経営者と時の流れ
年々、「時の流れ」が早くなっていくと感じる。
一個人としての「時の流れ」はもちろんのこと、経営者として「時の流れ」は、より一層早くなっていくと感じている。
今回は、この辺りのことを書き綴っていく。
経営者としての時間サイクル
経営を始めた頃は「1カ月単位」で時間のサイクルを考えることが多い。
これは、多くの会社は「支払日」に一斉に支払いをすることが多いからだ。
この「支払日」を基準に、一カ月のサイクルを考えることになる。
困ったことに、この時点から「1カ月が早い」と感じるようになる。
残念なことに「支払日」は、アッという間に来てしまう。
毎月、目の前のことに必死な時期を超えると、今度は「1年単位」で時間サイクルを考えるようになる。
「決算日」を起点とした1年間だ。
1年間の決算書は、経営者にとっての「成績表」に値するため、多くの経営者は決算書を見て、自分の考えを整理する。
困ったことに、この時点から「1年間が早い」と感じるようになる。
決算日など、ボーとしていたら、すぐに来てしまう。
ボーとしている間に、会社の現金など、すぐに溶ける。
本当に、一瞬だ。
経営者は、1カ月や1年がすぐに流れてしまうことを野放しにしてはいけない。
そのための対策を考える必要がある。
そこで考え始めるのが「成績目標」というものになると思う。
最初は1年間(1期)の目標からはじめる人が多いと思う。
とは言え、なかなか思ったように実現はできない。
想像で絵に書いた計画は、よほどのことが無い限り、計画通りには進ませてもらえない。
そうなると、再び1カ月(月次)の目標を細かく掲げようという動きになる。
それを12回積み上げたものが1年間(1期)の結果だ。
――― そして、益々1カ月が早くなる
そう感じるようになると、週単位での計画を考え、1日単位で進捗状況を集める必要が出て来る。
このくらいやらないと、1年間の目標を無事に達成するのは難しい。
経営者自身が仕事現場に全ての時間を投入していると、目標への到達が遅くなってしまう。
――― とにかく、急げ!
こんな状況になると、時間の流れがさらに加速していくことになる。
時の流れの所感
開業後、最初の1年は時の流れが遅く感じた。
おそらく理由は「仕事が無い」から。
この経営者独特の感覚を強く感じる創業直後に、廃業する人も多い。
スタッフが増え、その他固定費が増え始めると、前述の通り「1カ月」が早くなる。
私の感覚だと、オフィスをつくり、スタッフが3名程度になったあたりから、時の流れが猛烈に加速した。
3期目の途中あたりだと思う。
その直後、リーマンショックが発生し、生き残りをかけた全力の戦いがはじまった。
起きている間は、常にアドレナリンを振り絞る。
この時期のことは、あまり細かいことを覚えていない気がする。
そのくらい、時の流れが早かった。
幸いにも、創業期を超え、生き残ることができた。
しかし、その後、会社の10期目など、一瞬で到来してしまう。
気づけば、20期目だ。
――― 時の流れは、とにかく早い
おそらく、会社の経営に情熱があるほど、時の流れも加速する。
外から見て「時の流れが遅いな」と感じる経営者は、時の流れと共に消えていくことが多い。
今から経営者を始める人は、覚悟しておいた方が良い。
創業したら、ハイスピードでエキサイティングな時の流れのはじまりだ。
くだらない心残り
私は、時の流れにおおよそ心残りはない。
しかし、一つだけ可能性として「有り」だと思うことがある。
――― 30代前半で起業するペースでも良かったかな?
というもの。
私は19歳で個人事業主、その後23歳で法人として再スタート切った。
今思えば、33歳くらいで起業しても良かったかもしれない。
そう考えている。
というのも。
早くから起業したせいで、18歳から付き合いはじめた今の妻との「青春の想い出」が足りていない気がする。
今思えば、一番に金を使わなければいけなかった頃、使う金も時間も持っていなかった。
書くのも恥ずかしいことだ。
逆に今は、私は若い頃思っていたほど、自分には「欲」がないことを知ってしまった。
早くから、欲張って、生き急ぐ必要はなかったのかもしれない。
だから、10年遅くても良かったかな、と思う。
今更で、くだらない話だが。