アメリと過ごす夏の終わりのイル・ド・フランス : 後編
さて、アメリ編ラストとなるこの後編では、アメリが連れて行ってくれたフランスの地方都市をご紹介します。
フランスを訪れるまで、こんなに色々なところへ連れて行ってくれるなんて想像もしていなかったので、すごく有り難かったし楽しかった!実は滞在日数のほとんどを、アメリの家で過ごすだけだと思っていたのです。
到着初日に車で5時間かかる親戚の家に連れて行ってくれたんですが、さすがにそのタイミングだと助手席で睡魔と激しく戦闘した記憶があります。長距離運転を難なくこなすアメリ、尊敬するわ…。
訪れた順に、簡単にご紹介します!
Nancy:世界遺産の広場を誇る都市
アメリの親戚の家の近くにあるナンシー。フランス北部、グラン・テスト地域圏の都市であり、金融業や医療に注力している都市です。
日本の都市だと金沢市の姉妹都市ですね。
この写真はナンシーの中心部で撮ったのですが、美しい広場が印象的でした。スタニスラス広場、カリエール広場、アリアンス広場が世界遺産に登録されているとのこと。
公園には大きな栗の木があったりして、のどかな都市でした。一通り散策するだけですぐに去ってしまったのですが、パリと似た落ち着きある色味の街並みを到着翌日に歩けたことは、ヨーロッパに来たなぁと嬉しくなる感覚を与えてくれました!
Château de Vaux-le-Vicomte:水面に映えるシンメトリー
次にアメリが連れて行ってくれたのは、アメリの家から車で45分ほどのところにあるヴォー・ル・ヴィコント城です。
マンシーにある、17世紀のバロック様式の城で、内観は豪華絢爛、外観は意外とシンプルでとにかくシンメトリーが美しかったことが印象的でした。
ここは、ルイ14世の大蔵卿であるニコラ・フーケによって建設されたところで、当時フランス最高と思われた建築家や造園家に依頼して建てられました。ただ、それがルイ14世の嫉妬を買ってしまって、フーケは没落することに。このヴォー・ル・ヴィコント城の建設チームの優秀な人材はルイ14世によってどんどん引き抜かれ、そうして完成したのがあのウェルサイユ宮殿なのです。
これが、ルイ14世が嫉妬するほどの美しさを誇る建築と庭園です。
ルイ14世、気持ちわかるわー!ほんのすこしやけど。
わたしは別の時代の異国に生まれた、ただのド庶民ですが、これは嫉妬や様々な感情を通り越してただ美しかった。計算された美しさとは、まさにこのことだなぁと感じたことを覚えています。庭園の果てまで歩くとこの光景が見られるのですが、わたしはしばらくここで立ち止まってしまって、このシンメトリーに見惚れていました。
ご覧の通り、入場者はほとんどいませんので、ゆっくり観光できました。ウェルサイユ宮殿やシンメトリー萌えの方々にはオススメです!
Provins:世界遺産の中世市場都市
アメリの家を出て、一面トウモロコシ畑の中を車で走ること約1時間、この日は町全体が世界遺産になっているプロヴァンに来ました。
よくプロヴァンスと間違われる町ですが、プロヴァンスと聞いて思い浮かべるようなラベンダー畑やパステルカラーの街並みはここにはありません。笑
ここプロヴァンは、中世はシャンパーニュの大市の開催都市として有名な町でした。その名残で今でも収穫祭をするんだとか。
昔から薔薇を使った製菓業の中心地であり、土産物屋では薔薇のジャムやハチミツなんかを見かけました。そして、上の写真ではお伝えすることができませんが、城壁に囲まれた町なので、進撃の巨人の雰囲気があってなんだかわくわくしました。
薔薇園やガイド付き地下道ツアーなど色々なアクティビティに参加しましたが、特に印象に残ったのが「城壁の鷹」です。
中世の服装をしたスタッフさん達が鷹を飛ばすショーなんですけど、頭上スレスレに鷹が飛び交ってゆくのはなかなかスリルがあります!
