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⑤検査数値の読み方

主観的なデータに次の実測値を併せて、総合的に信頼できる分析を行なっていきます。


血糖値

私のnoteでご紹介しているミトコンドリアの代謝を改善していく食事法を続けていくと、空腹時血糖の数値はだんだんと下がっていきます。

これは体がインスリンに対する敏感性を取り戻しつ、免疫システムの炎症を減らしている証拠です。

ケトン

慢性的な病気がある場合を除けば、ケトン数値を毎日測定するのはこの食事法を開始してから数週間から数ヶ月までです。

その後は、体が脂肪燃焼に適応できているかどうかを確かめるために、時々検査して確認するくらいです。

健康であれば、ケトンの血中濃度は0.5〜3.0mmol/lの間を推移します。

なにも高脂質の食事によって代謝が改善するのは、全てケトンのおかげというわけではなく、栄養素を摂取するタイミングと食事内容など、複数の効用の連鎖反応によるものであくまでケトンは副産物に過ぎません。

MCTオイルには、カプリル酸とカプリン酸が凝縮されており、摂取すればケトンはたくさん生成されるようになります。

MCTオイルを摂取すると同時に食生活一変させていないと、本格的な高脂質、低炭水化物、適量のタンパク質という、脂肪燃焼食によって得られるメリットの何十分の一しか効果がありません。

体重

ミトコンドリアの代謝を改善していく食事を始めると、インスリンの分泌が抑制されます。

重複しますがその結果、貯蔵されているグリコーゲンを使い果たす過程で水分が排出されていきます。

グリコーゲンに結びついていた水分も同時に排出されていくので、その後は、理想体重まで体重は落ち続けていきます。

これは脂質とブドウ糖では、1kcalあたりのエネルギー消費の質が違うためです。

以前のブドウ糖を燃料とする代謝経路だと、体は脂肪を溜め込む性質を保ったまま活動していました。

一方、脂肪燃焼体質の状態では、脂肪の一部はケトンに変わり使いきれなかった分は尿に排出されていきます。

人の体に脂肪を溜め込むように指示するホルモンはインスリンですが、ブドウ糖消費の時とは違い、インスリンによる脂肪貯蔵までのプロセスが起こらなくなるので、体重維持や減少が前より楽になるというわけです。

また、体が脂肪酸代謝モードに入っていると、空腹による飢餓感が薄まり、加工食品や糖が多い食事を求めなくなっていきます。

このような傾向に舵がきられると、体重はますます減らしやすくなります。

しかしもし、低体重と呼ばれるタイプの人であれば、ミトコンドリアの代謝を改善していく食事法を行う際には、十分なカロリーを脂質から摂取するようにします。

実践する過程で食生活を調整するのはもちろんですが、必要であれば数Kg程度は体重を増やす心づもりでいた方が良いのです。

体重の変化を記録するのに加え数日に一度朝起きてトイレに行った後のタイミングで、食事や飲み物を口にする前に体重を計測します。

体脂肪率の確認

さらに、定期的に体脂肪率を確認してみるのもお勧めです。

体脂肪率が下がっていく様子が、この食事法を継続するモチベーションにつながります。

ただ、除脂肪体重については維持、もしくは微増するのが望ましいです。

※除脂肪体重とは、体重から体脂肪を除いた筋肉や骨、内臓などの総重量を指します。

筋肉を増やすワークアウトを長期的に行なっていけば、除脂肪体重は増えていきますが、減っている場合には、たんぱく質の摂取量を少し増やす必要があります。

しかし、特に問題のない脂肪燃焼食を摂っていても、除脂肪体重が減ってしまう場合には、除脂肪体重1kgあたりのタンパク質1gのガイドラインは守りつつ、食事プランは見直します。

