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「悪い魔女」と「良い魔女」〜ユングの発達理論②
お子様と絵本は読まれますか?古典的な昔話は楽しんでおられますか?
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こんにちは!臨床心理士/公認心理師/精神保健福祉士/臨床発達心理士のまりぃです。
まだ若輩心理職で、【公認心理師試験・臨床心理士試験対策/心理学部生専用オンライン個別指導塾】や,【公認心理師・他専門職のための心理査定/カウンセリングはじめの一歩講座】,SNS発信/起業のお手伝い(伊藤まり名義)もやっています。
思いが高ぶって働き方・生き方の本まで書きました。読んでください。
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今回は,普段幼稚園や保育園と個人契約をしているカウンセラーとして,ユングの発達理論のお話を書いてみます。
天地創造
前回,ユングの発達理論に基づいて,人生の最早期の様子を「天地創造神話」に見立てることができるとお話ししました。
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この時期,お母さんと自分が別の存在だと分からない時期の赤ちゃんは,自分が「ミルクが欲しい」と思ったからミルクが出てきたと思っています。
世界も自分も混沌としていて,「境界がなく一つ」なんですね。
ここから,やがて「光あれ」と言わんばかりに,世界が分かれていきます。
今日はそこのところのお話をしてみます。
「良い魔女」と「悪い魔女」
「ヘンゼルとグレーテル」「白雪姫」「シンデレラ」外国のお話ですが,どれも「悪い継母」が出てきます。もちろん,ステップファミリーでも素敵な関係を作ることはできるはずなのですが,昔話では象徴的に「魔女」とか「悪いお母さん」が出てきますね。
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どうしていろんな話にこういったシンボルが出てくるのかというと,人の心の成長過程に関わりがあります。
普段メガネをしていないお母さんがメガネをすると,赤ちゃんはメガネを取ろうとします。なぜかというと,赤ちゃんにはまだ「お母さん」という全体像が理解できておらず,「お母さんの目」「お母さんの口」と各パーツでの理解をしているからです。これを部分対象と呼んだりします。
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同様にこの時期,子どもたちは「優しいお母さん」と「怒ってくるお母さん」がまるで別人であるかのように感じています。幼稚園のお友達くらいになると,知的には同一人物であることが分かっていても,まだまだ気持ちでは「良いお母さん」と「悪いお母さん」の区別がついていません。
何かの注意をした時,まるで別人格のように反抗したり,怒り返してくるお子さんもいらっしゃると思いますが,それはお子さんにとっては「悪い母」からの迫害に対抗しているわけですね。
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この心の世界は世界共通です。これらの「悪い母」をシンボリックに描いたのが,西洋なら「悪い魔女」,日本だったら「やまんば」です。一方の「良いお母さん」は「女神」とか日本で言うと「慈母観音」のようなイメージです。
このように,お母さんと自分が別の存在だと分からずに「ミルクあれ」でミルクが出ていた時代から,「お母さん」がいて「お父さん」がいて,自分がいて,と分かってくる時期は,メチャクチャに攻撃していた悪いお母さんが良いお母さんと一つの人間であったとわかる時期でもあり,罪悪感が芽生えることで,心に痛みを生じる時期でもあります。
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これを「抑うつポジション」と呼んだりもします。「良い」と「悪い」が分かれていた世界から,両面を持つことに気づく時期ですね。
そうすると,今までいろんなものを壊しても「やってない」とか,捨ててしまって無かったことにしていた子どもたちが,セロテープなどを使って修復しようとする動きが出てきます。これが罪悪感の芽生えです。
さて,次回はこの幼児期から成長していく物語,「英雄の誕生」をお伝えします。お楽しみに!
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この記事で書いた,ユングにみる発達段階も含んだ動画講座はこちら
【引用・参考文献】
河合隼雄(2009)生と死の接点,岩波現代文庫
松木邦裕(1996)対象関係論を学ぶ〜クライン派精神分析入門〜,岩崎学術出版社
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