死にたかった発達障がい児の僕が自己変革できた理由②
「発達障がい児のためのツールと実体験」
この本は、『発達障がい児がQOLをあげるライフハック』というパートで、たくさんのツールが紹介されています。エピソードと共にツールの活用方法が詳しく書かれており、読者はその内容に日々の生徒たちの抱える問題を重ね合わせることができます。発達障がい児は個々に異なる環境や素質を持っているため、すべてのツールが万人に適しているわけではありません。しかし、本書では西川さん自身が試行錯誤しながら見つけたツールが多く紹介されており、その結果には感嘆せざるを得ません。さらに、同じような苦労を経験した同世代の方々からのメッセージは、教員の言葉よりも深く心に響くでしょう。私が通級指導させて頂くなかで感じた生徒の困り感で筆記具の合う合わないがあります。不器用さや力加減の難しさなどから筆圧の問題であったり芯が折れやすいなど細かいことではありますが、勉強への意欲低減につながる要素であることに間違いありません。この本では筆記用具もメーカーや商品名、西川さんのおすすめのポイントなど細かく書かれています。当事者だからこそ気づけるポイントばかりです。私どもがヒアリングをして商品わ選定する時間のコストが低減されます!とても参考になりおすすめです!
障がい受容の大切さ
西川さんはたくさんの経験や前向きに自身の人生を変えようという意志から、すごく自己理解されていると感じます。また、障がいをネガティブに捉えずにありのまま受け入れて、どう対応するのかを検討されています。自己理解や障がい受容はわれわれが向き合う生徒たちにおいても大切なことです。過去の苦しい体験から自己理解には目を向けるのはとてもハードルが高い生徒たちがいます。今はさまざまなメディアがありますので、目をそちらに向けている方が自身も楽だということもよく理解できます。これから、自律を目指していく中では苦しい中でも自分と改めて向き合いながら自己理解を深めて障がい受容をしていくことが、今後の人生の豊かさにつながるのだと本を読んで感じさせられました。
工藤校長の手腕:生徒の未来を見据えたリーダーシップ
本の中で節目節目に影響を及ぼした工藤校長の言葉が紹介されています。私の率直な感想は『一般的な校長先生は言わないけど、建前ではなく誰もが抱えている本質的で素直な意見だよなぁ』です。いろんなハレーションや建前などいろんなものを含めて言いたいことがあっても他人の目を気にしてオブラートに包んだりしてしまいますが、それでは伝わらないなと感じました。
本の中で印象に残っている工藤校長の言葉があります。「嫌いな人がいるのは悪いことじゃない。差別する心はかんたんに消せるものではないけれど、差別しない行動だけは意識すれば誰でもできるようになる」と言っています。また、「何かを決める時に、意見の対立が起こるのは当然」とアドバイスされていたようです。そして、対立をうまく乗り越えるためには自分の感情のコントロールの必要性を強調されていました。
「みんな仲良く」は言ってしまいがちですが、私も過去に恩師から部活動で結果を残せたチームの特徴として、単に仲が良いだけではなく、言いにくいことも言い合える仲やお互いがお互いを信頼している土台の上で必要な議論をお互いにできるチームが強かったと聞いたことを思い出しました。お互い妥協し合って仲が良いというのはどこか遠慮があり、本当の信頼関係は結びきれていないように思います。そのためにはまず、対立という起こるべくして起こる事柄を認めておき、対立を活用しつつ人間関係の構築の仕方を学んでいくことが大切だと思います。その時に、必要なのが感情のコントロールです。感情のままに議論してしまうと収集がつきませんし、声の大きさや強さだけで意見が決まってしまいます。工藤校長が言うように全員一致のゴールを目指すことが重要です。社会人になってからの経験を踏まえて、このスキルはとても大切だと感じました。
中学生の段階からこのような機会がある学校で学べていることはとても良いことだと思いました。工藤校長の手腕は長期的に生徒の未来を考えられるもので、その凄さを感じました。
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