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140字で映画はどこまでかたれるか。

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タイトルの通り、筆者が観た映画の回想録です。鑑賞環境は映画館の新作を中心にしていますが、基本的にはあまり拘りません。字数制限の都合上、警告なしでネタバレとなる場合もあるので注意。
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#映画レビュー

「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい・特別編集版」(2024年)は、同名テレビシリーズをキャラクター視点で再構成したアニメ映画。この手の総集編映画にありがちな観客サービスの新規カットもなく、ただ淡々と物語のダイジェストに徹した作りはかなり残念。パンフレットすら作られないとは

山本倫生
2日前
2

「クラブ・ゼロ」(2023年)は、常軌を逸した教育方針で周囲を巻き込む狂気の教師を描いたサスペンス映画。「健康のためなら命も要らぬ」という信仰じみた主義への警鐘と取れなくもないが、年端のゆかない子どもたちを洗脳していく主人公にいかなる同情の余地はなく、ひたすら後味の悪さだけが残る

山本倫生
9日前
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「ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち」(1978年)は、同名児童文学を原作とした長編アニメ映画。約束された理想郷を求めるうさぎたちの冒険を残酷な現実も包み隠さずに描写するハードな作劇に目を瞠る。血を流すことを厭わない者だけがみる風景は全てが作られたアニメーションの独擅場だ。

山本倫生
2週間前
2

「クルージング」(1980年)は、ゲイ男性ばかりが狙われる殺人事件の調査を命じられた刑事の姿を描くサスペンス映画。同性愛嫌悪も露わな制作者の視点から漂うフェティシズムやエロスは現代においても強烈な印象を焼き付ける。アル・パチーノ演じる刑事が狂ってしまうのも納得の強烈な一作だ。

山本倫生
3週間前

「アリゲーター」(1980年)は「下水道のワニ」というアメリカの都市伝説を基にしたホラー映画である。違法ホルモン物質で巨大化したワニが街中で大暴れする怪獣ものの基本に則ったプロットが微笑ましいB級映画の鑑のような作品で、薄くなった頭髪を気にする主人公の刑事に漂う哀愁がたまらない。

山本倫生
1か月前
1

「ウルフズ」(2024年)は、裏稼業に生きる“一匹狼”たちのハードな一夜を描くアクションコメディ映画。イケオジ二人の掛け合い漫才(?)は、吹き替え版で見るべきものであり、小山力也と堀内賢雄が繰り広げる丁々発止のやり取りにうっとりすること請け合いの2時間である。劇場未公開が残念。

山本倫生
1か月前
2

「破墓(パミョ)」(2024年)は悪霊祓いの巫堂(ムーダン)たちが遭遇する恐怖の出来事を描くホラー映画。韓国のシャーマニズム文化を理解していないと難しい部分もあるが、基本的には“墓の下”にいる何かとの息詰まる攻防を楽しむエンタメ作品。墓の下から出てくるトンデモない奴には驚くかも?

「ロボットドリームズ」(2023年)は、都会の孤独な犬とお手伝いロボットの半年間を描く長編アニメ映画。説明書通りに組み立てなかったばっかりに塗炭の苦しみを味わう主人公の悲喜交々をセリフなしで描ききる109分はまさに至福のひと時。手描きアニメが好きな人は必見の傑作である。

山本倫生
1か月前
2

「スパイダー/増殖」(2023年)は、招かれざる客(毒蜘蛛)が引き起こすパニックを描くホラー映画。自分を助けに来た警察を敵視してさらに被害を広げるおバカ主人公に同情の余地なしというか、自分の権利だけ主張するのはフランス人だからなのかと勘繰ってみたりというか。

山本倫生
1か月前

「がんばっていきまっしょい」(2024年)は、同名小説を原作とした長編アニメ映画。過去の経緯から何事にも真剣になれない主人公の物語の行き着く先は「スタートライン」であり、まだ何も始まっていないうちから(話が)終わってしまう邦画の悪弊をアニメで見たいとは思わない。絵は綺麗ですけどね

山本倫生
2か月前
1

「ボルテスV(ファイブ)レガシー」(2023年)は、日本のテレビアニメ「超電磁マシーン ボルテスV」(1977年)を原作としたSF映画。日本のロボットアニメへの深すぎる愛情という宣伝文句に期待はしていなかったものの、物語がオリジナルに忠実だったのには驚いたというか何というか……

山本倫生
2か月前
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「シビルウォー:アメリカ最後の日」(2024年)は、“合州”国で内戦が起こったらという歴史の「もし」を描いた映画。中立公平とする報道カメラマンの主人公たちから見た同胞同士の殺し合いは、およそ他人事とは思えないリアリティで観客に迫り地獄の底へと引き摺り込む。近い未来を思うと尚更ね…

山本倫生
2か月前
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「ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ」(2024年)は「ジョーカー」(2019年)の続編となるミュージカル映画(?!)。劇場型犯罪者であるアーサーのその後を描くにあたり“敢えて”物議を醸す方を選択した制作者の気概が気に入った。アメコミ映画としては0点だが作品としては間違いなく傑作だろう

山本倫生
2か月前
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「ビートルジュース・ビートルジュース」(2024年)は、1988年公開のホラーコメディ映画の続編。タイトルロールのビートルジュースが主役ではないところやアメリカ人にしか分からないであろうギャグのセンスがまさしく監督ティム・バートンの面目躍如といった感じで安心の一作と言える(かも)