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日本で初めてアメリカのNBAスキルトレーナーと一緒にオンライントレーニングを開催してみた

コロナウイルスの影響でBリーグもシーズン途中で終了し、その後の緊急自体宣言を受けて日本全国のバスケットボール選手は練習する場を失いました。

もちろん他の競技の選手も同様ですが、自分自身少なからずバスケットボール業界を生業にしている上では死活問題です。

ここまで堅調に伸びてきた日本のバスケ界にとっては、非常に痛い足止めではありますが「ピンチはチャンス」というマインドで何かかしらやらなくてはいけません。

ということで、弊社の米国での活動でも色々と連携している、本場NBAのスキルトレーナーであるライアンと相談し、日本の選手に対してZoomを使ってオンラインで出来ることを提供していこうという話になりました。
というのが前置きです。

※NBAスキルトレーナーのライアンについてはコチラの記事をご覧ください

1.駅前留学ならぬオンライン留学の可能性

非常にポジティブなこととして、オンラインでの米国とのワークアウトは、画面越しであっても普段接する機会がない本場のコーチと、直接コミュニケーションを取りながら触れ合えるという点においては非常にハードルが低い留学体験に相当するなと感じました。

米国や欧州へのバスケ留学を通じて、海外で活躍するバスケ選手を増やすことも事業の一つとして推進している我々にとっては、ある意味で海外に興味を持っているのだけれども行動に移せないターゲット層に対しての、ドアノックツールの一つになるかもしれないというのは大きな手応えでした。

一方で、非常に参加ハードルが低くカジュアルに参加できるため、参加者のモチベーションや取り組む姿勢については全くコントロール出来ないなというのはある意味でネガティブだなと感じました。

本格的にオンラインでのカリキュラムを構成していくのであれば、しっかりと事前に参加者とのコミュニケーションを取った上でカスマイズしたプライベートワークアウトのようなレベルにまで持っていくと、非常に良いものが出来そうな気がします。

ここはもう少し運営を重ねた上で、ニーズが高まれば検討していきたいところです。

2.オンライワークアウトの運営面における課題と改善策

事前に懸念していた課題を挙げます。

1.時差による開始時間の課題
2.現地の通信状況の課題
3.参加者の通信状況の課題
4.Zoomの使い方などの課題
5.ワークアウト内容についての課題

まず、『1.時差による開始時間の課題』について。

フロリダは米国東部時間のため、日本との時差は15時間程度あります。
日本の参加者のことを第一に考えた場合、開催時間が早すぎても遅すぎてもユーザーフレンドリーではないということから、初回は週末の10時半からスタートということにしました。現地時間21時半からの開始でした。(そんな遅い時間からワークアウトしてくれるライアンは本当にナイスガイ)

事前準備も30分以上前から行い、開始時間遅れることなくスタートすることが出来ました。

しかし、フロリダ州の外出自粛の門限が23時ということもあり、尻切れトンボのような形でワークアウトが終わってしまいました。
これが初回最大の改善点でした。(アンケート結果でも時間に関してのコメントが一番多かったです)

2回目以降は30分すべてを前倒しして行うことで、しっかりと時間を確保し、参加者には満足いただけるようになりました。

次に、『2.現地の通信状況の課題』について。

事前に現地のライアンは、自らの施設のWi-Fi環境を非常に良いもの変更してくれました。しかもマイク等、オンラインワークアウトに必要な機材もしっかりと用意しており、ここは問題なくクリア。

次に、『3.参加者の通信状況の課題』について。

正直ここはコントロール出来ないので、事前に注意喚起する以外ありませんでした。
一回一回接続が切れて、改めてZoomに入場しようとする参加者を都度承認する作業もワークアウト中に行わなければならなく、ここについてはオペレーション上やむを得ないなと感じました。
また、通信とは違って、参加者のバッテリー問題というのも初回で発覚しました。家の外でワークアウトに参加している人は通信状態で1時間程動画を見ているわけですから、バッテリーが途中で切れてしまって終了…という不可抗力が…。
ここについても事前アナウンスに入れることで注意換気するようにしました。

次に、『4.Zoomの使い方などの課題』について。

幸いIT業界に長くいる自分は、オンライン会議などは何年も前からやっていたため、そこまで抵抗なく対応できます。
しかし、全国各地から参加されている方々すべてがそうではないですし、使っているデバイスによっても対応方法が異なるZoomというアプリケーションのカスタマーサポートは非常に大変でした。
とはいえ回数を重ねていく毎に、参加者の方々も慣れてくるので大きなトラブルにはなりませんが、事前にフォロー出来るようなものがあればもっとユーザーフレンドリーかなと思います。

