指示を効果的に伝えるために
特別支援学校教員のたにやんです。
指示を生徒に受け取ってもらいやすくするために、まずすべきことは指示を出す教員に生徒の注意を向けさせることです。意外と生徒の注意の方向を確認せずにこちらのペースで指示を出してしまうことがあります。
水を注ぐコップの受け口が上を向いていなかったり斜めの状態で注ぎ始めてしまうのです。いくら水を注いでも貯まりません。受け口を上に向けて水が入る状態を整えてから水を注ぎ始めることが大切です。
◯注意を引く重要性
指示を正しく受け取ってもらうためには生徒たちの注意を教員の方に向ける必要があります。
人はぼーっとしているようでもたくさんの情報が耳や目から入ってきます。全てを脳が処理しようとすることは不可能です。そのために、脳は必要なものと不要なものを自動的に分けています。なので、指示を伝えれば情報が入っていくわけではないのです。
そのためには今から指示を伝えることを知らせないといけません。
◯受け口の例え
水を注ぐコップの受け口を裏向けたまま水を注いでも当たり前ですが、水はこぼれるばかりです。受け口が上を向いていない状態で水を注いでも意味がないことは誰にでもわかることです。指示は目に見えないので伝わっているのかも、本人が理解しているのかも目視だけでは確認が取れません。こちらを向いて返事しているようでも、実は理解していないなんてことはよくあります。なので、教師の指示も注意を向けて指示が生徒の指示の内容が理解できていることを確認するまでが大切な作業になります。
◯実践的なアドバイス
注意を向けるだけでなく、指示を受け取る器量を考慮しておくことも大切です。以前ワーキングメモリーとの関連を記事にしました。※人それぞれワーキングメモリーは異なります。注意を向けていても指示が全て受け止められるわけではありません。グラスの容量を見て注ぐ水の量を調整するように、その生徒を見て伝える指示の量を調整することが大切です。
重度の知的障害を持つ子どもの場合は注意の向け方を工夫する必要があります。
認知機能の低さや感覚過敏・鈍感さ、こだわり、コミュニケーションの問題、情緒的な問題などいろんな要因が考えられます。
なので、背景に応じて注意を引く工夫が必要です。
言葉掛けで難しい場合は、スキンシップを活用したり視覚的に提示したり、情報の伝え方をいろんな手段を試すことが大切です。
子供によって注意の向きやすい手段が異なるので言葉掛けにこだわらず、たくさん試しないといけません。
その結果、生徒の反応を見ながら効果的な手段を見つけていくのです。