設立2年で1,000億円以上の評価額を受けたThrasioについて調べてみた
海外で話題となっているThrasioですが、つい先日にバリュエーションが20億ドルを突破し、アメリカのユニコーン最速記録を更新しました。今回は、Thrasioについて詳細に書いてみました。
そもそもThrasioとは?
設立2018年で、Amazonサードパーティ・プライベートレーベル事業を買収するサービスを展開する企業。Amazonの商品のトップレビューのあるベストセラー商品を探し、そのブランドを持っている中小企業から直接購入し、今後の成長余地がある商品に限定し毎月2〜3件の事業を買収し、FBA (Fulfillment by Amazon)を活用してサプライチェーンの最適化を行い事業を拡大する。
Thrasioは、中小企業にある売上が伸びれば伸びるほど生産から配送、価格最適化、広告展開まで手に負えなくなってしまうことが多く、そういった中小企業を買収し、買収を繰り返し、スピード感持った圧倒的な成長を遂げている。これらのブランドのオーナーは、オーナーが予想していた以上のスピードで成長してしまい、手に負えなくなっているケースが大半とのこと。
また、Thrasioが狙っている収益帯としては、100万ドルから500万ドルの範囲でニッチ領域で高いシェアを占める典型例。これは、利益が500万ドル以下のブランド製品に対して投資家がそこまで注目していないといったことも追い風のポイントとのこと。
数字関連だと、これまでに、60社ほどを買収しており、それらの合計買収額は約1億ドル。前年比での平均収益の増加が233%。3億ドル以上の収益と6,000の製品を扱っている。
更に、73日ごとに収益が2倍に。11都市で300人以上の従業員とコンサルタントが存在し、4月以降に90人以上の新規従業員を採用したそうです。
なぜAmazonなのか?
現在、小売売上の中でもEコマース率は10%で、そのEコマース販売の内、約半分に当たる50%をAmazonが占めており、今後Eコマース比率が増えていく中でAmazonの売上、ユーザーが増えていき、結果的にAmazonでうまく展開しているブランドが多くの人に買ってもらえるといった戦略で、Amazonに張っているそうです。
CEOはどんな人?
CEOは、Joshua Silberstein氏で、過去に消費者ビジネスに特化したベンチャーキャピタルであるBEV Capital(2億1,000万ドル運用)でInvestment Managerを務めていたり、出版関連の会社を起業したり、Kitara Mediaなどでブランディングやマーケティング戦略に携わっていた方で、他の社員はリンクトインの情報によると投資銀行出身者が多いイメージです。
買収プロセスと買収後の流れ
・買収プロセス
Thrasioは、ホームページに書いてある通り平均43日で買収を完了させ着金まで行うとてつもない買収スピードです。
・買収後の流れ
買収後の流れは、大まかに上記の流れになると思います。
ファイナンス状況と投資家
これまでのファイナンスは上記の通りですが、Thrasioのホームページによると、GoogleやFacebookも投資家として参加しており、事業会社からVC、プライベートエクイティまで幅広くファイナンスを行っていることが分かります。
類似企業
Boosted Commerce
設立:2020年
国/地域:アメリカ
総資金調達額:8,700万ドル
ステージ:シリーズA
代表的な投資家:Torch Capital、Crosscut Ventures
事業概要:AmazonのサードパーティFBAセラーに焦点を当てた買収事業企業。
Heroes
設立:2020年
国/地域:イギリス
総資金調達額:6,500万ドル
ステージ:Seed
代表的な投資家:360 Capital Partners、Fuel Ventures
事業概要:優れたカスタマーレビューと高成長ニッチでの主要なベストセラーリストの確かな実績を持つAmazonFBAブランドに焦点を当てた買収事業。
Perch
設立:2019年
国/地域:アメリカ
総資金調達額:1億2,400万ドル
ステージ:PEラウンド
代表的な投資家:Tectonic Ventures、Spark Capital、Boston Seed Capital
事業概要:テクノロジー、運用、戦略、およびAmazonエコシステムの専門家によって設立された、AmazonFBAビジネスを大規模に買収する事業を運営。
今後の可能性
ThrasioのCEOは記事のコメントで、日本のAmazonのマーケットも興味深いが、米国との言語や物流の仕組みの違いにより、運営のコストと難易度が高い。そのハードルが下がれば可能性はあると言っています。
これまでThrasioについて、書きましたが、これらのモデルが他の業界/領域で応用できることも考えられます。
例えば、最近インスタグラムにショップ機能が追加され、Amazonショッピング同様にインスタグラムショップ内での人気ブランドの買収事業の可能性や、日本だとAmazon、楽天内での買収事業などあらゆるプラットフォームでの展開が考えられます。
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