最後は、『5.ワークアウト内容についての課題

課題というレベルの話ではないですが、初回にまず改善すべきだと思ったのは「参加者の表示名をローマ字にするべき」ということでした。

当然ながらライアンは日本語が読めません。
読めないのに画面越しにプレイについてアドバイスしようにも出来ないというのが盲点でした(苦笑)
幸いにも我々はバスケットを熟知しているネイティブスピーカーが通訳なので、柔軟に対応は出来たものの、やっぱり直接名前を言われてコーチングされるほうが参加者としては嬉しいですよね、ということで2回目以降はローマ字表記をお願いすることにしました。

あとは、都度参加を前提としているが故のカリキュラムの作りにくさがあります。とはいえ、ライアンの引き出しも相当あるので毎回毎回様々なワークアウトを提供できるようにしています。

ドラマに例えるならば、一話完結型の連ドラのようなイメージです。
一話逃してしまうと意味がわからなくなってしまうようなカリキュラムではないということを意識しているので、新規で参加される方でも継続して参加される方でも満足頂けるように気をつけています。

3.画面越しに見る参加者の様子

Zoomのギャラリービューで見る参加者の様子は十人十色で非常に興味深いです。
実際に、選手は現役の日本代表選手から中学生まで参加していましたし、全国各地の指導者やBリーグクラブ関係者の見学参加もありました。

画面越しにであっても、取り組む姿勢や気持ちのようなものが垣間見れるなというのは大きな気付きでした。

・強度の面(一つ一つの動作の強さや意識の高さ)
・再現性の面(初見で出来る人、出来ない人の差)
・負けん気の面(出来ないことをやり続ける人とそうではない人)

強度がある人が本場のスキルトレーナーのワークアウトを受けると、たいてい30分程度のワークアウトでかなりの疲労度になります。
ただ、強度を意識せずに、ただやっている人はそんなに疲れもせずに、内容に物足りなさを感じる傾向にあります。
これはスキルトレーニングにおいては、まったく意味のない時間になるので最も意識してほしいことは強度です。

次に再現性ですが、これはセンスやファンダメンタル(基礎)の違いがモロに出てしまいます。
最初は出来なくて当たり前ですが、一つ一つロジカルに考えていく姿勢がものを言う部分です。

そして、やはり大切なのは負けん気というか気持ちの部分。
Bリーグで活躍している選手の中でも、トップレベルで戦っている選手は本当にここが強いです。
画面越しにでも、休憩時間であっても自分が納得行かない部分を何度も何度も練習していました。

実は、参加者の方々にはそういう部分にも気づいて刺激を受けてほしいなと思ったりもしました。(実際に誰もが知っているような選手がワークアウトを一緒に受けているということをチェックする余裕すらないのがオンラインワークアウトの難点でもあるかもしれませんが…)

4.オンラインワークアウト 今後の展望

Afterコロナ、withコロナ、いずれにせよ新しいオプションとしてオンラインでのサービスが手持ちとして増えたということが大きいかもしれません。
昨今では多額の開発費を掛け、マーケティングコストを掛け、わざわざ自前でプロダクト開発をせずとも決済から運営まですべて既存のプラットフォームをうまく活用することでマネタイズすることが可能です。

これは観戦に対する価値の変化と同様で、ここまでロングテールに対して半ば強制的にDXが進むということで、逆にリアルの価値が増すという側面もあると思います。

今回のNBAスキルトレーナーとのオンラインワークアウトで言えば、オンラインで学べる部分はある意味カジュアルに学びつつ、ネクストステップとしては実際に会ってさらなる理解を深めるようなステップに移行していくという流れが理想です。

オンラインとオフラインを往来するようなビジネスが個人的には理想だなと思っていましたが、期せずしてそれが前倒しになったことは今後の事業設計においては大きな一歩かもしれません。

どこまでも『質』にこだわっていきたいですし、『数』の勝負にも受けて立ちたいという気持ちを抑えつつ、じっくりと仕込み続ける時期だなと自らに言い聞かせながら、色々なことを仕掛けて行きたいなと思っています。

何か一緒に取り組みたいという方がいらっしゃれば、是非ともご連絡ください。


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