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小さな会社が優秀な人材を採用する代償

小さな会社が人材を採用するのは、一苦労だ。
そして、優秀な人材を採用するとなると、途方もない苦労が伴う。
さらに、会社に定着してもらえるかも疑わしい。
しかし「代償」を覚悟すれば、優秀な人材を採用し、定着させることは可能だと思っている。
今回は、この辺りのことについて書き綴っていく。


優秀な人材の雇用は無理ゲーか?

優秀な人は、それに相当する報酬を望む権利がある。
結果、小さな会社にとっては、荷が重いと考える傾向がある。

・優秀な人は、給料が高い
・優秀な人は、すぐに転職する
・優秀な人は、いずれ独立していく

こんなイメージがあると思う。
実際、そのイメージ通りであることが殆どだ。

もう少し「優秀な人」のイメージを分解していく。

・優秀な人は、教育が不要
・優秀な人は、おおよそ自力で問題を突破する
・優秀な人は、単体で成果を出す

こんなイメージもないだろうか?
つまり、「完璧 = 優秀」というイメージだ。

私は「完璧」を目指さなければ、小さな会社でも「優秀な人」を採用できる可能性があると思っている。
ただし、その代償が必要だ。

私の会社の優秀な人材

知的労働が多くの割合が占める職種は、成果の個人差が圧倒的につく。
例えば、プログラマーなどは、二流が3人で3日掛かる仕事を一人の優秀な人が1日で終わらせたりする。
優秀な人は、迷う時間が少ない。
そんな人からすれば、簡単な仕事は迷う必要もなく、ひたすらキーボードを叩く単純作業となってしまう。

――― そんな人材がなぜ私の会社にいるのか?

彼は、間違いなく異質だ。
もう12年の付き合いになるが、いまだに驚くべき行動をする。

彼が完全な在宅勤務になる前のこと。
運転免許はもっておらず、自転車で通勤。
私服を推奨しても、スーツで出社。
革靴ではなく、スニーカー。
ネクタイはせず、シャツの下にインナーも着ない。
腕時計は右手。
ベルトも普通とは逆に巻く。
飲み物はいつも緑色のモンスターエナジー。

対面で話すと普通だが、メールの文章は中学生レベル。
誰かまわず、専門用語を連発。
あいまいな指示を出すと、想像もしなかった結果が報告される。

ある日のミーティング中、驚くべきものを私と顧客に出してくれた。
カップの水面に挽いたコーヒー豆がプカプカと浮いた暖かい液体だ。
私も、顧客も、絶句。
気持ちはありがたいが、切なくなった。
まさか、30歳を超えた大の男にドリップコーヒーの淹れ方をゼロから教えることになるとは思っていなかった。

――― しかし、彼は、実に優秀。

その代償として、致命的な弱点をいくつも持っている。
そして、誰かがそこをカバーしなければいけない。

・一人で打ち合わせに行かせない
・電話応対はさせない
・口頭だけの指示はしない
・彼が対外に出す文章は、出す前に必ず添削をする

他にも、たくさんある。
そして、致命的な弱点を持ったスタッフは、彼だけではない。
むしろ、私も含めて、全員がそうだと思っている。

カバーが有って、はじめて化ける人材

小さな会社は、そこが狙い目だ。
そんな人材は、一般的には扱いづらいと思われている。
一般常識がないとして、捨てられている。

ただし、覚悟も必要だ。
カバー体制を整えるまでは、ストレスMAXの状態が続くと思う。
「動物園」の園長にでもなった気分になる。

――― それでも、優秀な人材は貴重だ

「園長」も慣れて来ると、悪い気はしない。
致命的な弱点を持つ、愛すべき猛獣たち。
やがて、そんな感覚に、成れる。


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