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お絵描き姫



私は小さい頃から「お姫様」になりたかった。
キラキラのステッキをもってかわいい衣装を着こなした長いツインテールで
輝く月のお姫様、ふわふわのドレスを着て頭の上にはティアラ。

私はそんな存在。

そう信じて疑わなかったあの頃。
家族も世界も、なにもかも私に丸ごと優しかった。
うさぎのポーズをしたらみんな笑顔になるし、私こそ、家族のアイドルだったし、
間違いなく、お姫様だった。

着たいドレスをクレヨンや水性ペンで
使い終わった大きなカレンダーの上に寝転がって描いていた。

「こんな風な服が着たい。大きくなったらかわいいティーカップで紅茶を飲んで可愛い服を着て可愛いところにお出かけして、髪の毛はサラサラでもっと可愛くなる。」

そう思えてた。

私は、間違いなく 「特別」だと思えていた。

でも、違う意味での 「特別 」なのでは?と段々思うことが多くなったのは、
小学生、中学生……高校生。
どんどん 特に みんな と 別 の 特別なんじゃないかなと思えてきた。

?が??になって、????になって
どんどんなんでみんなと違うの、
なんで私は空気が読めないんだろう、プリントを管理ができないんだろう。授業を最後まで送れないんだろう。なんで、教室に入れないんだろう、朝に起きれないんだろう。部屋から出られないんだろう。ベッドから出られないんだろう。

だんだん分からなくなった。

ベッドで横になって泣きながらノートを広げて絵を描いた。

黒いボールペンで描いた大好きなツインテールの制服がモチーフのキャラクターが滲んだ

私はなんで、可愛くなれなかったんだろう。

全部、全部、やめたくなった。

そのうち 普通 の 会話もできなくて、表情も上手く作れなくて、声も金切り声しかでなくて、声を出すと涙も一緒に出るようになって。

ふと思ったの。

やな事は全部したくないなって。

学校を辞めたし、環境も変わった。

いろいろ環境や大きな変化がある時は、大きなパワーが動くから、時間もかかるけれど、
傷つくこともあったし、心も疲れたし、擦り切れたし、へとへとになった。

でも、環境を変えたら、前居た世界の事を見れるようになったりした。

前は学校で制服を着てクラスメイトと青春して笑いあって部活に行ったりできない私を
かわいそうだとおもったし、恨んだし、なんでそんなことも出来ないんだ。
私はなりたかった。でもなれない。なんで。
小さな頃の私が大泣きしてた。

こんなはずじゃない。これは、本来の私じゃないの。って

でも、私なりに頑張ってたんだなって。
人には向き不向きがあって、私はその場所に向いてなくて、別に輝ける場所があって、
合ってないから心と体が拒絶しちゃって、苦しかっただけで、誰も悪くなかったんだ。

周りは私にいじわるになってしまった。

小さい頃は丸ごと私に優しいと思っていたし、それが変わってしまった。
いじわるになって、厳しくなって、苦しくなって、みんな後ろ指を指している気がした。

でも違った。両親も先生も、私にとっての最善を与えようと動いていてくれた。
それが、複雑に絡み合って、私も辛かったし、みんな辛かったし、悩んでいたし、
みんな、一生懸命だった。

それがわかったのが最近、
環境が変わって、小さい頃描いてた絵をずっと描き続けている。
ファンも出来たし、毎日楽しく生きているし、
今になって両親やおばあちゃん達がかけてくれた言葉の意味が分かってきている。
たぶん歳を重ねたり、
たくさんの経験を重ねている内にもっと分かってきて見えてくる事もある。

そう思いながら未来を楽しみに生きている。

ずっとお姫様になりたかった。

環境が変わってお姫様ベッドを手に入れた。

彼がプレゼントしてくれたかわいいティーカップで紅茶を飲んで、この文章を打つ。

「私は特別なお姫様」

そう信じて疑わなかったあの頃。
家族も世界も、なにもかも私に丸ごと優しかった。

今、

うさぎや女の子の絵を描くとみんな笑顔になるし、にっこり笑って毎日を生きる。
間違いなく、今も昔もずっと私はお姫様だった。

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