あと、衣装や舞台の雰囲気が相まって、どこかタイムスリップした気分になれました。お気に入りの一枚と共に、会場の雰囲気が伝われば光栄です。
Paris:エッフェル塔を見ずにフランスを去るなんて
そんなことできません。笑
なんとエッフェル塔の落成記念日とわたしの誕生日は同じ日なんです。そのことを知って以来、勝手に親近感を覚えているのですが、シンメトリーなところと控えめなカラーをしているところが大好きなんです。声を大にしては言えませんが、東京タワーより好きです。
この日は日帰りでパリを訪れました。
都会があまり好きじゃないアメリは、パリ案内に関してはあまりテンションが上がらなかったそうで、エッフェル塔や凱旋門を足早に過ぎ去ろうとしたため、写真を撮る時間だけはくれと言って数枚だけ撮りました。ひとりで行ってくるよと話したんですが、パリは治安悪めだからダメよ!絶対一緒に行く!と同行してくれたんです。笑
凱旋門に向かうまでのシャンゼリゼ通りを歩く最中、「オー・シャンゼリゼ」の歌をアメリはフランス語、わたしは日本語で歌って歩きました。このことはこの日のハイライトかもしれません。
奇行と言われれば奇行かもしれませんが、道ゆく老若男女と笑顔で目が合ったことは嬉しかったし、「素敵な歌声ね!」と言ってくれた老夫婦と一瞬だけ交流できたことなど、声は控えめにしていましたがとにかく歌いながらシャンゼリゼ通りを歩いている数分間がめちゃくちゃ楽しかったんです。
アメリは良識のある子ですが、わたしの奇行には笑顔で付き合ってくれるノリの良さがあって、語学学校でもアメリやポールがわたしの行動や提案を受け入れて楽しく盛り上げてくれたことを思い出します。
今でも凱旋門の写真を見ると、この日のことが鮮明によみがえります。
その後は、アメリの幼馴染エメリンと合流するために、モンマルトルへと移動しました。名前が似てますが、エメリンはパリの専門学校に通っている最中らしく、日本人の友達が来ているとアメリが話したところ、会いたい!と言ってくれたとのことでした。
聞けばエメリンは旅をすることや日本の文化に興味があるそうで、いずれ日本を旅したいと思っているとのこと。オススメの旅先や日本食に関して色々と興味津々で尋ねてくれました。
ほかの友達と夕食の予定があったので、ひとまずモンマルトルにあるレストランのテラス席で軽く食事をしました。ハムの盛り合わせとカクテルが美味しすぎた。アメリとエメリンは将来のことを真剣に話し始めたので、フランス語がさっぱりなわたしはとにかくハムを食べたり、店員さんと英語で話したりしていました。
この後はまたセーヌ川のほとりまで移動して、これまたシドニー留学中の語学学校で仲良くなったパリジャンのイメージを崩してくれるエイドリアン、ブライスの2人と再会しました!
夕食はどこかのレストランにでも行くのかな?と思っていましたが、なんと2人はスーパーに入ります。そして、サンドウィッチにディップ、ワインボトル数本を購入して店を後にしました。そしてこう言ったのです。
「川の階段に座ってこれ食べるぞ!」
最初は、え?ほんまに?と思いましたが、アメリを見ると驚いた様子はなく、笑顔で彼等と食料を運んでいます。
「パリ住みだからって、外食はオシャレなレストランばかりとは限らないよ。俺達が外でメシ食うとなると結構こんな感じ!普段はこの後クラブに行くけど、今日はゲストのまさえとアメリを駅まで送って行ってやるよ」
なるほど、パリの若者はそんな風に過ごしているんだなぁと思った瞬間でした。確かに日本でも外食がオシャレなお店ばかりとは限りませんし、韓国なんかでは春や秋はよく夜にピクニックしていますしね。
通りすがりのご夫婦に声をかけて、写真を撮ってもらいました。この時ばかりはアメリも顔を隠さずに写ってくれた!
エイドリアンとアメリがその夫婦に、わたしが日本人でフランスに遊びに来ていることを話したところ、ご夫婦は「パリへようこそ!この国を楽しんで帰ってね」と笑顔で言ってくれて嬉しかったです。
エイドリアンとブライスは一緒にパリのシェアハウスに住んでいましたが、アメリとはこの日まで特に連絡を取ることはなかったそうです。わたしが渡仏することを知り、こうして集まる機会を作ってくれたと聞きました。アメリはそれを、普段は会おうとしない友達でも、会ってみてシドニーのことを話すと楽しかった光景を思い出す機会になるからよかった、と話してくれました。
最後に
最後にまとめると、…とは言え上手にはまとまりませんが、フランスを訪れてよかったなぁの一言に尽きます。
観光名所しか知らず母娘旅行でしか訪れたことのなかったフランスですが、アメリが案内してくれたことでたくさんの魅力に触れることができたし、語学学校で一緒に過ごした友達が、月日を経ても同じ笑顔で接してくれたことがなにより嬉しかった。素敵な友達がたまたまフランス人で、その彼等の母国を訪れてみたところ、今まで以上に大好きになった!そんな貴重な日々でした。
アメリとそのご家族、この旅でわたしに笑顔と元気をくれたすべてのフランスの方々、そしてここまで読んでくださったあなたへの感謝と共に、フランスで過ごした夏の終わりの記録を綴り終えます。
Bonne fin de journée !
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