必要です。倒産コストという考え方もあるからです。要はほどほどに、バランスよくってことですね。特に日本の中小企業は、負債が多いと取引先や従業員への印象が悪くなりことがあります。また、業種によっても変わります。研究開発費等に多額のキャッシュアウトを伴う企業とキャッシュインが安定しているインフラ企業では状況が異なるので、負債と株主資本のバランスも変わってきます。更には、企業のタイミングによっても変わります。スタートアップ企業は、返済期限のある負債が多いと経営をしづらくなります。

二つ目は、企業価値評価についてです。企業価値評価には、1.コストアプローチ(簿価純資産法など)、2.マーケットアプローチ(市場株価法など)、3.インカムアプローチ(配当還元法,DCF法など)があり、この授業では、2と3について学びました。
いずれにしても、バリュエーションでは、長期・安定・キャッシュが重要であり、短期の利益は評価されないと学びました。やはり、基本はCash is Kingです。
これらを学んでいる途中で、「ROE」・「配当性向」・「株主資本要求収益率」・「理論株価」の関係についても学びました。株主資本要求収益率が高いと、理論株価は低くなってしまいます。つまり、リスクが大きいと判断されます。これは、逆に言うと、リスクが大きいから株主資本要求収益率が高くなっていると言えます。
また、ROEが株主資本要求収益率を上回っているときは、配当性向が低くても理論株価は上がりますが、ROEが株主資本要求収益率を下回っているときには、配当性向が低いと理論株価は下がります。つまり、前者は内部留保が正当化され、後者は嫌悪されるということですね。教えてもらった数式に従ってエクセルで計算すると、この様な結果が出たので、至極当たり前なんですが、きちんと考えられている理論だなと思いました。

三つ目は、格付けについてです。JCRやR&I等の格付機関のHPはとても便利ですね。分析のプロたちが、業界毎の特徴などを記載してくれているので、自分で企業分析を行ったり、ビジネスプランを考える際に参考にできると思いました。

四つ目は、経営管理についてです。ROEとRe(株主資本コスト)を比べる話で、企業価値評価とも一部重複します。伊藤レポート(2014年)が出た当時は、株主資本コストの日本企業の平均が8%だったので、ROE8%以上を目指しましょうという内容が話題になりましたね。その頃私は証券会社に勤めていたので覚えています。
ただ、ROEは株主目線なので、ステークホルダー全体にとってどうなのか、というのは、ROICを使います。投下資本利益率のことです。 営業利益×(1-実効税率)/(有利子負債+株主資本)で算出します。そして、ROICとWACCで比較します。ROIC-WACCのスプレッドがプラスなら評価できます。

色々と学んだ中で、上に記載した内容が、私には印象に残りました。
この講義では、4名の方がゲストスピーカーとして講義してくださいましたが、次回はそれに関して書きたいと思います。

以上

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