一般のフィットネストレーニングが指示するタンパク質の量は多すぎるため、ミトコンドリアの代謝を改善する目的のある方は摂取量を見直す必要があります。

栄養素

いくつかのマクロ栄養素の比較を行なってみるのもおすすめです。

念頭に置いておきたいのが以下のものになります。

オメガ6系脂肪酸 対 オメガ3系脂肪酸

理想的な比率は5:1〜1:1の間にされていますが、

最大値を5:1として、食事とオメガ3系脂肪酸を摂るなどして調整しながら、オメガ6対オメガ3の比率が、3:1や、2:1になるようにしていきます。

オメガ6系の脂肪酸摂取を減らし、オメガ3脂肪酸を適量摂取します。

体の抗炎症作用があるオメガ3系脂肪酸はレゾルビンという化学物質が含まれていて体が感染症と戦う必要がなくなると、炎症作用を止める機能が働くようになります。

一点、注意すべき点があるとすれば、フィッシュオイルを過剰に摂取すると

EPA(エイコサペンタエン酸)というオメガ3系脂肪酸だけが、非常に高くなるという点です。

EPAだけを多く摂取した場合、EPAの作用を受けて、AA(アラキドン酸)の量が減り細胞膜が不安定になり出血が起こることがあります。

体の機能を働かせるには常にバランスを保つことが必要とされていて、AAは細胞の構造、安定化、信号伝達に使われているため、一定量が必要になります。

だからこそ、魚介類の一部を使ったフィッシュオイルのサプリメントだけではアンバランスといえます。他のサプリメントで補おうと思うとクリルオイルに含まれるリン脂質が足りていないことになります。

クリルオイルやオメガ3サプリメントと比較して、質の良い魚介類の摂取は良い選択になります。

カリウム 対 ナトリウム

ナトリウムは高血圧や心臓疾患の原因として悪者扱いされがちな栄養素です。

けれど、ナトリウムそのものが一様に体に直接悪影響を及ぼしているわけではなく、多くはナトリウムの影響を緩和してくれるカリウムの摂取量が少ないことが問題です。

カリウムは、ナトリウムが引き起こす血圧の上昇を抑え、体のp Hレベルを適切に保ってくれます。

原子時代に生きていた人類の食事を分析した論文がありますが(1985年研究)

その時代には平均して一日にカリウムを約11,000mg、ナトリウムを700mg摂取していたとされています。

つまり当時のカリウムの摂取量が、ナトリウムと比べてほぼ16倍ほどです。

現代ではこの比率は逆転していて、1日に摂取するカリウムの平均量が2500mgに対して、ナトリウムは3400mgにもなるそうです。

また日本において加工食品の殆どに食塩が過剰に添加されているので、現実はもっと多い傾向があると推測されます。

それではカリウムの摂取量をナトリウムより増やすためにはどうしたら良いかと言えば、食べられる食材リストを参考に、食べられる食材のうち、カリウムの含有量の多いものを食べていきます。

例えば、ほうれん草、ブロッコリー、芽キャベツ、アボカド、アスバラガス、ナッツ、などです。

カリウムがナトリウムの2倍になるような状態を目指します。

これだと通常、1日あたり5gのカリウムを摂取することになります。

カリウムが体に良い効果を発揮するためには、カリウム塩からではなく食材から摂取することが望ましいです。

カルシウム 対 マグネシウム

マグネシウムは、体内で4番目に多いミネラルとされています。

現在ヒトのタンパク質には、マグネシウムと結合する部位が3750ヵ所以上もあることがわかっているそうです。

さらに、300種類以上の酵素がマグネシウムを必要としています。

これらの酵素はタンパク質、DNA、RNA、ミトコンドリアのエネルギーなどを作りだす働きを持ちます。

そのため、ミトコンドリアの最適化にはマグネシウムは欠かすことができない栄養素となります。

マグネシウムはさらに、カルシウムに拮抗するという働きもあります。

人の身体がカルシウムの摂取量が多く、マグネシウムが足りない状態になると心臓発作、脳卒中、突然死が起こるリスクが高まるそうです。

マグネシウムとカルシウムの比率については、1:1とするのが良く、偶然にもマグネシウムが多く含まれる食べ物にはだいたいカリウムも含まれています。

1日あたりに推奨されるマグネシウム量は、310〜420mgとされていますが、多くの研究者は健康状態を最適に保つためには、マグネシウムを1日あたり600〜900mg摂取すべきだと考えられています。

