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”横並びだけがトライアングルじゃないなんて”;はこぶものたち感想



シャニマス君さぁ…………未来とか見える人?

いや、その話をするつもりはないんだけど、一応ね?

 今回はアイドルマスターシャイニーカラーズにて、1月31日に実装されたイベントコミュ「はこぶものたち」の感想記事となります。
 上記イベントコミュを含めシャニマスに含まれるコンテンツのネタバレが含まれますので心して進んでください。あと、歩きスマホ、運転しながら読まないように。


排他的経済域

 そういえばウー○ーイーツも出○館も使ったことが無い。理由は明確で、700円で食べられるハンバーガーに1500円とか払うのがもったいないとそう思うから。だからこそ、ウ○バーとかを日常的に使っている人を見ると、儲けてんのかな、とかそういったケチなことを考えてしまう。私にとってそういった人たちは理解できない“違うクラスタ”の人だった。でも別に宅配ピザとか普通に頼むし、めでたい日には寿司の出前だって取るじゃん、私。そこをもし突っ込まれたら、「いやそれはもうそういうものだし」みたいな、逃げの回答しか出来ない。”ハンバーガーはテイクアウト、ピザはデリバリー”なんて、そういった先入観が私を支配していることに気づいていなくて、思わず○ーバーでマ○クを頼むと何円なのか調べてみた。

いうほど高くなかった。

知ってしまえばそんなもので、でも世界には知らない事ばかりだ。「はこぶものたち」はきっとそういう話だったと思う。

ステルスロック

 「はこぶものたち」で描かれたように世界にはチクチク言葉と呼ばれるトゲが無数に漂っている。イルミネの3人は新しく踏み出した一歩で、前に進もうとしたその身体で、そのトゲをそっと押してしまった。そのトゲの先端は彼女たちに向いていなかったから、彼女たちに刺さったわけではないけれど、押した先にいる誰かにそれは刺さり、悲鳴に変わった。だからこそ彼女たちは加害者でも被害者でもないし、だからこそどうしようもなかった。そしてその世界に漂うトゲたちですら、誰かを傷つけるためではなくて、抱えていると自分を刺してしまうから、そこに置き去りにされただけの残滓だったと思う。

 もし、この物語に明確な悪意が、討つべき巨悪があったなら、それを倒すことで世界が平和になったなら、どれほどよかっただろう。世界にはそんな平和になるための飛び道具なんてないこと、わざわざ教えてくれなくても良かったじゃないか。

初めて

 初めてのことをするのはいつだって怖い。「はこぶものたち」ではそういった”初めて”が物語の多くをなしていた。風野灯織のVARやハーフタイムショーへの出演、エシカルな服だってサッカークラブ運営への参入だって新しい事だし、フーデリの初回配送料無料キャンペーンも新しいことを始めるきっかけとして提供された。これらは全て、新しいことを始めて良かったとそう思うための、そう思ってもらうための、みんなのことを考えた、初めてだった。灯織は何故、あの仕事を受けたのだろう。真乃は、めぐるは?初めての壁を打ち破るほどの思いが確かにあって、でも怖くないなんてそんなはずはなくて。

真乃は言った。灯織を応援するために、仕事を受けたのかもしれないと。
灯織は言った。2人に追いつこうと、無理に仕事を取らなければと。

 これらは果たして不純な動機なのだろうか。少なくとも、そう決断したときには、純粋な思いだったはずだ。でもきっとあのスタジアムで彼女たちは気づいた。満員の観客席のその中のたった1人を見ようとしても、必ず誰かが、横にいる誰かが視界に入ってくる。彼女たち3人には、彼女たち3人だけが見えていて、届けたい1人がいて、そして1人の周りにはみんながいると知った。1人だけに届ければ、周りの人はどう思うだろう。誰かを幸せにすることは誰か以外を幸せにしないということになるのかな。

 ならばいっそ、みんなのことを幸せにしてしまえばいい。でも、みんなっていったい、何人いればみんななのかな。

それでも、一歩

 満員だったスタジアムに、今は彼女たち3人だけ。彼女たちはその空っぽの観客席に、バラバラに座った。彼女たちの隣席は今は空席のまま。でもいつか、誰かがそこに座るのだろうか。彼女たちでない誰かが、座るのだろうか。

 彼女たちは3人で、時に引っ張り、時に背中を押しながら、進んできた。それはとても仲良しで、ユニットとして素晴らしい形かもしれない。でも、歩幅を合わせて、ペースを合わせて、せーので踏み出していくことが、手を繋いで横並びでいることのみが、彼女たち3人を三角形足らしめないだなんて、なんてよくできたお話だろう。

 ”私たち”が、じゃなく、”私”がやりたいことを彼女たちはもっと大事にしていくとして。その歩みは別々の方向に向かい、速度も、歩調も変わっていって。新しい隣人が出来て、新しいみんなになっていくのだろうか。でもきっと彼女たちがどんなに離れても、違うみんなの中に居ても、繋がっていることさえ忘れなければ、3つの点は大きな三角となって、もっと多くの人をみんなに出来るかもしれない。もっと多くの人に何かを届けうるかもしれない。だとすれば、彼女たちの新たな始まりの一歩となるかもしれないこのコミュは、彼女たちの喜ぶべき成長の第一歩だというのに、


私はどうしてこんなにも、目を逸らしてしまいたくなるのだろうか。


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