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自信を育むビジョントレーニングの力

特別支援学校教員のたにやんです。
ビジョントレーニングを学ぶようになって、目の動きが悪い生徒の多さを感じます。
一方で知識がないと、視覚機能の不味さには気づきにくいことも感じます。それなりに読めている生徒でも目を動かすのが苦手で、よくよく音読しているのを聞いていると『え〜』が多かったり、読み飛ばしが多かったりします。
目の動かし方が良くなると読みやすくなったり、書きやすくなったり、運動しやすくなったりといろんなメリットがあります。
さらに、今回書かせて頂く話は活動の切り替えへの効果です。スマートフォンやゲームなど子供達が抜け出せないコンテンツが溢れています。そんな現代だからこそ、自分の行動をコントロールする力は必要です。
特別支援学校では、なかなか活動が切り替えられない児童生徒がいます。その結果、集団生活に馴染めなかったり、怒られる原因となってしまいます。
目の動きをよくして、自己コントロール力を高めることは成功体験につなげ、自信を育んでいくことにもなります。



◯目を動かすことで活性化する脳

目を動かすだけで脳の前頭前野が活性化します。前頭前野は脳全体の司令塔の役割があります。理性や論理的な思考などの人間らしさは前頭前野が大きく関係しています。

実は、眼は脳と同じ組織が分離し、前に飛び出してきたもので、脳の一部です。
眼球運動をすることで脳が刺激され、脳への血流が良くなり、脳(司令塔といわている前頭前野)が活性化します。

https://www.sokunousokudoku.net/media/?p=9117#i-4


前頭前野は人間らしさを司る部位です。その前頭前野が活性化するということは前頭前野の機能を高めることになると考えます。


◯前頭前野は脳の司令塔

考えたり、集中したり、やる気を出したり、気持ちをおさえたり、行動をコントロールしたりします。脳全体の司令塔としての役割を果たしています。子供の脳の発達順番は前頭前野が一番最後です。なので、子供が小さいうちは我慢ができなかったり、論理的に考えることが難しいのです。

脳の司令塔は前頭前野です。
脳には色んな器官があります。それらを統率するのは前頭前野です。会社で言うと代表取締役社長です。

そのことが詳しくそしてわかりやすく書かれている本がありますのでご紹介します。



◯目の体操と活動の切り替え

自閉スペクトラム症の生徒たちやそれに似た特性を持つ生徒たちに多く共通するのは活動の切り替えが苦手なことです。全員がそうというわけではありませんが、自分で落とし所を見つけて次の行動に移すのが苦手な生徒は多いです。無理やり、次に移行しようとすると固まったり、パニックになってしまうことがあります。しかし、仕事をしていこうと思うと最後までしたいことがあっても折り合いをつけて切り替えることが求められます。

今回お話ししたいのは、目の体操と活動の切り替えの苦手さの関係です。
元々は目の動きが悪いから。という理由で授業にビジョントレーニングを取り入れたのですが、目の動きが良くなるにつれて活動の切り替えもスムーズになってきたので、これは関係があるのではないかと考えました。

●活動の切り替えが苦手なAさん
Aさんはもともと目を動かそうとすると、白目を向いてしまうような生徒でした。それが、半年近く週1〜2回程度のペースで目の体操をしているとスムーズに目を動かすことができるようになりました。

それと並行して、活動の切り替えも早くなってきました。教師からの声かけによって時間をかけることなく切り替えができるようになったのです。これまでは、声をかけてもそのまま数分固まったり、やめられなかったりしました。

今回の事例に触れ、眼球運動によって前頭前野が活性化し、行動をコントロールする力が高まっているのだと感じています。もちろん、目の体操以外のアプローチもしているので、いろんなことが重なって性長に繋がっていることには変わりありません。しかし、目の体操が一つの要因であることも充分に考えられます。

一方で情緒不安定な生徒は目の運動を嫌いました。目を使うことが疲れるのか、見られるのが嫌なのか、取り組めないことが多かったです。

目の体操は簡単にできます。ただ、やり過ぎると疲れるので、1日1分程度で良いみたいです。

目の体操をすることは内面のことはもちろん効果を得られると思いますが、視覚機能も良くなります。学習場面では読むのがスムーズになったり、書き写しがスムーズになります。

学習面や情緒面、実行機能面など色んな効果が見込めるビジョントレーニングはオススメです!

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