食物繊維

1日あたり最高で35〜50gの食物繊維を、新鮮なオーガニック野菜、ナッツ、種子類、キノコなどから摂ることが望ましいです。

コレステロール値

高脂質食を始めた人の25〜30%は、開始直後に中性脂肪とコレステロール値の上昇を経験することになるそうです。

コレステロール値と循環器系の疾患との関連性が、これまで医療で語られていたほどには強くないそうです。

1996年に発表された調査では、心臓発作の患者の50%と

冠状動脈の疾患がある患者の80%は、コレステロール値が平常値であることがわかっています。

LDL-Cについて

LDL-Cという、血中のLDLコレステロールを調べる検査項目は

実際には分子の数を推測しているだけであり、推測である以上、誤差があります。

てんかんのために食事療法を受ける子供たちのLDLコレステロール値については一時的に高くなったとしても、観察を続けると半年から一年の間に食事療法を始める前の数値に戻っていくことが多い。(全員ではない)

開始前の数字に戻る現象は大人でも起きるようです。

LDLコレステロールは常に、「悪者」だと考えられてきましたが、実はLDLコレステロールには2種類あります。

小さく、低密度で、酸化しやすく、心臓疾患を引き起こしやすいLDLコレステロール

大きく、軽い、動脈への悪影響が少ないと思われているLDLコレステロール

この2つの種類のLDLが分けて考えられます。

たとえ、LDLコレステロール値が上がったとしても

また、より新しく、洗練された検査方法が使われたとしても

その情報だけで読み取れることはとても少ないのです。

(どちらのパターンのコレステロールも、同じように計上しているため)

中性脂肪

循環器系の疾患リスクについては、中性脂肪を指標とした方が正しいことが多い傾向です。

質の良い油を摂取していく高脂質食を始めると、中性脂肪の値が驚くほど下がることは事実で、中性脂肪は主に炭水化物の過剰摂取によって増えるからです。

高脂質食を始めて中性脂肪の値が上昇したとしても、それは一時的なもので、脂肪燃焼体質への切り替えの過程で起こります。

そのまま炭水化物量を減らす食事を続けていくことで、脂肪細胞に蓄えられた中性脂肪が取り出されるようになりエネルギーとして燃やされるようになります。

カルニチン

カルニチンはミトコンドリアの内膜に、長鎖脂肪酸を運ぶ誘導体の働きをします。

高脂質食では通常よりもカルニチンが多く必要になるため、カルニチン値が下がることがあります。

血液検査で遊離カルニチンの量を調べれば、足りていないかどうかが分かります。

検査の結果、カルニチンやケトンの値が低く、また疲労感がなくならないなどの自覚症状があれば、サプリメントでカルニチンを補給することも考えられます。

目安となる基準値

以下の基準値は、あくまで初期値であり、個人の健康、目的、生活状況などによって大きく変わります。

最初はこの数値を目安にして、その後は自分に合った基準値を探してみます。

血糖値とケトン値

空腹時血糖 80mg/dl未満

ケトン 0.5mmol/lより高い

尿検査の場合、スリップがピンク色っぽくなる。

呼気検査の場合、赤い光が点滅すれば、ケトーシスにあることが分かります。

点滅が多いほど、ケトーシスの程度が高いことを示します。

タンパク質の摂取量の計算方法

除脂肪体重1kgあたり1gの摂取を推奨していますが、以下の対象の方はこの限りではありません。

妊娠中の女性

母乳育児中の女性

アスリート

高齢者

ここに挙げた人たちは、タンパク質をもっと多く摂取する必要があるのです。

動物性、植物性のタンパク質を1日に摂取できる最大量

一般女性の場合は、12〜15g(妊娠中、母乳育児中の場合を除く)

一般男性の場合は、15〜20g

摂取するマクロ栄養素比率(個人によって変動あり)

脂質50〜85%

炭水化物4〜30%

タンパク質8〜12%

ピークファスティング断食の時間 

13〜18時間

ケトンの生成が楽にできるようになったら

脂肪燃焼が続く量(ケトンの値が0.5mmol/lより多い)であれば

脂質で摂取するカロリーの50%までを自然食品(穀物ではない)に含まれている純炭水化物に替えても良いとされています。

推奨されている量よりもタンパク質を増やすタイミングでは、筋肉量を増やす時期や、筋肉トレーニングを行う日の場合のみに留めておきます。

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