空き缶でしあわせ#28
タイに行ってみたい
私には夢がある。タイに行って、ゾウに乗ることだ。そして、その夢がついに叶った。
この話をするにはまず、なぜ私がゾウに乗りたいと思ったかを書くべきだろう。理由は、ただ一つ。TVで観て強烈に惹かれたからである。人間って意外とそんなもんではないだろうか。人に理解されないようなものに惹かれてみたりするものだ。
何で強烈に惹かれたかを考えてみた。まず思いついたのは、自分と同じ生き物なのに目線が違いすぎるよなってこと。あんな大きな身体だったらどんな目線なのか気になった。私は身長が大体170㎝だから目線は160㎝あたりだろう。私が乗ったゾウは大体3mくらいだったと思う。それはそれはもう高かった。1日中というか生きている間あのくらいの目線で生活していたら、人間なんて本当に小さく見えるんだろうなと思った。というか実際、小さく見えた。
次に思いついたことは、歩き方とか乗り心地を知りたかったからだ。結構揺れた。私のゾウのイメージは、ゆっくり動いてあまり揺れない。だったから思いのほか揺れて驚いた。なにも聞いていないけど「こんなの聞いてなよー!」と心の中で叫んでいた。だけど、いい意味で裏切られたこともある。皮膚が柔らかいことだ。テレビでも聞いたことがあったと思うが、本当に柔らかかった。雨とか、日差しとか温度はしっかり感じてしまいそうだった。寒いとか思うんだろうな。日本にいるゾウは越冬が大変だろうと思いを馳せたりしてみる。
誰にも理解されなくたって、私は夢を一つ叶えた。最高の瞬間だった。