Marisco de coco(魚介のココナッツミルク煮)
この数年、ほぼ毎年カーニバル時期にはブラジル、ペルナンブーコ州レシーフェまで住み込みで太鼓の修行へ行っている。いわゆるファべーラと呼ばれる貧民街での生活とカーニバルの喧騒&狂騒でタフな事も多いが、美味いものに出会う事もある。肉と芋と豆ばかりのブラジル、ノルデスチ地方にあってやはり魚介類の料理は心のオアシス。コレは現地のオンボロ安食堂で食ったものを自宅で再現したレシピです。黒く濁ったマングローブの入江と、エメラルドグリーンの海と、デンデ油の香り!
【材料(2人前)】
・デンデ油… またはヤシ油/オリーブ油/サラダ油あたりを大さじ一
・ニンニク…一片
・タマネギ… 一つ
・塩…適量
・好きな貝類/甲殻類…アサリ、エビ、イカ(小さく刻む)あたりがナイスです 300~400g程度
・ココナッツミルク… 400ml(一缶)
・香菜… お好みで
・ナンプラー… なくても良い
・白ワイン… なくても良いがあれば40ml程度
・椰子糖(なければ砂糖で良い)...小さじ一
ブラジルにはワイン文化は希薄だしもちろんナンプラーはないけれど...味が良くなるので自家アレンジ。
【手順】
①鍋に油をひいてニンニクを炒め香りを出す
②みじん切りしたタマネギを飴色になるまで炒める
③魚介類を投入し軽く塩胡椒してざっと炒める
④ナンプラーひと回し→白ワインを投入アルコールを飛ばす
⑤ココナッツミルクを投入。砂糖、塩を足して味を見ながら中火で5分程煮込む
⑥炊いたご飯(タイ米が美味いが日本米でも)にかけ、香菜を散らす
毎度ながら、とてもシンプル。手抜きして魚介類に冷凍シーフードを使っても十分美味しい。冷凍シーフードとココナッツオイルの缶詰、タマネギは保存がきくし乾燥パクチーなんかと一緒に常備しとくと買い物行く時間がない時にも便利なレシピ。下写真は冷凍シーフードの手抜き版。十分ウマイ。
自然な甘みがあるからか、うちに来る女性のお客にウケがいい気がする。パプリカ入れてもウマイ。素揚げ野菜を添えたり...軽めな薄いビールと合います。ブラジルのビールは薄い。そして決して勤勉とは言えないブラジル人たちはビールをキンキンに冷やすことにだけは実にマメで、命をかけている。食後はカシャーサ(北東部では"ピンガ"と呼ぶのが一般的)でカイピリーニャですかね。
......
俺がブラジルで学んでいるのはMaracatu Nação/Maracatu de Baque Viradoは...ざっくり言えばブラジルに連れてこられたアフリカ奴隷たちがヨーロッパのカーニバルのパレードの形式を装いながら西アフリカの多神教の神を崇めるリズムを叩いたもの。ブラジル原住民の血や旋律や装束なども取り入れながら独自の発展を遂げた実に豊かで美しい文化。
上の動画は俺もメンバーの一員として参加しているNação Porto Rico(俺も動画のどこかにいます)。ペルナンブーコでも最強最大のMaracatu Nação(共同体)の一つ。州都レシーフェの南部、マングローブの入江周辺の低地に広がるピーナというファべーラを拠点とする宗教的/地域的な共同体。
最近はYoutubeチャンネルも作って演奏ライブの配信もしています。よければぜひ登録を〜!
混血が進み、"人種"という概念が北米に比べて希薄だと思われがちなブラジルだけど貧富の差や教育水準を見ていると奴隷制から続くracismの問題は未だに社会に深く根を下ろしている。
実際、ペルナンブーコのファベーラの住人は殆どがアフリカ系を土台とした原住民との混血だと言えると思う。山の斜面や川沿い、入江の側の低地などの居住に不利な土地をもともと不法占拠してバラックをたて膨らんでいった集落が街の至る所に散見できる。リオなど南部の大都市と違い、こうした貧民街がひと塊りに密集せず、散在していることがペルナンブーコの治安の悪さの一因なのではないかと思う。
ただ、一口にファベーラとは言ってもそこには文化も日々の営みもあるわけで単純に「危険で未開発な貧民街」とだけ見ることは訪れた際の用心以上に、不要な偏見に繋がるだろう。多くの場合、ファベーラにもグラデーションがあって、当然スマホやインターネットで情報や娯楽を享受しているし、バラックのような家屋の中は以外にも小ぎれいにあつらえていたりして、一度コミュニティの中に溶け込めば楽しく安全に過ごすこともできる。俺がお世話になっているコミュニティはマラカトゥの信仰の拠り所、カンドンブレの教会(マラカトゥのメストレ...俺の師匠がその司祭を兼ねている)を中心に互助組織的な共同体の結束が強く、人々は概ね皆明るく親切で穏やかに暮らしている。
ただ、盗電を主な電力供給源としていたり、大雨のたびに街が水没したり、粗雑な上下水道設備が街の衛生状況を悪化させたり、暴力や麻薬取引の温床となったり...ステレオタイプな南米の貧民街の抱える問題はもちろん常にすぐ傍にあるのも事実。俺がいつも滞在するファベーラも最深部はこんな感じで非常にハードな環境だ。
この集落の伝統芸能の普段の活動を支援するため、そして現在は新型コロナウィルスの脅威から人々を守るために自分のBASEのオンラインショップでファベーラ募金を行っています。ブラジルでのウイルス感染者、死者はアメリカを抜いて莫大なものになりつつある... 政府のあり方も極めて混乱しています。みなさんの志が力になります。
ナサォン・ポルトヒコ ファベーラ募金page⬅︎
一口¥500からの簡単なご支援になります。よかったらどうぞよろしくお願いいたします。ご支援いただいたお金は現状、私の師匠でありナサォンの長であるメストレ・シャコン氏に送り、コミュニティへの食料供給、電子検温計やアルコールジェル、ハンドソープやマスクの配布に充てられています。だいたい毎月一回の送金のたびに俺のwebsiteやsnsでその報告をさせていただいています。
俺はベースを弾いて曲を作るバンドマンなんだけど、ひょんなことからこのペルナンブーコの伝統芸能/信仰に出会って自らグループを率いたり、全国各地でレッスンやワークショップを行ったり、本場へ修行に通ったり、当地の偉大なメストレ(師匠)を日本に招聘したりしている。この10年近く毎年仕事している富山県南砺市のワールドミュージックフェスSUKIYAKI MEETS THE WORLDでは市民向けワークショップから生まれたマラカトゥの大パレードはフェスを盛り上げる目玉の一つにもなっている。どうぞよろしく。
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