付加価値額とは?
競争力の指数として労働生産性が挙げられます。
労働生産性=付加価値額/労働力とのことから、労働生産性を高めるためには、付加価値額を高めるのが良いと考えられます。
では、付加価値額とは何か知り、付加価値を高める要素の改善をお手伝いすることで中小企業診断として顧客の役に立てると考えられます。
1 付加価値額の定義
経産省の工業統計では、付加価値額は以下のように定義されています。
付加価値額(粗付加価値額)
事業所の生産活動において、新たに付け加えられた価値のことです。
なお工業統計調査における付加価値額の算式は、以下の通りです。
(算式)
<<従業者30人以上の事業所>>
付加価値額
=生産額(*1)-(消費税を除く内国消費税額(*2)+推計消費税額(*3))-原材料使用額等-減価償却額
*1:生産額=製造品出荷額等+(製造品年末在庫額-製造品年初在庫額)+(半製品及び仕掛品年末価額-半製品及び仕掛品年初価額)
*2:消費税を除く内国消費税額=酒税、たばこ税、揮発油税及び地方道路税の納付税額又は納付すべき税額の合計
*3:推計消費税額は平成13年調査より消費税額の調査を廃止したため推計したものであり、推計消費税額の算出にあたっては、直接輸出分、原材料、設備投資を 控除している。(投資控除は従業者30人以上の事業所のみ。)
*4:従業者29人以下の事業所は、製造品出荷額等を生産額とみなし、また、減価償却額を調査していないため、粗付加価値額として算出している。
*5:従業者10~29人の事業所については、西暦末尾0、5年のみ製造品の年初在庫額、半製品及び仕掛品の年初価額合計 、製造品の年末在庫額、半製品及び仕掛品の年末価額合計 、減価償却額等の調査を行っており、従業者30人以上の事業所と同じ算式で付加価値額及び生産額を計算することは可能であるが、時系列の接続等を勘案し、一律の計算式としている。ただし、平成12年については従業者10~29人の事業所の算式は30人以上と同様である。
2 ざっくり言うと付加価値額とは
文字が多くて大変なのでざっくり言うと、
付加価値額=売上-原材料費-減価償却費 ・・・①
と、理解。
さらに、構成要素をざっくり考えると、
売上-コスト=利益 ・・・②
コスト=人件費+原材料費+減価償却費 ・・・③
②に③を代入すると
売上-人件費-原材料費-減価償却費=利益
売上=利益+人件費+原材料費+減価償却費 ・・・④
①に④を代入すると
付加価値額=(利益+人件費+原材料費+減価償却費)-原材料費-減価償却費
なので
付加価値額=利益+人件費
と言えます。
3 付加価値額を増やすためには
ここまででわかった付加価値額は、
付加価値額=売上-原材料費-減価償却費
付加価値額=利益+人件費
ということは、付加価値額増加のために増やすものは、
売上
利益
人件費(給料)
減らすものは、
原材料費
減価償却費
4 あれ?おかしくない?
確かに、計算式上はそうなんだけど、
原材料費のコストダウンは、いくらなんでも限界がある。自助努力でなんとかなる分は少ないうえに、今はエネルギーや資材が高騰している。
減価償却費を減らすということは、投資を抑えるということ。つまり、設備の老朽化などにより競争力の低下なども想定される。
つまり、原材料費、減価償却費の低減による付加価値額増加は、現実的ではない?
ということは、増やす方の要素を頑張ればいいのか?
売上は、営業活動などで増やすことは可能か。ただし、生産が需要に対応できることが前提。
利益と人件費?前段で原材料費と減価償却費の低減は現実的ではないと考えたので、さらに人件費を上げたら利益は減るよね???実際には、最低賃金の上昇で人件費は上がっている。
5 ということは?
注目すべきは売上ということか?
売上=単価×数量
単価を上げるには、
値上げ、価格交渉、高単価製品の開発
数量を増やすには、
生産能力>需要数ならば、
営業活動による需要掘り起こし
生産能力<需要数ならば、
改善による生産能力向上(L/T、C/Tの短縮)
設備投資・採用による生産能力向上
数量が増える分、原材料費はかかるが、粗利益が取れているものなら売れた分だけ利益は増える。
人と設備を増やさずに売上が増えれば、利益は増える。(付加価値額は上がる)
増益分からいくらかを給料として還元すれば、人件費も上げられる。
つまり、生産余力があるのなら営業等により受注を増やす。
生産余力がないのならまずは、改善などにより投資をせずに生産能力を上げる。
これらにより
1人当たりの売上高をいかに上げるかが付加価値額増加のポイント
だということがわかりました。
確かに、トヨタ生産方式も「徹底したムダ排除による省人化で原価を低減し利益を出す」という考え方ですね。
これまで「原価低減」に目が行きがちでしたが、本質は「省人化≒1人当たりの売上高向上」と考えられますね。
ごちゃごちゃと考えた割には、結論は、当たり前のことでした。
6 これからすべきことは?
顧客のために、付加価値額の観点から何ができるのか、何をすべきなのか書き出しておこうと思います。
販路拡大による売上拡大・稼働率向上
新製品・自社製品開発による単価向上
工程改善でL/T、C/Tの短縮・可動率向上による生産能力向上
設備投資に係る補助金獲得支援による経費削減
上記に係る人材育成による企業体質の改善
まずは、これらを意識し、お手伝いしていこうと思います。
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