空き缶でしあわせ#6
ずっと行きたかった場所
2年前の夏の日、絶対に行こうと決めた。友達のおすすめのカフェだった。新卒で働きだす前に高校の同級生に会った。インスタのストーリーを見ているだけでアクティブだなと分かる、そんな人だ。
私は、インドアで出かける時は重い腰を「よっこいしょ」と上げないと外に行かないタイプだ。なぜ、そんな私がアクティブな同級生を誘おうと思ったのかは、正直もう覚えていない。一緒に行ったことを覚えているからそれでいいことにする。
その日は、雨が降っていて直前までドタキャンしようか迷っていた。自分に「ここで行かなきゃ男じゃないぞ」と言い聞かせバスに乗る。片道440円、往復すると880円だ。そんな計算をしながら人に会おうとしている自分が少し嫌になり、待ち合わせ場所につく。
私が指定したカフェに二人で入る。カフェまでの道すがら話をしたが、やっぱり話しやすいと思う。カフェの中は、席数が少なく、落ち着いた雰囲気だった。読書をしたり文章を考えるにはすごく良い場所だ。今日は話をしに来たんだけど。
話を聞けば聞くほど、経験値が違うと感じる。いろんな経験をしている。そしてその経験が自分にはない上質で刺激的なものだった。君と私の違いを明白にしたくて「カフェとか行くの?」と聞いてみる。君は「うん、好きだよ」なんて言ってくる。ああ、そうか。ーーー。
オススメのカフェを聞いた。それまで私の心の中は相手にドライな対応をしていたが、急にあたたかな気持ちになった。ステキなカフェだ。これは行かねば。たぶん、ニヤついていた。うわ、めっちゃ子どもっぽいじゃん。と心の中で気づき恥ずかしくなる。
それから2年。ついに訪問した。すごく、素敵で落ち着く雰囲気だった。また行こうと思える場所だった。季節ごとに雰囲気が変わるカフェ。
行くたびに自分の成長が分かれば良いなと思いながら、思い出と共に時間を過ごした。